48 セイズモサウルス (SEISMOSAURUS) 第1回2000年の恐竜博の目玉でした。

0

セイズモサウルス (Seismosaurus)

 竜脚形類/竜脚類/ディプロドクス科/体長:35m
  
 名前の意味:地震トカゲ/1億5,400万~1億4,400万年前/産出地:アメリカ

北アメリカ産の大型竜脚類。ディプロドクスの仲間で、大きさはまさに最大級。最大と言われる恐竜は他にもいるが、それらが骨格の一部しか知られていない推測性の強いデータに基づくのに対して、すでに、2000年時点で全身骨格の70%近くが化石として発見されているこの恐竜こそ、明確に地球上に存在した最大、最長の動物であるという主張もあながち否定はできない。その全長は37m~52mと推定されていた。今では計測を精密に行い、控えめに35mとされているが、それでも地球上で最大の現生動物であるシロナガスクジラを上回る圧倒的な大きさになる。
長い尾を支える椎骨(ついこつ)1個の長さですら30cmを超える。生きていた時にはその名の通り、大地を揺るがすようなイメージで歩行していたのではなかろうか。
あまりに現実離れした大きさのため、セイズモサウルスの暮らしを想像することは難しい。単に体を維持するためにもすさまじい量の植物を食べる必要があったはずだ。現生のシロナガスクジラのように浮力のある海水の中で豊潤な海のミルクと言えるプランクトンを大量に漉し採る大きな口を持っているわけではない。まさに食べるだけの一生であったのではないか。

またこの恐竜の頸椎の付き方に某恐竜の専門家(当時恐竜学というものは日本にはなかった。古生物学者がマスコミに担ぎあげられていた頃だ)が首を水平に伸ばすことができない構造であったと力説していた。そうなると、首の高さと植物を摂取できる範囲が首の長さの円内に限定され、この体を維持するための多量の植物を摂取できたか疑問がある。頸椎を柔軟にジョイントし、角度を可変するクッションが軟骨であり、これは化石としては残らない。頸椎が柔軟性を持っていなければ首を延ばせる範囲のものしか食べられないことになる。
作画は、当時の先生の説によらざるを得ず、妥協した産物である。この当時の日本の子供用の恐竜図鑑にはすべて右倣えのこのスタイルの竜脚類が並んでいた。

科学的論証では学者の主張には従わざるを得なかったが、絵を描く者の立場からはそれは生き物として不自然であるという一点で納得しかねた。生き物はどんな奇妙な姿でも美しさを持っている。それはその美しさすら感じられなかった。

Default