Person 19 レイナルド・アーン フォーレを継ぐもの

初版 2024/08/20 21:29

レイナルド・アーン(1814~1947)ベネズエラの首都カラカスに生まれ、パリ音楽院を卒業し後、フランスでで活躍した作曲家。

 父はユダヤ人の外交官母はスペイン、パスクチ地方の生まれ。

ヴァイオリンソナタ ハ長調 1926年

第1楽章 Sans lenteur ,tenderment ゆっくりせず、優しく
第2楽章 Véloceヴェローチェ 迅速に
第3楽章 Modéré, très à l'aise, au gré de l'interprète中程度、非常に快適、演奏者の裁量による

彼のヴァイオリンとピアノのためのいくつかの楽曲は小品としてカタログに載っている。このヴァイオリンソナタは不思議なことに僕の見ているカタログには載っていない。ほとんどがサロン風の歌曲やバレー音楽が占めており、ヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲もそれぞれい曲ずつは知られているが、作品は少ない。

第1楽章は速度指定が演奏者の感性にゆだねられているような感じで、肩の凝らない軽々としていて優美な楽想の向こう側が透き通るような淡いメロディが優しく流れる。ヒステリックに高音が泣くような部分もなければ長くペダルを踏み込ん豊麗な音響に入っていくような部分もない。ヴァイオリンとピアノは主旋律をつむぐ縦と横の糸のように対峙することなく、し合わせていく。中間部はピアノがピュアな音色で気分を変え、ヴァイオリンが淡々と歌う、翳りがあり、淡い光の中で揺れるような旋律が続く。ヴァイオリンから出た旋律はピアノに後付けされ、歌い直されて重なることがあまりない。『言いたいことはこっからよ』と、突然ヴァイオリンが強く踏み出すと同じ高さでピアノが絡んでいく。この辺の歌はシンプルな主題をメロディアスに扱っていていかにも粋。


 第2楽章はヴィヴィッドで無窮動的なヴァイオリンの動きがあって楽し気。

終楽章は第1楽章のテーマからピアノが日の当たる部分から影の部分に滑り込み、日陰に待っていたヴァイオリンがの歌が非常に儚く美しい歌を奏でる。荒ぶる感情がほとんどない、淡い光の中を流れて行く。この部分を聴いていると年甲斐もなく、『ああ、ヴァイオリンが弾けたらなあ…」とつい思ってしまう。

サロン風と片付けてしまえば身も蓋もないけど、涼やかで暑熱に倦んだ心にヒンヤリしみるような音楽だね。(もっとも、今の気候、さすがに少しクーラーが効いた部屋で聴いた方がいいに決まってるけどね。)

ソースはCDのアイテムと同じ。

古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。

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