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- 角川書店 角川文庫 女が見ていた
角川書店 角川文庫 女が見ていた
昭和五十年八月三十日 初版発行
昭和五十一年八月十日 八版発行
発行所 株式会社角川書店
昭和24年(1949年)に新聞「時事新報」に連載された横溝正史の長編小説「女が見ていた」。
些細なことから妻と諍いを起こし、殴った挙句に家を飛び出してしまった小説家の風間啓介。風間は銀座の街を彷徨い、飲み歩くが、その外出中に妻が殺されてしまう。しかも悪いことに、殺人現場にはいつも持ち歩いていたシガレット・ケースなど、風間の持ち物が落ちていたという。罠にかかったと思い込んだ風間は逃走し、自分に恩義を感じている知人の田代に助けを求める。田代は、風間のアリバイを証明出来る3人の女たちを必死に探すが、その女たちに次々と魔の手が迫る...
妻殺しの嫌疑をかけられた小説家・風間啓介とその協力者が、風間のアリバイを立証出来る“3人の女”探しに奔走するも、その“3人の女”たちは次々に殺されていくという、ウィリアム・アイリッシュ(コーネル・ウールリッチ)の名作ミステリー「幻の女」を彷彿させる横溝正史の異色サスペンスですね。金田一耕助も由利先生も出てこないノンシリーズもので、おどろおどろしい怪奇趣味も猟奇的な殺人描写もありませんが、そこは横溝正史、最後まで読者を惹きつけてやまないストーリーテラーぶりは流石、といったところです。角川文庫には昭和50年(1975年)に収録されました。
画像は昭和51年(1976年)に角川書店より刊行された「角川文庫 女が見ていた」です。妻殺しの嫌疑をかけられた風間啓介と思しき男とサングラスをかけた謎の女。杉本氏にしてはおとなしめの画柄ですが、ダークでアダルトな物語の雰囲気を上手く具象化していると思います。女のサングラスに不気味な男の姿がぼんやりと映っているのが効果的ですね。
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