ALPA Old Delft Alfinon 50mm f2.8 マウント製作記 その1

初版 2022/05/31 13:35

改訂 2023/10/26 08:21

先日、Museoの来館者からマウントアダプターの製作依頼がありまして、

お請けすることにしましたので、製作記など ………


アダプター作って見たい方の参考になるかどうか分かりませんが ………


来館者のMusseo_PaPaさん、多分この写真を見て、作って貰いたくなったのでは無いかと思います。Lumix GF1が、発売されてまもなくこのカメラを購入しました。


レンジファインダーカメラを、彷彿されるフォルム、格好いいです。

モニターでの撮影は一寸自分には無理なので、外付けビューファインダーを買って付けてあります。


フィンダーが90度真上に向くので、ローアングルの撮影も楽にこなせます。

但し、持ち運びには、ファインダーの損傷が気になるので、姉妹機のLumix G1を購入して、以後、撮影の主役はG1、ソニーのαEシリーズが出るまで続きます。


ALPA-REFLEX / P.ANGENIEUX ALPAR 50mm F2.9



ALPA-REFLEXは、1946年から1952年までバリエーションを含み4645台、生産されました。4645台、全て手作りだと思っていましたが、思っていた通り届いたレンズは自分の物とは違っていました。


生産台数の少なさと言い、レンジファインダーのカメラでありながら、ウエストレベルで、撮影出来るカメラは、殆ど見ることが無いので希少なカメラです。


搭載のレンズは、Old Delft Alfinon 50mm f2.8

最近、隠れ人気のオランダのOld Dlft のレンズです。

個人的には、五つ星のレンズです。


19世紀後半のフランスの印象派の画家、モネ、ルノワール、ピサロ、シスレー、セザンヌの画家の絵画を、彷彿するレンズだと思っています。

クロード・モネ 「印象・日の出」


印象派の名前の由来の絵画。

空間と時間による光の質の変化の正確な描写、描く対象の日常性、人間の知覚や体験に欠かせない要素としての動きの包摂、斬新な描画アングルなどが素晴らしい作品だと思います。



絵画教室に通ったのですが、才能の無さは努力だけでは補えず挫折、写真に活路を未だに見いだそうと、レンズ収集に走っています。

写真、真実を写すと言うよりも、抽象的な写りのレンズに思考は傾いています。


腕では無く、レンズに頼れるからに他ならないのですが ………


Old Delft Alfinon 50mm f2.8


約190度の回転角で、3.1mmレンズ伸長して、3.3/12インチまでの撮影範囲です。1m〜無限大の撮影範囲です。

因みに、3/12は、インチ12進法だからです。この表記のあるのはアルパだけかな?



Old Delft Alfinon 50mm f2.8のレンズを下記のマウントアダプターに装着すれば、27mm〜57mm、30mmもヘリコイドが伸びるので、オリジナルの10倍も伸ばす事が出来るので、アルフィノンでマクロの世界が見えてくる。


想像するだけで、楽しそうです。


何故、今まで作らなかったのは、10年前にはこのヘリコイドは販売されて無く、

代用出来るのは、オリンパスのレンズのヘリコイドを利用することぐらいでした。


完成時には、Old Delft Alfinon 50mm f2.8のスーパーマクロを、

作例と共に掲載したいと思います。


Pisco M42-Nex/M ヘリコイドマウントアダプター



制作の基本構想は、以前から製作しようと思っていたので決まっているので、

まずは、αEマウントの外形約60φのアルミ鋼材をチョイスします。


特別Ver.ダブルヘリコイド仕様、市販のM42-αEマウントアダプターに組み込むことにしました。


長尺のアルミ棒材から、適当の長さにカットして、


片面をM42マウントにする切削作業。


マウントの厚みの、10%以上大きめにカットして、正確に平坦面を出します。



この作業を丁寧にやらないと、解放で撮影するとカタボケの原因になります。



マウントのボーリング加工



Old Delft Alfinon 50mm f2.8は、沈胴レンズなので収納する時のホールを開けます。

本来、このレンズは沈胴レンズであるから、引き伸ばして撮影するのですが、

沈胴レンズの宿命、鏡胴にスレが入るので、収納したまま撮影出来れば、

傷が付かないまま、長期に渡り綺麗に使えます。

また、本来のレンズ以上に使い勝手が向上します。

レンズ伸ばせば、スーパーマクロになります。


M42、ねじ切り風景


片面を正確平面を出して、ねじ切りバイトでネジを切っていきます。


以前は、電動で回転させていましたが、機械ではネジの切っている感触が分からないので、現在は手動でネジを切っています。


ジョウ(四つ爪ホルダー)は、正確に素材の芯を出せます。

墨入れしてあるのは、ネジの山の遊び部分の線幅で、有効径の位置とねじ切りの乱れのチェックをします。


ネジの規格


M42スクリューマウントは、直径42mm ピッチ1mm ねじ山角度60度の

ネジのことです。

ノギスで計ると、ピッタリで無いのは、有効径の位置が山と谷の中間だからです。

ねじ切り終えたマウントと、ヘリコイドマウントアダプター


レンズを載せるとこんな感じです。



この後、マウントをアルパマウントの爪を削っていく作業になります。

では、次回、マウントアダプター三つ爪加工です。



#アイテム

#製作

デジタルカメラで、フィルムカメラの魅力を伝えられたらと思います。
フィルムカメラのレンズを、デジタルカメラでも使えるようにクラフトしています。

リンク先掲載を、ミューゼオ運営様に掲載確認をし、問題がないとのことなので掲載させて頂きました。
ミューゼオで来館されて気になるカメラを、出品してるかも知れないので、お暇なとき立ち寄って見て下さい。

https://www.mercari.com/jp/u/708520704/

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    T. S

    2023/10/25

    すごいです👏
    金属の機械加工は道具がないので出来ません。憧れですね🤩

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    Fortune Lens

    2023/10/25 - 編集済み

    T.S館長さん、コメントありがとうございます。
    金属加工、ねじ切りが出来るようになるまで時間が掛かりました。
    そのおかげで、今までオリジナルのカメラでしか使えなかったレンズが、デジタルカメラで思う存分撮影出来るようになりました。
    下手な鉄砲も数打ちゃ当たる! デジタルはフィルム代が掛からない分、気軽にシャッターが押せます。

    一眼レフを製造していたカメラメーカーおよそ110社ほどありますが、そのマウントアダプター製作しましたので、今度お披露目します。最近は、レンズ固定のレンジファインダーカメラのレンズも、L39ライカマウントに変換しています。
    因みにデジカメ5大メーカー、キャノン、ニコン、ソニー、オリンパス/ルミックス、フジ、各社のマウントアダプターも製作してありますので、カメラを替えて撮影も出来るので、カメラコレクションライフ楽しんでのでいます。

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      T. S

      2023/10/25

      ネジ切りはホント凄いです。しかも手作業とは!
      私は先日にカスタムガンを作った際、ネジ部をやられてパーにしてしまったモノがありましたが、こうやって再生できたなら、、、と思いました。

      ネジ加工といえば、種子島の鉄砲鍛冶(を目指す人)が、我が娘と引き換えにポルトガル人から「ネジの仕組み」を習った…という逸話を先日に種子島で聞いたところです。。。

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      Fortune Lens

      2023/10/26 - 編集済み

      鉄砲伝来の頃は、旋盤が発明されていないので、ネジも手作りなのでしょう ………
      ネジで銃底の尾栓を塞がないと圧力が下がって威力が半減してしまうから重要だったのでしょう ………それにカルカで清掃するときも、ネジで外せると便利ですものね!

      「鉄砲伝来の諸説」と言う記事を読んで、学校では教わらなかった新たな話題を発見。

      *種子島に来たのは明の密貿易商船(倭寇)だった
      「種子島鉄砲伝来説によって広く浸透しているのが「種子島へ漂着したのは、ポルトガルから直接やってきたポルトガル商人だった」と言う誤解です。実際には、種子島に漂着したのは明(みん)の密貿易船であり、そこにポルトガル商人が乗船していたにすぎませんでした。当時の中国は海禁政策により、ポルトガルは海寇の交易に参入することでしか中国との交易を行なえませんでした。種子島に漂流したポルトガル人も、海寇に参加した際に種子島へ流れ着いたとも考えられており、「鉄砲を日本にもたらしたのはポルトガル人であった」と言うよりも、密貿易をしていた海寇(倭寇)によってもたらされたものだったとも言えるのです。」

      *種子島に持ち込まれたのは「マラッカ式火縄銃」だった
      「これまで種子島に持ち込まれた鉄砲は、ヨーロッパで作られた火縄銃だと思われていました。しかし、ポルトガル人が持っていたのはヨーロッパの「緩発式火縄銃」(かんぱつしきひなわじゅう)をもとに、東南アジアで改良された「マラッカ式火縄銃」だった可能性が浮上してきたのです。」

      *火縄銃複製の難関だった「ねじ」
      それまで日本にはねじと言う物は存在せず、ヨーロッパでも実用化されてからわずか50年しか経っていなかったのです。火縄銃では、ねじは銃底をふさぐための尾栓(びせん)部分に使われていました。雄ねじは、ヤスリやタガネを使ってつるまき状に成型したと考えられています。一方、雌ねじの加工については、かなりの困難を伴ったようです。おそらく、銃身を熱処理してから尾栓のねじを入れ、槌などで叩いて成型したのではないかと言われています。

      小筒の口径は、8〜13mm程度の細さ、銃身を叩いて雌ネジを作るのは一寸無理があるような気がします。直径13mm以下のネジを切るには、ダイス、タップで作ります。簡単に綺麗にネジが作れます。
      想像ですが、刀鍛冶と言うぐらいだから玉鋼から雄ねじを作り、そこに鏨で溝を掘って、タップを作って雌ネジを作ったのではないだろうか ………雌ネジに合わせて、雄ネジを修正した方が修正し易いですから ………

      それよりも、八板金兵衛清定の娘の「若狭」さん、どんな女性だったか、鉄砲より気になります。

      *写真 ネジの部分に溝を切ってあって、雄ネジの修正します

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      T. S

      2023/10/26

      ほほー、メモメモ📝
      めねじ加工はきっとそうでしょうね。中から切る道具なんて無かったでしょうから。
      最初の火縄銃と同世代のものが種子島の博物館にありましたが、それがマラッカ式なんですかね。
      ちなみに最初の一丁は、鹿児島城下の種子島家屋敷にあって、西南戦争の戦禍で失われたと、たしか博物館に書いてあったような…。

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      Fortune Lens

      2023/10/26

      昔、種子島行ったけど博物館行かなかったから、今度行ったら見学しに行こうと思います。

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    sat-2019

    2023/10/26 - 編集済み

    昔、仕事で汎用フライス盤を使って金属加工をしていました。
    今は遠ざかっていますが、切削やねじ切りの光景を拝見するだけでも、今でも血が騒ぎます。

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      Fortune Lens

      2023/10/26

      プレミアムTシャツ1枚で、フライス盤買えるのでは ………

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      sat-2019

      2023/10/26

      我慢すれば、安いものが1台買えそうですね。
      あとは作業場所の確保ですね。

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      Fortune Lens

      2023/10/26

      意外と場所を取りますからね!
      プロクソン フライスなら、机の上で作業出来ます。
      電源を大型の安定化電源に換装しているので、低回転でもトルクがあり、モーター部も本体固定にしています。ビビリが無いので、夜中でも静かなので作業出来ます。

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