Person18 クサヴァ・シャルベンカ-ポーランドの実力派

初版 2024/05/28 14:04

改訂 2024/05/28 14:06

クサヴァ・シャルヴェンカ/ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 op.32

第1楽章 アレグロ パティティコ
第2楽章 スケルツォ:アレグロ アッサイ
第3楽章 アレグロ ノン タント

この方の面構えはどう見ても音楽家と言うより、ゲシュタポか、KGBのお偉いさんのような風貌なんだけど、最近他の画家描いた肖像画などを見ると、図分失礼な印象を持ったもんだと申し訳なく思っております。

この方、兄のフィリップも音楽家のようで、モノの本によるとショパンの解釈者としては第一人者であり、ピアニストとしてはその響きと音色が持つマジックが素晴らしかったと書かれている。タイプとしてはリストのようなヴィルトゥオーソタイプであったらしい。


ショパンのような自己完結型の音楽に解釈が必要なのかは浅学であり、ようわからんけれど、この人の音楽はドイツ的なメソッドの上に血の根源であるポーランドの空気を練り込んだ独自のもので、最近は小品だけでなく、ぽつぽつこの曲のような難曲やシンフォニーのいくつかが紹介され、注目され始めている。
ネーメ・ヤルヴィがロンドンフィルを振ってメトネルのピアノ協奏曲のバックをする時代です。
ベートーヴェンやバッハ、ブラームスにモーツァルト、教科書で紹介された時代の典型達だけでなく、類型の中の珠玉にも光が当てられている。
シャルヴェンカは兄のフィリップと共に音楽家として教育者としてまたピアニストとして活躍したが、彼が生まれた場所はプロイセンの現在では、ポーランドに属する土地です。
現代の言い方ではポーランド系ドイツ人。
だが、そのメロディラインやその根底にある舞曲的イマジネーションは明らかにドイツとは異なる血を感じさせる。

特に!
第2楽章に緩徐楽章ではなく、スケルツォを持ち、3楽章全てのテンポがアレグロを主体にする。
まさに舞踏の国の協奏曲です。
スケルツォに聴ける古雅な舞曲は両端楽章の仄暗さから浮き上がり、別の典雅な輝きを持つ。この思い切りはショパンにもなかったもので、聴き応えのある第1楽章よりもむしろこの楽章が彼の持ち味を表しているように思う。
この軽々とした、踵の付かない舞踏は第1、第3楽章の協奏的な音楽の遙か上に円舞する。


舞曲であった『コンフォーコ』が1986年にはミリオンセラーとなって100万部が発行されている。
彼の協奏曲はもちろん当時自分が弾くために作ったものだろうが、ポロネーズにしろポーランド舞曲集にしろショパンの磨き上げた音楽が舞踏を芸術に高めたのとは異なる人のからだが舞うイメージが無理なく流れて行く。
冷徹な秘密警察の長官のような面影(だと想像した)の裏には熱い国民性が流れている。

この方の協奏曲は全部で4曲あるらしい。僕が持っているのは残念ながら3番までで、そのうちこの曲が入ったCDはもう一曲がルビンシティンの第4番で、彼の曲ではない。何でこんなカップリングするのかな。2枚で4曲揃えてくれればいいのに。

オマケ くだんの舞曲集から『コン・フォーコ』

この曲自体それほど売れる要素があるのかと思うけれど、やはりマズルカが国家になってるお国柄なんだろうね。血の中にあるものが踊りと直結して沸き上がるんだねきっと。万葉の時代の恋の歌が国家になっているわが祖国とは国民性が違うのでしょうね。

古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。

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