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日本の私鉄 25 特急電車
著者:飯島巌・諸河久 #カラーブックス 601 「ロマンスカーⅠ(有料)」編に掲載 #東武鉄道 #京成電鉄 #西武鉄道 #小田急電鉄 #名古屋鉄道 #近畿日本鉄道 #南海電気鉄道 #富山地方鉄道 #長野電鉄 「ロマンスカーⅡ(特急料金不要)」編に掲載 #京浜急行電鉄 #阪急電鉄 #京阪電気鉄道 #西日本鉄道 ※通勤車両による特急として掲載 東武鉄道 #京王帝都電鉄 #阪神電気鉄道 西日本鉄道 #山陽電気鉄道 京成電鉄 京浜急行電鉄 南海電気鉄道 阪急電鉄
鉄道模型 1983年 保育社Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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近鉄3000系電車
時代の潮流となった“省エネ”に対応し、尚且つ当時建設中であった京都市営地下鉄(烏丸線)と京都線との直通運転を見据えた車両として、1979(昭和54)年に登場。 電力回生ブレーキ付きのチョッパ制御、電気指令式ブレーキ、オールステンレス製車体が採用され、在来の車両とは一線を画する存在となった。 地下鉄直通用としての設計はなされたが、登場後も当面は自社線内のみの運転となるため、いわゆる郊外線区向けの性能も重視されることとなり、中・高速域での走行・ブレーキ性能が強化されたほか、将来的にチョッパ制御車両が全線へ展開されることを考慮し、回生失効時における発電制動への切り換え機能を付加した抑速制動も備えられている。 車体は冷房を装備することから8600系電車のものが基本となるも、ステンレス製鋼体の特性を生かした寸法・外形に変更されている。 カラーアクセントには、近鉄の一般車両における標準色であったマルーンが採用され、同色による識別帯を側面窓下に配しただけでなく、側面の戸袋部分や乗務員室出入口横のスペース、及び前面の貫通路部分を挟んだ一帯もカラー化がなされ、鉄道車両におけるステンレス製車体の装飾方法に新風を吹き込む存在となった。 この他の特徴としては、電気指令式ブレーキの採用に伴い、運転台をデスクタイプ且つ2ハンドル式としたことや、当時の京都線に多かった3両編成列車に充当出来るよう、4両編成のうちの奈良・橿原神宮前寄り先頭車両を切り離せる構造となっていたことが挙げられる。 本形式は制御・ブレーキ方式の相違により、非常時以外には他形式車両との併結運転を実施しないこととされていた。しかし、最終的に地下鉄直通に用いられなかったことや、京都線での3両編成列車の減少によって、本形式の独立性による特性が失われたため、1991(平成3)年にブレーキ方式や運転台構造が在来形式と同様の物に変更され、同時に3両運転用として中間に設けられていた運転台を廃止して4両固定編成化された。 本形式については直接的な後継車両は出現しなかった。しかしながら、本形式を皮切りにして制御方式は界磁チョッパ制御、更にはVVVFインバータ制御へと発展し、車体についても普通鋼からアルミニウム合金による大型押出形材を用いて製造したものへと移行した。これらの事実から、近鉄における一般車両の経済性向上において、その先駆的存在となった本形式の意義は決して小さくないと言えよう。 #近畿日本鉄道 #近鉄3000系
鉄道模型 TOMYTEC 4両Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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近鉄2400系電車
1960年代半ばになると、車両の総合的なコストダウンを目指し、カルダン駆動方式に関わる技術向上を踏まえてMT(電動車と非電動車)比率の見直しを行うと同時に、一般車の仕様統一も図られることとなった。これらを生かし、大阪線向けとして1966(昭和41)年に登場したのが本形式である。 従来のカルダン駆動車では全てが電動車、或いはMT比率が2:1といった電動車の比率が高い編成を組まざるを得なかったが、主電動機の出力が向上したことによって本形式ではMT同数の編成が可能となった。 制御装置には大阪線向けの一般車として初めて電動カム軸式が採用された他、補助電源装置や空気圧縮機を非電動車に搭載することで編成中の重量配分の均等化も図られた。また、車体外部塗色もマルーンの単色塗装へと改められている。 本形式の後は、ラインデリアと通称される強制通風装置を搭載し空気バネ台車も採用した2410系が1968(昭和43)年に、3両編成列車への投入のために設計変更を行った2430系が1971(昭和46)年に、新製当初より冷房を装備して名古屋線との共通車両ともなった2800系が1972(昭和47)年に、それぞれ大阪線向けの一般車として登場しており、これらは2400系を基にして展開・増備された形式である。 そして、一般車同様の片側4扉を持ちながらボックス式クロスシートを備えた急行用車両として、2600系が1970(昭和45)年に、新製当初より冷房装備の2610系が1972(昭和47)年に登場しているが、これらもまた2410系以降の機器類を受け継いでおり、2400系の延長上にある車両だと言える。 2400系として登場したのは2両編成6本のみにとどまったが、大阪線向け一般車と急行用車両のレベルアップ、更には近鉄における高出力電動機の普及において大きな役割を果たした形式である。 なお、本形式も登場後はATS(自動列車停止装置)や列車無線装置等の保安機器類の設置、冷房化、車体外部塗色の変更といった種々の改造工事が実施されている。 #近鉄2400系 #近畿日本鉄道
鉄道模型 TOMYTEC 4両Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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大阪市交50系電車
2両の電動車を1組として構成する方式(局内では「ユニットカー」と呼称)を市営地下鉄で初めて導入した車両で、1960(昭和35)年に登場した。 1200形電車の増備車両をもとにして、走行に必要な機器類を電動車2両に分散して搭載することにより、車両の軽量化と保守の合理化を目指した設計となっている。 車体もやはり1200形の増備車両を基本としており、アイボリー(車体上部)とオレンジ(車体下部)のツートーンカラーの外部塗色を踏襲したが、戸袋窓の小型化やウインドーシル(窓下に設ける補強材)の廃止によって、より近代的な外観となった。 増備段階においては、機器面では台車や空気圧縮機、車体関係では床構造や一部の窓の形態等で改良が実施されたほか、ATC(自動列車制御)装置や車内信号機(千日前線で使用する車両のみ)の設置や、保守作業合理化のための室内灯数削減といった改造が重ねられた。 1975(昭和50)年以降は、車体外部塗色が淡緑色(アッシュグリーン)をベースに、各路線のラインカラーを前面貫通扉と側面ドア間の窓下に配するデザインへと変更されたのをはじめ、単独走行が可能だった800形(元6000形)・900形(元6100形)・200形(元1200形)の各電車の編入とこれに関連する改造も1978(昭和53)年以降に行われている。 本形式は、1000形電車以来進められてきた車両の近代化・合理化を結実させた車両として、そして、以後の形式に発展していく礎を築いた車両として、画期的な存在であったと言えよう。 #大阪市営地下鉄50系 #大阪市営地下鉄 #大阪市交通局
鉄道模型 TOMYTEC 10両Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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阪神5500系電車
今後の阪神車両の標準となるべく、コストの抑制と保守性の向上を図りつつ、走行機器類から車体外観、接客設備面に至るまで改良が加えられた普通用車両で、1995(平成7)年に登場した。 車体外部塗色の変更が外観上の最大の特徴となり、普通用車両における青色のツートーンカラーを継承しているものの、上部に水色(アレグロブルー)、下部に淡灰色(シルキーグレイ)という新たな配色を採用して、単なる新形式車両としてのアピールにとどまらず、阪神・淡路大震災からの本格的な復旧を訴えかけるものとした。 外部塗色以外にも、8000系電車を基本とした車体には前面窓周りや灯具設置部分の平滑化や床面高さの低下といった改良が加えられ、保守性向上の見地からステンレス製屋根板や固定式側窓(開閉可能な側窓も残存)の採用もなされた。 また、床面高さの低下と合わせて、客室内には非常通話装置やマップ式車内案内表示装置、扉開閉予告ブザーの設置等、接遇面での設備の充実が図られている。 搭載機器類の面ではやはり保守性・経済性向上の観点から、阪神では初となるVVVFインバータ制御方式・誘導電動機が採用されている。 そして、従来の普通用車両に比べて加速度・減速度の値を抑える一方、中高速度域での加速性能向上と加速度変化率(ジャーク)の調整によって、普通列車における運転時分の維持と乗り心地の改善を果たすものとなった。 2017(平成29)年にはバリアフリー設備の拡充を軸としたリニューアル工事を実施した“リノベーション車両”が、2020(令和2)年には2両編成化や野球に因んだ内外装への変更を施して武庫川線用とした車両がそれぞれ登場している。 #阪神5500系 #阪神電気鉄道
鉄道模型 GREENMAX 4両Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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阪神8000系電車
武庫川線の洲先・武庫川団地前間開業に際して、本線急行用車両の補充が必要となり、更に急行用車両の代替えも視野に入ってくる中で、1984(昭和59)年に登場した。 設計・製造にあたっては、今後の急行用車両のあり方として経済性の向上が目指され、制御装置には界磁チョッパ方式が採用された。 界磁チョッパ制御を採用した急行用車両としては、7801形・3521形電車の改造による3000系電車が本形式の前年に登場しているが、本形式は在来車両との連結運転を考慮しないものとして設計されたため、電気指令式電力回生ブレーキの初採用にも至っているほか、常時6両編成で営業運転を行うものとされたことで、中間の車両から乗務員室を廃した構造となっている。 車体については第1編成と第2編成以降では大きく異なっている。このうち第1編成では、電気連結栓や非常脱出口化された貫通路の関連装具等、連結運転を行わない設計となったことで不要となった編成前頭部の設備・装備品類を廃したほかは、車体の内外は3800形電車に準じた内容にとどめられた。 一方、第2編成以降では3061形電車をはじめとした車齢の高い急行用車両の置換えが増備の目的となり、急行用車両の新たな標準とすることを目指しながら阪神電車全体のイメージアップにも繋げるべく、車体関係について大きな見直しが行われることとなった。 前面は非常脱出口である貫通扉を中央に配し、前面窓を天地方向に拡大。列車種別と行先の表示装置は左右に振り分け、前面窓上部にそれぞれブラックアウト処理して収められた。灯具類では、前照灯2灯が中央の貫通扉上に並べて設置され、標識灯は通過表示灯と後部標識灯に分離して一体ケーシングしたものに変更。このほか、前面車体下部にはスカートが取り付けられた。 側面では側窓にバランサ付の一段下降窓が採用されたことが目立つところで、開閉操作性と採光性が向上したのは勿論のこと、軽快な色彩となった内装や連結面貫通扉の窓の大型化と相まって、明るい印象を与える車内空間作りにも寄与している。 また、乗務員室内においても運転台周りの機器・計器類の配置が大きく改められ、居住性と操作性の向上が図られている。 増備の進行に連れて、冷房方式の変更(分散式から集約分散式へ)に伴う車体断面と車内天井見付の変更、側窓の拡大と内装の大幅な見直しといった変化も生じたほか、増備の最終年にあたる1995(平成7)年には阪神・淡路大震災を受け、一部車両の被災廃車と編成の組み換え、並びに補充車両の新製が行われている。 2001(平成13)年からはリニューアル工事が実施され、制御装置等の部品交換・修繕はもとより、客室にはLED式車内案内表示装置やバリアフリー関連設備の新設、一部車両のセミクロスシート化(後年には施工しない車両もあり)が行われ、内装材も9300系電車に準じた物へ交換された。 更に、車体外部塗色もまた同形式と同様、上部にオレンジ色(プレストオレンジ)・下部にライトベージュ(シルキーベージュ)の新たなツートーンカラーとなって、阪神を代表する車種としての活躍を続けている。 #阪神8000系 #阪神電気鉄道
鉄道模型 MICRO ACE 6両Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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阪急2800系電車
1963(昭和38)年の京都線河原町延伸開業に際しては、当時の最新形式であった2300系電車が特急列車に充当されたが、運転形態(大宮・十三間ノンストップ)及び競合他社との差別化に鑑み、程無くしてクロスシートを備える特急用車両の導入に踏み切ることとなった。本形式はこのような背景から1964(昭和39)年に登場したものであり、走行機器類については2300系のものをそのまま採用し、同系の車体を特急仕様とした内容となっている。 客用扉は2300系同様の両開き式ながらも1両につき片側2ヶ所とし、車内は扉間に転換式のクロスシート(但し、乗降口寄りは収納式の補助座席を組み込んだ仕切りと一体化された固定式クロスシート)が、扉より車端寄りにはロングシートがそれぞれ備えられている。なお、側窓は2枚1組としたいわゆる連窓(乗務員室付き車両の乗務員室背後を除く)となっており、眺望性の向上が図られると共に、特急車両らしさをアピールする外観上の特徴ともなっている。 登場当初は5両編成であったが、輸送人員が増加の一途を辿る時期であったこともあり、1966(昭和41)年には6両編成に、その翌々年には7両編成に延伸され、1972(昭和47)年までに8両編成となった。 また、当時の他形式同様、中間に乗務員室(運転台)を備えた車両を含める編成構成であるが、ラッシュ時の混雑緩和の観点から中間に存在する乗務員室の位置を京都(河原町)方向へと寄せるため、6両編成化される時点で大阪(梅田)側の小編成と京都側の小編成の連結順序が入れ替えられている。 8両編成化と平行して、阪急の車両では初となる冷房化改造工事を実施。更に、後継特急車両となる6300系電車の登場後となる1976(昭和51)年からは一般車両化改造が行われ、車体側面の中央に客用扉が追設された上、客席は全てロングシートへと変えられた。この改造では車体構体を極力生かすため、従来からの2枚1組の側窓がそのまま残されており、中央に追設された客用扉の戸袋部分に位置する窓は戸袋窓として活用される等、ますます特徴的な外観となった。 #京阪神急行電鉄 #阪急電鉄 #阪急2800系
鉄道模型 GREENMAX・MICRO ACE 23両Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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京阪2200系電車
“スーパーカー”こと2000系電車に次ぐ通勤・通学輸送用の高性能車両として、1964(昭和39)年に登場した。但し、車体外形こそ2000系に準ずるものの、普通列車のスピードアップを目指して高加減速性能の強化に力点を置いて設計された同系に対し、本形式は急行列車への充当を主として、高速性能と経済性の向上に主眼が置かれた設計となった。 性能面では高出力の直巻電動機を採用することで、電動車比率(MT比)を1:1と出来るようにし、運転密度や速度に拘わらず安定した制動性能を得られる発電制動の採用によって、制御装置の構造の簡素化にも結び付けている。 車体は2000系の増備車両と同等としているが、前面下部へのスカートの設置と幌構造の変更、並びにパンタグラフの設置位置の変更が見られるほか、台車については2000系の増備車両で採用した物の改良型としてあり、装備の標準化や車両の保守性向上を目指した設計が盛り込まれている。 1974(昭和49)年からその翌々年にかけては、電車線電圧の昇圧に対応するための準備工事に冷房化を併せた大規模な改造工事が実施され、特に昇圧対策の観点では、本形式を基にして将来の昇圧を前提に設計された2400系電車に範をとる形となったことから、電動車を隣接させて連結させる等、車両の編成にも変化が生じた。 1984(昭和59)年からは車体改修工事が開始され、編成中間への連結が常態化した乗務員室付き車両については、乗務員室の撤去による完全中間車化を実施。そして、先頭車両については前面の貫通路を非常口化し、幌具の撤去や外開き式扉への交換がなされた上、この外開き式扉には列車種別・行先の表示装置が組み込まれている。 その後も改修工事の進捗に連れて工事内容が深度化され、標識灯具や前面窓支持材の交換、電力回生制動を付加した制御方式への変更といった項目も加わり、外観上も内容的にもバラエティに富む形式となった。 #京阪電気鉄道 #京阪2200系
鉄道模型 MICRO ACE 14両Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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近鉄16200系電車“青の交響曲”
世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」への足となる他、数々の自然景観をはじめとした観光資源を沿線に持つ南大阪線・吉野線において、「上質な大人旅」をコンセプトとする特急用車両として、2016(平成28)年に登場した。 開発にあたっては、従来の特急用車両とは一線を画した観光特急とするという位置付けであることに加え、既存の一般型車両である6200系電車からの改造という方策を採ったこともあり、外観から内装まで非常にユニークな車両となっている。 車体は前面造形に改造元となった6200系の面影を残すものの、客用扉と側窓の配置や形態は内装に合わせて一新されており、塗色は濃紺をベースに金色の帯を配したものとして、公募をもとに命名された名称である「青の交響曲(シンフォニー)」に基づいた「Blue Symphony」のエンブレムを添えて、コンセプトに相応しい落ち着いた雰囲気が表現されている。 車内は、3両編成のうちの両先頭車両を座席スペース、中間車両をラウンジ車両としてある。このうち、座席スペースとなった両先頭車両では、2列+1列のシート配置としていずれも幅の広いデラックスシートとしている上、グループ旅行客に好適となるよう大型テーブルを挟む形でシートを対面配置させたサロン席(2列席側)とツイン席(1列席側)も備えられた。なお、大阪阿部野橋側の先頭車両にトイレが設置されている。 また、ラウンジ車両となった中間車両には、革張りのソファーや間接照明によって非日常感を追求したラウンジスペースと、南大阪線・吉野線沿線の特産品を使用した飲食物と観光情報を専属アテンダントが提供するバーカウンターを設置。併せて、沿線を題材とした書籍と車内の雰囲気にマッチしたベンチを備えたライブラリーが、吉野側の車端部に設けられている。 本形式は1編成のみの存在であるため、使用する列車と運転期日は予め定められた上で公表されており、車両の整備・検査の都合で本形式による列車を運行しない場合には、全く同じ時刻に通常の特急用車両による特急列車を“代走”させる運行方法もまたユニークなものとなっている。 #近畿日本鉄道 #青の交響曲 #近鉄16200系
鉄道模型 GREENMAX 3両Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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京阪800系電車
京都市営地下鉄東西線の開業に伴い、京津線は三条~御陵間を廃止の上、同線との直通運転の実施によって大津市・京都市東部地域と京都市中心部とを結ぶ路線に再編されることとなった。その新たな運行形態となる京津線用の車両として、1997(平成9)年に登場したのが本形式である。 市営地下鉄への直通運転を行うため、車両の規格や保安装置類については地下鉄側の基準に適合させてあり、1両あたりの車幅と車高は従来京津線で用いていた車両と同等としつつ、車長は地下鉄側の規格に合わせて16.5mへと延伸され、客用扉も片側3ヶ所としている。但し、浜大津~上栄町間に併用軌道が存置されるため、列車全長を抑制する目的で4両編成とされている点が市営地下鉄の車両とは異なっている。 車体はこの併用軌道走行の観点から、京阪線の車両で標準となっていたアルミニウム合金製ではなく、修繕作業の容易な普通鋼製とされており、側面下部には車幅灯が取り付けられている。なお、鋼製車体の難点となる耐食性や軽量化については、スキンレス台枠の採用や外板に強度を持たせた構造とすることで克服を図っている。 車体外観は前面のデザインをはじめとして、全体的に京阪線の7200系電車に倣ったものとしているが、塗色は水色(パステルブルー)と灰色(灰白)を組み合わせたものに黄色(刈安)の帯を添えた斬新なものとなった。更に車体裾部を反射塗料による黒塗りとし、併用軌道走行時の外部からの視認性向上を図ると共に、幅と高さの比率から車体が“胴長”に見えてしまう事を抑える視覚的効果も狙っている。 内装では座席配置に工夫が凝らされ、先頭車両では2列+1列のクロスシートとして、中央の客用扉を境としたいわゆる離反型の配置としてある一方、中間車両ではロングシートとし、通勤・通学輸送と観光客輸送の双方への対応を狙ったものとなっている。なお、座席や天井・壁面・床面の色彩とデザインは7200系に倣ったものとしている。 走行性能面においてはVVVFインバータ制御とした上、制御装置にIGBT素子を使用して性能向上と低騒音化を図ると同時に、全電動車方式とすることで急勾配と急曲線の点在する京津線に対応する運転性能を持たせた。パンタグラフには、電車線(架線)高さの異なる京津線・地下鉄東西線双方に対応出来る追従性と、屋根上スペースの有効活用とを考慮して、シングルアーム式の物を京阪の電車で初めて採用している。 2017(平成29)年には、京阪線と大津線の車両イメージを統一する目的から車体の外部塗色が変更され、濃緑色(レスト・グリーン)と白(アトモス・ホワイト)のツートンカラーに黄緑色(フレッシュ・グリーン)の細い帯を加えたものへと変更されている。 #京阪電気鉄道 #京阪800系
鉄道模型 MICRO ACE 12両Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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東武8000系電車
通勤・通学輸送に供する一般型車両において、車長20mで客用扉は片側4ヵ所という基本スタイルを確立した7800系電車グループ、通称78系の後継形式として、1963(昭和38)年に登場した。本形式の増備は1983(昭和58)年までの長きに亘るものとなり、我が国の私鉄電車において同一形式群では最大となる712両の車両が出揃ったことで特筆される存在である。 設計・製造にあたっては全般的に2000系電車で導入した機構や技術を基にしており、車体は先述の通り20m級で、片側4ヵ所の客用扉は両開き式となり、側窓は上段下降・下段上昇式となって、戸袋窓は省略された。 また、車体前面は運転士の視野拡大と踏切障害対策のために運転台の床面高さが上げられたことに伴い、窓が横長となった独特のスタイルが形作られ、その後に登場する6000系電車や車体更新車の3000系・5000系電車各グループにも波及している。 機器類については2000系の内容を更に推し進め、超多段式のバーニア制御方式と出力を高めた主電動機を採用する一方、制御装置の構造の簡素化等を考慮して発電制動は省略される(代わりに制輪子にレジンシューを採用)等、滑らかな加速性能を確保しつつ保守性の向上をも狙ったものとなっている。 台車については枕バネが空気バネとなっているのは勿論のこと、軸箱支持方式は高速走行時の安定性を追求してミンデン式へと変更され、これは以後長く東武車両において標準と位置付けられるものとなった。 増備に連れての変更点としては、当初は4両編成と2両編成のみであったものが、列車の長編成化の進展に伴って6両編成や8両編成も加えられた点。接客サービスを向上させるべく冷房装置の装備が標準化され、冷房未装備で登場していた車両についても設置改造がなされた事。台車についても、製造工程の変化と床下空間の有効活用の観点から、オーバーハングの少ないいわゆるS型ミンデン式のタイプへと移行している事象等が主だったところである。 1986(昭和61)年からは、車体の腐食部位の修理を主とした車体修繕工事が開始され、これはその翌年から前面形状の変更も伴う大規模な工事へと進展した。6050系電車に倣った前面形状への変更は、ほぼ同時期に実施された車体外部の塗色変更とも相まって、本形式延いては東武の一般車両全体のイメージアップにも寄与するものとなった。 1991(平成3)年以降は、増結・解放運用の減少によって、一部の先頭車両については中間車両化改造が実施されたほか、余剰となった8両編成を短編成化してワンマン運転線区向けへと転用するための改造工事も実施され、この中で派生形式となる800型並びに850型の両電車も登場している。 #東武鉄道 #東武8000系
鉄道模型 KATO・TOMYTEC 30両Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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近鉄3220系電車
21世紀の標準型通勤車両を目指し、高齢化社会への対応、環境負荷の低減、製造・保守時のコストダウン、運転・保守係員の作業性向上を図った「シリーズ21」の第1弾として、1999(平成11)年に登場した。なお、本形式は京都市営地下鉄烏丸線への直通運転用という主目的から、先頭部は非常口設置の非貫通形としている。 車体は近鉄でも長い導入実績のあるアルミニウム合金製だが、天井内装及び屋根構造の見直しによって製造作業時間の短縮が図られたものとなったほか、外部塗色も薄茶色(アースブラウン)と白(クリスタルホワイト)のツートンカラーをベースに、双方の塗り分け部分に黄色(サンフラワーイエロー)の帯を入れたものへと改められた。また、ホームとの段差低減のための床面高さ低下や、車両連結部への転落防止用外幌の設置もなされている。 車内設備としては、各車両への車椅子スペースの設置や、両肘掛け付きの席「らくらくシート」を備えたロングシート、寸法変更により上げ下ろしの便を高めた荷棚、異なる高さのものを混在させた吊り手、LED式車内表示装置の設置等の新機軸が多数盛り込まれている。 走行機器類についても性能と保守性の更なる向上を目指し、VVVFインバータ制御装置へのIGBT素子の採用をはじめ、構造変更によって軽量化させた主電動機、交流電動機を使用した電動空気圧縮機、鞍型構造の軸箱としたボルスタレス台車等が取り入れられている。 本形式の導入と相前後して、近鉄奈良発着となる京都市営地下鉄烏丸線との直通運転列車が設けられることになったことから、これをPRすべく京都と奈良をイメージしたペイントを施した車両も登場した。 #近畿日本鉄道 #シリーズ21 #近鉄3220系
鉄道模型 GREENMAX 12両Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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南海21000系電車“ズームカー”
1958(昭和33)年に登場した高野線用の車両で、同線用の電車として初めてカルダン駆動方式を採用したのと同時に、鉄道車両向けとしては我が国で初となる補償線輪付きの電動機を電機メーカー(東洋電機製造)と共に開発の上で採用。50‰の急勾配と半径100mの急曲線の存在により高牽引力が求められる高野下・極楽橋間と、急行運転の高速性能が重視される難波・河内長野間の双方をスムーズに運転出来る性能を満たす車両となった。 カルダン駆動方式を用いたいわゆる高性能電車が続々と登場していた当時の流行に乗り、急勾配区間を力強く登坂する様子を航空機の急上昇に準え、また、急勾配区間での運転から平坦区間での高速運転まで自在に対応する様子をズームレンズに例え、本形式には“ズームカー”の愛称が付けられた。 車体は、当時流行していた前面非貫通・2枚窓のいわゆる湘南型スタイルで、本形式が登場する前年に在来車両の機器類を流用して製作し高野線用として登場した21200系電車に倣っている。客用扉は片側2ヶ所とされ、座席は扉より車端側がロングシート、扉間は転換式のクロスシートとされたが、増備の段階で全席ロングシートへと変更されている。なお、前に述べた線路条件から車長は17mで、パンタグラフの折り畳み高さが低く抑えられている。 1973(昭和48)年に実施された電車線電圧の昇圧に際しては、電機品の昇圧対応工事に併せて、冷房装置の設置工事が実施されたのをはじめ、本形式を使用する急行列車の混雑対策として、クロスシート車両の一部において全席ロングシート化を行ったり、本形式の増結用として登場した22000系電車との連結作業に便利なように、難波寄の前頭部の連結器を交換する等の改造も行われた。 また、1995(平成7)年には4両編成の中間車両を外した2両編成となり、南海線支線用に転用される車両が現れたが、これは当時残存していた非冷房車両の1521系電車を淘汰する目的で実施されたものである。 #南海21000系 #ズームカー
鉄道模型 TOMYTEC 2両Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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南海2200系電車
新製から20年以上が経過した22000系電車“通勤ズームカー”を継続使用するにあたって、腐食や老朽化の進んだ車体各部の修理や接客設備の近代化、機器類の保守性向上といった更新工事を実施することとなり、これに伴って車両の形式・車体番号を変更して当形式となったものであり、1994(平成6)年に登場している。 車体は側面構体や外板、屋根板、雨樋、床板等、大部分の部材を交換し、外部塗色もライトグレー地に青とオレンジの帯に改められたほか、客室内では車椅子スペースの設置や化粧板・床材の全面張り替え、荷棚の交換、案内標記類のピクトグラム化等が実施された。また、車両保守の面では、乗務員室内の機器配置変更や表示灯類のLED化、電動空気圧縮機の改造と除湿装置の新設、ハンドブレーキの撤去といった改造が行われている。 なお、更新工事実施当時の南海の車両情勢により、本形式への更新後も高野線で継続して使用する車両(通称2200型)は少数にとどめ、大半の車両は高野線から転出させて南海線の支線(いわゆる汐見橋線を含む)或いは貴志川線で使用させるため、それぞれに適した改造が併せて実施された。 南海線の支線用車両(通称2230型)では、制御装置から急勾配線区での運転に適する機能を解除し、先頭部の連結器交換と幌の撤去、床面高さの変更といった改造を追加した。また、貴志川線用の車両(通称2270型)には、南海線・高野線との電車線電圧の違い(南海線・高野線は1500V、貴志川線は600V)により各種回路を複電圧仕様として機器類に変更が生じたのを始め、双方とも電動車だった2両編成のうちの1両を非電動車とした上、先頭部の連結器交換と非貫通化、運賃収受式ワンマン運転対応化といった改造がなされた。 この後、1997(平成9)年には高野線用の2200型が全て南海線の支線用に再改造されたほか、2006(平成18)年には貴志川線の和歌山電鐵への事業譲渡と共に2270型が全て譲渡されている。更に2009(平成21)年には、2200型のうちの1編成に高野線での観光列車「天空」に用いるための改造が施されている。 #南海2200系 #南海2230型
鉄道模型 TOMYTEC 2両Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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南海2000系電車
1990(平成2)年に登場した高野線用の車両で、50‰の急勾配と半径100mの急曲線が存在する高野下・極楽橋間を走行出来る21000系・22000系電車“ズームカー”シリーズの増備並びに後継形式であることから、1両の車長は17m、乗降口は片側2箇所である。 走行機器類では、南海で初となるVVVFインバータ制御装置を採用し、平坦線区での高速運転と高牽引力が要求される急勾配線区での運転の双方に対応可能な構造の主電動機と組み合わせて、従来の“ズームカー”との併結運転を満たす性能としたほか、経済性の向上を図るために電力回生ブレーキ付きとなっている。また、急曲線での走行安定性向上の観点から、緩衝ゴム式軸箱支持とした空気バネ台車を装備した。 車体は、南海では6000系電車以来実績のあるオールステンレス製としつつ、外板にはダルフィニッシュ仕上げ・ビード加工としたものを初めて用いたほか、前面窓と側窓の下部には黄緑色(フレッシュグリーン)と緑色(マラカイトグリーン)のツートンカラー、側窓の上部には緑色(窓下部同様のマラカイトグリーン)の帯をそれぞれ配した。 車体前面はFRP(ガラス繊維入り強化プラスチック)製成形品で覆い、前面窓と貫通扉窓はそれぞれ天地方向に大型化させた上、列車表示装置については列車種別と行先を分離して左右の窓上部に収め、前照灯と標識灯は角形化・一体化させて左右の窓下に配置した。 また、側窓には2枚1組の大型ユニット窓を採用(但し乗務員室直後の窓を除く)し、内装の配色や荷棚構造の変更、1人当たりの着席幅を広げた座席等とあわせて、明るく居住性の高い室内環境作りが目指されている。 1992(平成4)年に実施された車体カラーデザインの変更以降、既存の車両では車体の帯のデザイン・色の変更を実施。増備車両については車体外板のビードや内装にも変化が生じ、小編成の列車や増結車両に適した2両編成が登場したほか、車端部にクロスシートを備えた車両も現れた。 高野線におけるダイヤ構成の見直しと全線での車両需給の検討を踏まえ、2007(平成19)年からは南海線にも活躍の場を広げている。 #南海2000系
鉄道模型 MICRO ACE・TOMYTEC 10両Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)