角川書店 角川文庫 迷路荘の惨劇 第1期

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昭和五十一年六月十日 初版発行
発行所 株式会社角川書店

昭和31年(1956年)に雑誌「オール読物」に掲載された短編「迷路荘の怪人」を、昭和34年(1959年)に中編化し、更に昭和50年(1975年)に長編化した横溝正史の長編小説「迷路荘の惨劇」。
邸内の至る所に“どんでん返し”や“ぬけ穴”が仕掛けられ、複雑な造りになっていることから“迷路荘”との異名がある、富士の裾野に建つ豪邸・名琅荘。明治の権臣・古館種人伯爵が建てた、この豪邸で起こった血なまぐさい連続殺人を描いた、横溝正史晩期の代表作の一つですね。前述したように元々短編だったものを2度に渡る改編で長編化したという経緯を持つこの作品は、昭和40年代後半からじわじわと盛り上がってきた横溝正史ブームの追い風に乗る形で発表されましたが、そんなこともあって過去の人気作のエッセンスを盛り込むなど、老いてなお盛んな“探偵小説の巨匠”のサービス精神が遺憾なく発揮されたものとなっています。個人的にも、2シーズンに渡ってTBS・毎日放送系で放映されたテレビドラマ『横溝正史シリーズ』を締めくくった作品として印象深いです。角川文庫には昭和51年(1976年)に収録されました。
画像は昭和51年(1976年)に角川書店より刊行された「角川文庫 迷路荘の惨劇 第1期」です。地下通路、片腕の男、鼠...、物語の要素を上手く盛り込んでいる表紙画ですね。冷たい笑みを浮かべている妖しい美女が効いています。

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