Three Little Words
個人的にアステアの共演者として大好きなダンサー、ヴェラ=エレンとの作品。
彼女はとても訓練されたダンサーなのだろう。
そのような人材は当時のMGMには溢れるほどいたのだろうが、その中でもやはり“華がある”逸材だったのだと思う。訓練された感が出ずに、とても素朴だ(だからジーン・ケリーの『踊る大紐育』では田舎出身のミス・ターンスタイルズがハマっているのだろう)―― と同時に、何故かわりと「お色気系」のナンバーをあてがわれるのに違和感がある。
アステアはヴェラがお気に入りだったというのは有名な話。
普段は女性パートナーと踊っていても見られない「いやらしさ」を随所でアステアに見ることができる(というマニア観点)。
「Mr.& Mrs.Hoofer at Home」は永遠の憧れの作品。
一流コメディアン、レッド・スケルトンの野球のくだりは秀逸。
それとは別に「食堂車での朝食」のシーンで、バターの上に肘を置いてしまったスケルトンが、その失敗に上塗りしてジャムの上に反対の肘を置くという動作に笑ってしまうヴェラがとてもかわいい。
映画冒頭の「Where Did You Get That Girl?」で、燕尾服にシルクハットなのに「靴下がなぜ白なのか」が非常に疑問だったが、男装のヴェラを(帽子を取った後のポニーテールを含め)女性らしくキュートに見せる手段の一つなのだろうと今は納得している。