透明人間の館

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昭和12年の3月15日から5月31日まで行われた「名古屋汎太平洋平和博覧会」。
国内や外地、科学、産業など26のパビリオンで実施され、会場中央を路面電車が貫通し、名古屋駅や熱田駅からは市電やバスが1分おきにシャトル運転されるなど、期間中の来場は480万人という太平洋戦争前最後の大型博覧会でした。
戦意高揚を図る目的で国防館もあり、会期中には戦艦伊勢が名古屋に寄港。
全舷上陸して観覧したそうです。
一方の陸軍は戦車などの展示はあったものの、博覧会名に「平和」とあるのが気に障ったようで、あまり協力的でなかったとの説もあります。

そんな中で一番人気だったのが、この「透明人間館」・・・笑
とうめいにんげん~?
透明人間ですよ? 透明人間!
透明だからって見に行ったら透明だから見えるわけもなく、建物の中が空っぽだったとか、そういうオチじゃないだろーな?

で、調べたらわかりました。
これは、臓器を含む等身大の人間骨格を透明のプラスチックのスキンで覆った、標本というか模型の展示だったようです。
透明人間というよりも、人間の皮膚が透明になったらこんなふうに見えますという、キワモノではない科学系の真面目な展示物でした。

しかも非常に高価なもので「ドイツ・ドレスデン衛生博物館で約4万円で特製した世界に二つしかない透明人間が科学の神秘を物語っている」という解説が付けられていたそうです。

博覧会の写真は下記サイトにあります。
透明人間も出てますので、ぜひその目でご確認ください:
http://www.peace-aichi.com/pdf/20181021_hakurankai1937_2.pdf
10ページあるPDFファイルですが、この中の「東會場 その六」にクダンの透明人間が載ってます。

博覧会の入場料は大人60銭、子供と軍人は30銭。
参考までに、昭和10に米1升の値段は30銭でした。

博覧会が終わると建物などは撤去されましたが、現在も博覧会のために造られた「平和橋」という運河を渡る橋が跡地に残っており、現役で使われています。
地下鉄名港線「港区役所駅」すぐ北側で、真下に地下鉄が通っています。
アールデコ様式の非常にデザイン性の良い橋ですが、直近には「ららぽーと」もあり、あまりにも普通に使われているため、気付く人はほとんどいません。

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