石川ひとみ「ジュ・テーム」

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「ひっちゃん」こと
石川ひとみさんの7枚目のオリジナルアルバム
これまでのいわゆるレトロポップな
イメージから一新してフレンチポップさを
全面に押しだしたアルバムです。
シングルはともかく
アルバムジャケットでひっちゃんが笑顔なんて???
。。。と当時も思いました(笑)
おまけにジャケットが白いよー!!!
これまでのひっちゃんアルバムといえば
1stは別としても
ダークな色合いで目線は伏せた感じの
大人っぽい雰囲気のものが多かったのですが
そこからもうこのアルバムが
これまでとは違うぞ!という感じがいやでも伝わってきます
楽曲的にはいわゆるかわいい感じのものも多く
これまでとは違ったひっちゃんの魅力を
大いに引き出しているアルバムだと思います。

1曲目の「パリからの便り」から
もう明らかにオシャレです!!!
いいですね!
おしゃれであまーいお菓子の箱を開けてしまったかのような
焼けたバターの香りが鼻をくすぐるような気がします
(いや、もちろんレコードから香りはしないのですが(笑))

A-2「その朝二人は…」はフランスの楽曲ですね。
ちなみにB-2,B-3もフランスの楽曲です。
こういうフレンチポップも合いますね
そりゃもともと歌唱力はあって
歌声も普段の話し声も文句ナシにかわいいのだから
こういう曲が合わないわけがないですよね!

A-3「彼女はモデラート」もフレンチポップっぽいアレンジですが
これはこれまでのレトロな昭和歌謡の良いところも
少し取り入れている感じがしますよね
こんな風にささやく風に力を抜いて歌うって
これまでのアルバムではなかったものですね
まさに新しい魅力に溢れています

A-4「秋の行方」はガラッと変わって
わかるやすくこれまでのひっちゃんの楽曲らしい1曲です
いやいや…これはこれでやはりいいですよねぇ
安心して聴いていられる感じがすごくしますよねぇ

A-5は13枚目のシングルでもある「ひとりじめ」
この曲いいですよねぇ
もちろんこれまでのひっちゃんらしい楽曲ですが
この類の曲がひっちゃんの声を一番美しく聴かせるのじゃないかと思います。
聴いているとたまに思うのですが
いわゆる「K音」(無声軟口蓋破裂音)と
「S音」(歯擦音)が抜群にキレイなんですよねぇ
で、今の言葉使いじゃあまり「~だったかしら♪」とか歌われると
あまりの響きの美しさにドキドキしていまいます。
ほんとキレイですよねぇ…何回でも聴いていられます

B面は14thシングルの「君は輝いて天使にみえた」で始まります。
これもひっちゃんの声の美しさが存分に味わえる楽曲です。
シングル曲ではそういう効果を明らかに狙っていると思うのですよね
でも文句ナシにそれが最高です!
まさに天使の歌声だと当時から本気で思っています

続くB-2、B-3はフランス曲で
A面後半から忘れかけていたフレンチポップの部分が戻ってきます。
特にB-2の「モナムール・モナミ」はいい曲です!
この曲のサビは間違いなく耳に残ります。
思い切ってこれがシングルとかでも面白かったかもしれませんね

B-3の「恋人失踪事件」はいかにもフランスっぽい
力の抜いた感じのポップな曲です。
こういうのがあるからメリハリがついていいのですよねぇ

B-4は語りかけるような歌いだしが絶妙な
「心あずけて」です。
これもフレンチポップを強烈に意識した曲ですが
もろにフレンチなAメロと伸びやかなサビの対比が美しい1曲です

ラストはアルバム最後を飾るにふさわしい
非常に美しい楽曲の「あなたの天使」です
安定の西島三重子さん作品ですが
やはりアルバムのカラーをかなり意識して作られています。
全体的に明るくて温かなミルクのような雰囲気で
統一されていると思いますが
そういうイメージの総仕上げのような1品です
さすがのクオリティの高さです。
聴き終わってもその余韻にしばらく浸りきってしまいます。

本当にこれまでのアルバムとは異なる部分も多いのですが
非常に魅力的な1枚だと思います。

さらにレコードには
中野サンプラザで開催されたコンサートから
「守ってあげたい」「まちぶせ」を収録したライブ盤シングルが付いています!
まちぶせは言うまでのない名曲ですが
ひっちゃんの歌う「守ってあげたい」もいいですよーーー!

1982年6月21日リリース

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