Person14 Frederic Delius-渾身の一曲

初版 2024/03/30 14:13

改訂 2024/03/30 14:22

ディーリアス/ピアノ協奏曲ハ短調(原典版)1904年

第1楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ


第2楽章 ラルゴ


第3楽章 マエストーソ・コン・モルト・モデラート

20世紀初頭に生まれた協奏曲だけれど、調性がまだ美しい形で整っている。

CDの展示でも触れたが、『原典版』で弾いたかどうかはよっぽどのことがないかぎり、ボクはあまり重要視していない。

ビーちゃむの改訂版にしろ、原典版にしろ、これはまぎれもなくフレデリック・ディーリアスの作品であり、彼の持つ抒情性の美しさが、楽曲の持つ意外なほどのフレキシブルな力強さとともに十全に発揮されている作品です。

管楽器が張り切っている第1楽章の冒頭は意外でした。もっと余韻嫋々と始まるかと思ったのですが、オーケストラの旋律とピアノの旋律は寄り添うのではなく、くっきりと対峙していて協奏的でした。

ピアノは美しく、低く厚い雲に覆われた寒々とした海岸に時折雲間から顔をのぞかせる陽の光がレンブラント光線を作るように灰色の中を白い柔らかな光が下りてくるようなロマンティックなフレーズがちりばめられていて聴かせます。

20世紀初頭のこの時期、野心的な自己主張の強い作曲家が多くの先鋭的な作品を書き、聴かせるのではなく、主張する音塊を連ねて、音楽からちょっとボクを引き気味にさせてくれますが、この作品は聴衆の存在を十分背後に感じ、十分に意識した上で、作曲家の個性を寄り添うか立ちで感じさせてくれます。第1楽章のコーダ近くのヴァイオリンとピアノの二重奏はちょっと目が覚めるように美しい。ここの終わり方に関しては明らかに原典版よりディーリアスが同意したビーチャム提案の改訂との以外が際立つ。どちらもそれなりにいい。

第2楽章のラルゴはディーリアスらしい思索的で旋律の優しさに溢れています。ピアノのスケッチの堅実さと上品なリリシズムを聴かせてくれます。

灰色のグラデュエーションが続く6分弱。非常にしっかりしたラルゴでした。


第3楽章の冒頭。マエストーソを支える低音弦楽器に出てくるテーマは第1楽章で聴かれた滲んだテーマがはっきりした形となって再現されているようです。チェロとコントラバスの厚い響きはその中に深い愁いをたたえつつも厳しさよりもむしろそうなりきれない心の脆さのようなものが聞こえます。

常になく音楽は濃く、各楽器は重層的でドイツ的な響きを何度も聴かせます。再現部で響くテーマの再来も腹に応えます。

堂々とした音楽です。

20世紀初頭に生まれたロマンティック・コンチェルトとしてこの曲は名作といえるのではないかと感じました。

日本で手に入るCDは限られているようですが、Youtubeではイギリス盤のいい演奏がたくさんあります。ボクが展示しているCDで演奏しているピアニストは高音の濁りのない厚い音を持っていてなかなか聴かせました。
それも聴けるのですが、
ここでは展示している原典版ではなく、トーマス・ビーチャムがBBC交響楽団を指揮し、クリフォード・カーゾンのピアノでのライブレコーディングで紹介します。

古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。

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