Finian's Rainbow

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ダンスシーンをワンカットで撮影する「アステア・ドリー技法」も無ければ、監督はミュージカルとは無縁(?)で、後に『ゴッド・ファーザー』シリーズで名を馳せるF・コッポラ。時は1968年……どこにも往年のハリウッドミュージカルの香りは感じられないし、加えて要の編集もとても雑。

69歳のフレッド・アステアがスクリーンで踊っている! ということだけで今のマニアは嬉しくなるものの、バリバリだった現役時代を知っている当時のファンや、そして誰よりもアステア本人はどんな気持ちだったのか……後追いで鑑賞している人間には想像できない。

とかなんとか生意気なことを並べつつも、いやいやしかし、これだけの美しいダンスができるのかと感動しきり。

ただその感動に集中できない要因がいくつもあり、中でも一番は まわりを埋める主要キャスト陣の“舞台人っぽさ”である。映画のキャストではないのだ。
歌もダンスも台詞の発声もすこぶる上手い……だが、どこかフィルムに乗っていない感じがする。
例えるなら、洋画の日本語吹き替えで、声優ではないタレントや俳優が声を務めているような。

アステアのダンスシーンがカット割り無しで観られたらどんなに素晴らしいだろう!

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