イースト・ヴァイオニック・シンフォニア レコーディッド・ライヴ 限定リイシューエルピーと海賊盤二種

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恥ずかしながら1976年のオリジナルALM盤ではありません。76年7月に小杉武久が主宰する音楽教場のメンバー10人によって録音された集団即興演奏の記録。他の二枚もインプロヴィゼーション1976と題されて各限定200枚で製作されたレコード。いずれも欧州製と思われますが定かではありません。内容はやはりタージ・マハール旅行団を想起してしまうのは否めませんが、個の音が全体のアンサンブルに埋没し匿名性を伴っているのは当然としても、互いの音を注意深く聴きながら気配を交感し、発音を巧みに制御している印象は受けます。そして、ひたすらタレ流しで冗長になりがちなこの手の音楽ですが、作品化するための編集、或る瞬間を選び切り取るセンスなどプロデュース側の手腕も大きな役割を担っているといえましょう。演奏している本人はその瞬間は愉しいが、聴かされる側は遣り切れない場合が多い(笑)ケースも珍しくなく、やはり個々のプレーヤーの「いかに音を出さずに演奏するか」といった妙なセンスが問われると思いますね。一方で、リスナーにとってはこうした音の連なりが心地よいか否かだけですべては事足りるし、そもそも難しいとか解らないなんていう音楽など存在せず、ひたすら己の感性に照らし合わせて「好きか・嫌いか・どうでもいいか」の簡単な断じ方だけでよろしいと思います。まあ、こういうライブを聴かされた場合ならば、一応の建前として儀礼的な拍手をパラパラと送るのは日本人たるもの必須のセンスですが。
さてこのレコード、欲をいいますと、先生の計らいで何某かを染み込ませた紙片でも同封しておいてくれればより一層などと、前時代的なセンスも露呈してしまいますが、今はそういうことを思いついてはいけません。

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