NISSAN Skyline 1500 Deluxe 1968

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トミカ リミテッド ヴィンテージ 荻窪魂 VOL1

櫻井眞一郎 3代目スカイラインを語る
『スカイライン神話に、ひとりの男がいた――」これはスカイラインのCMに使われたコピーの冒頭に書かれたフレーズである。その男とは、スカイライン の生みの親であり、育ての親でもある櫻井眞一郎だ。プリンス自動車工業の前身となる、たま自動車に入社した櫻井眞一郎は、初代のALSI型からスカイラインの開発に携わった。以来、7代目のR31型の発売間際まで開発の最前線 に身を置き、多くの名車を生み出している。なかでも今なおファンに熱い支持を受け、愛されているのが3代目のC10系スカイラインだ。

初代のALSI型スカイラインは、中島飛行機や立川飛行機にいた飛行機屋が、プライドをかけて設計し、意地で造ったクルマなんです。2代目のS50系は、ユーザーに愛される本当のファミリーカーを目指し、開発しました。軽量かつ剛性の高いモノコック構造のフレームを採用し、フロントサスペンションはダブルウイッシュボーン/コイルの独立懸架です。走りのよさは折り紙つきでした。この2代目が、今につながる。 スカイラインのルーツなんです。また、よき伴侶となれるように、エンジンなどをメンテナンスフリーとしています。1年間3万キロのグリスアップ不要とするなど、ユーザーに余分な負担をかけないように努めました。

驚かれるかもしれませんが、スカイラインは2代で終わっていたかもしれないんです。1966年8月、プリンス自動車は日産自動車に吸収される形で合併しました。だから、いつ消えるかわからないクルマだったのです。その頃、すでにC10系スカイラインの試作車はできていました。が、これがお蔵入りしそうになったのです。紆余曲折の末、開発は続けられました。設計変更したところはたくさんあります。が、2代目のフィロソフィーを受け継ぎ、存在価値を積極的に出そうと、荻窪(旧プリンス自動車&中島飛行機の本拠地)出身のエンジニアは一丸となって頑張りました。最高の走りの性能を目指しただけでなくボディカラーやシートの表皮にまで気を遣い、匂いや音にもこだわったんです。静かにするだけでなく、心地よい音にしよう、と努めました。計器で測れないものを、身体にある無数のセンサーを使い、感覚によって選んでいったんですよ。ドアの開閉音やキーをロックするときの音にまで気を配ったのが、この3代目でした。

C10型スカイラインの試作車を、日産の川又克二社長にお見せしたら、これはいいクルマだ、とほめてくださいました。ただし、ウエストラインはもう少し低いほうがいい、とおっしゃったので、量産化するときにサイドウインドウの面積を増やしたんです。テストコースで走らせたら、さすが荻窪のクルマだな、といわれましたよ。とくに足回りについては非常に神経を遣ったクルマですね。G15型エンジンは、実際には 100psぐらいまでパワーアップできる潜在能力の高いエンジンでしたね。3代目はバランスの取れたファミリーカーで、商品として素晴らしいクルマだったと思います。だから今でも多くの人たちに愛されて いるんですね。

(文中敬称略)

C10型スカイライン1500(1968年8月)
全長/全幅/全高:4235/1595/1405mm
ホイールベース:2490mm
車両重量:960kg
エンジン形式:G15型直列4気筒SOHC
総排気量:1483cc
最高出力:88ps/6000rpm
最大トルク:12.2kg-m/4000rpm
最高速度:160km/h

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