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京阪800系電車
京都市営地下鉄東西線の開業に伴い、京津線は三条~御陵間を廃止の上、同線との直通運転の実施によって大津市・京都市東部地域と京都市中心部とを結ぶ路線に再編されることとなった。その新たな運行形態となる京津線用の車両として、1997(平成9)年に登場したのが本形式である。
市営地下鉄への直通運転を行うため、車両の規格や保安装置類については地下鉄側の基準に適合させてあり、1両あたりの車幅と車高は従来京津線で用いていた車両と同等としつつ、車長は地下鉄側の規格に合わせて16.5mへと延伸され、客用扉も片側3ヶ所としている。但し、浜大津~上栄町間に併用軌道が存置されるため、列車全長を抑制する目的で4両編成とされている点が市営地下鉄の車両とは異なっている。
車体はこの併用軌道走行の観点から、京阪線の車両で標準となっていたアルミニウム合金製ではなく、修繕作業の容易な普通鋼製とされており、側面下部には車幅灯が取り付けられている。なお、鋼製車体の難点となる耐食性や軽量化については、スキンレス台枠の採用や外板に強度を持たせた構造とすることで克服を図っている。
車体外観は前面のデザインをはじめとして、全体的に京阪線の7200系電車に倣ったものとしているが、塗色は水色(パステルブルー)と灰色(灰白)を組み合わせたものに黄色(刈安)の帯を添えた斬新なものとなった。更に車体裾部を反射塗料による黒塗りとし、併用軌道走行時の外部からの視認性向上を図ると共に、幅と高さの比率から車体が“胴長”に見えてしまう事を抑える視覚的効果も狙っている。
内装では座席配置に工夫が凝らされ、先頭車両では2列+1列のクロスシートとして、中央の客用扉を境としたいわゆる離反型の配置としてある一方、中間車両ではロングシートとし、通勤・通学輸送と観光客輸送の双方への対応を狙ったものとなっている。なお、座席や天井・壁面・床面の色彩とデザインは7200系に倣ったものとしている。
走行性能面においてはVVVFインバータ制御とした上、制御装置にIGBT素子を使用して性能向上と低騒音化を図ると同時に、全電動車方式とすることで急勾配と急曲線の点在する京津線に対応する運転性能を持たせた。パンタグラフには、電車線(架線)高さの異なる京津線・地下鉄東西線双方に対応出来る追従性と、屋根上スペースの有効活用とを考慮して、シングルアーム式の物を京阪の電車で初めて採用している。
2017(平成29)年には、京阪線と大津線の車両イメージを統一する目的から車体の外部塗色が変更され、濃緑色(レスト・グリーン)と白(アトモス・ホワイト)のツートンカラーに黄緑色(フレッシュ・グリーン)の細い帯を加えたものへと変更されている。
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