明日香「おてんばさん」

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「花ぬすびと」で1981年開催の第21回ポプコンで
優秀曲賞となり、同年の第13回世界歌謡祭では同曲で
グランプリを受賞した明日香さんの1stアルバム
シングルで30万枚のヒットとなった
「花むすびと」もアルバムバージョンで収録されています。

当時、FMエアチェックで「花ぬすびと」をテープに録音して
当時は結構気に入って聴いていたのですが
まぁ中学生の分際ではなかなかLPにまで手が出ず
このレコードを手に入れたのは随分後になtってからです。
残念ながら「花ぬすびと」以外では
さしたる大きなヒット曲もなかったのですが
このアルバムを改めて聴くと
「えっ?なんでもっともっと売れなかったの???」と
思ってしまうほどの完成度の高さです。

アルバムタイトルとは裏腹に
美しいピアノでしっとりと歌い上げた
非常に質の高いアルバムです。
で、今聴いて改めて思うのですが
このアルバム、音がいいんですよ
ピアノやアコースティックギターの音の粒がはっきりしていて
明日香さんの歌声もめちゃくちゃ艶やかで。。。
アレンジが比較的シンプルなので
楽器の音ひとつひとつが瑞々しいような気がします。

1曲目は「夜明けの波間」からですが
いやいや本当に明日香さんの歌声がステキです、
ポプコン出身者はどうしてもルックスが
垢ぬけないというのは定番なのですが
歌声はめちゃくちゃ洗練されています!
もちろん本人演奏のピアノも最高です

2曲目は「雨の中のヒロイン」で
メロディーラインが非常に耳に残るキャッチーな曲です。
明日香さんはいわゆるフォークソングに
分類されることも多いのですが
フォークっぽいなって感じるのはこの曲だけじゃないかな
私的には典型的なニューミュージック系だと思っているのですが。。。
(またこの分類もわかりにくいのですが(笑))

3曲目はデビューのきっかけとなった
デビューシングル「花むすびと」のアルバムバージョンです
基本的にピアノの弾き語りだったシングルバージョンに
比べると多少凝ったアレンジです。
…とはいえアルバム全体の雰囲気を壊さないように
それでも基本的にはシンプルです。
この曲は明日香さんが中学生のときに作曲し
高校3年のときに同級生に歌詞を付けてもらったのだそうです。
(作詞はすずきゆみ子さん)
で、名古屋音楽大学在学中にデビューとなったわけですね

続く4曲目は「チャイナタウンファンタジー」
ポップで楽しい曲ですね!
私これ聴くとどうもジブリっぽい
アニメーションが頭に浮かんでしまうのですが。。。
(千と千尋のイメージなのですよねぇ
もちろん最初に聴いて随分後になってそう思ったのですが)

A面ラストは美しいハーブの音色から始まる
「ブルーララバイ」です。
個人的にこのアルバムで一番好きな曲です!
シンプルなピアノの伴奏も語りかけるような歌声も
印象的なサビのメロディーももう最高です!!!
「今はねむれねむれねーむれ~♪」っていつまでも耳に残ります。
どこをとっても美しい曲です
これシングルにして根気よく当時の有線あたりで
プロモートしたら売れたんじゃないかと思うのですが。。。
まぁ私の好みの問題か。。。

B面のオープニングは明るく牧歌的な
「So Long」で始まります。
こういうのは癒されますねぇ…
この時代ならでは…という感じもしますし…
一歩間違えれば童謡っぽく聞こえてしまうのですが
そういう雰囲気も妙に心地よく聞こえます。

続いては少し影のある雰囲気の
「男坂女坂」へと続きます。
この独特のリズムいいですねぇ~
少しゆっくりめの跳ねるリズムです
自然とリズムを取ってしまいますね
シャッフル系でよく聴くとジャジーなアレンジになっているのですが
歌声と歌詞がしっかりフォークっぽい雰囲気も持っているのですね
妙に耳に残って思わずもう一度聴きたくなる不思議な曲です。

B面3曲目は「卒業白書」これもB-1同様
牧歌的雰囲気ですね
でもメリハリがちゃんと聴いてて
ピアノアレンジがすごくいいですのよねぇ
さすが器楽学科ピアノ専攻ですね
あと歌詞がわかりやすくて絵が浮かぶのですよねぇ
その絵面の好みがわかれるかもしれませんが…

4曲目は少しダークな雰囲気で「苦笑い」です。
私はこういう暗い曲好きですよぉ(笑
やっぱこの時代のフォーク系は
4畳半的哀愁がないと物足りないですよねぇ

アルバムラストはこれまた文句ナシに美しい
「19の別れ」で締めくくります。
きたきたきた!こういうズドーンと引きずるような
暗いのがいいんですよ!!!
そのうえ文句ナシにメロディも歌声もピアノも美しい!!!
こういう澄み切った闇深い暗さは
めちゃくちゃいいですねぇ
夜中に酒飲みながら一人で聴いて泣きまくりたいです(笑

全体的に私の好みの暗さが漂っていて
楽曲もアレンジもレベルが高くて…
シングルで大ヒットは難しくても
アルバムアーティストとしてもっと売れても良かったと思います。
とりあえずこのアルバムはそう言いたくなるほどの
良い出来だと思います!

1984年2月21日リリース

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