Gary Moore 「Wild Frontier」

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ゲイリー・ムーアのソロとして8作目のスタジオアルバム
以前からアイルランドを彷彿とさせる独特のサウンドが
魅力の一つであったゲイリーの楽曲ですが
このアルバムは
アイルランドの伝統音楽へのオマージュとして作られた作品で
1986年1月に死去した旧友フィル・ライノット(元シン・リジィ)に
捧げられたとされています。
自らのルーツ的な音楽ということもあって
非常に力の入った作品ということが楽曲やサウンドの
いたるところから感じられます。

もともとゲイリーの楽曲は
ブリティッシュとも異なり
ジャーマンメタルや北欧メタルとも違い
もちろんアメリカ西海岸や東海岸の
HR/HM系とも全く異なる独特の
哀愁溢れるものでしたが
それでもこれまではある程度抑えていたものを
思う存分爆発させているような気がします。

当然、最大のマーケットであるアメリカでは
ちょっと難しいだろうなぁ…と聴いた瞬間に思いましたが
やはり全米での売り上げは今一つでしたが
全英ではなかなかのヒットになっています。
そしてこの類のもの哀しいメロディを大好物とする
日本マーケットでもなかなかヒットしています。
もちろん私もこのアルバムは大好きです。

1曲目の先行シングルでもある
「望郷の果て - "Over the Hills and Far Away"」は
全英で20位、そしてノルウェーのシングル・チャートでは
7週連続で1位を獲得する大ヒットとなり
スウェーデンのシングル・チャートでは7週連続で
トップ20入りして最高7位を記録しています。
確かにこの曲は北欧っぽいかも…
でもこの手のサウンドはきっと日本人も好きですよ
私もこの曲大好きですもの
重厚さの中に切なさが感じられて
全体的にどことなく厳しい寒さを感じる雰囲気は
多くの日本人の琴線に触れるはず…
でももう一度言いますが
アメリカではこういうのはウケないだろうなぁ…(苦笑)
わびさびのわかる地域の方じゃないと良さはわからないかも。。。

2曲目のタイトル曲"Wild Frontier"も
懐かしさと哀愁を感じさせる珠玉の1品です
ひとりで冬の日本海を見ながら聴きたい曲ですね!

で、なんといっても4曲目のインスト曲
"The Loner"
もう涙なしでは聴けません
ゲイリーの真骨頂ともいえる切ないメロディーで
泣きまくるギターの旋律に間違いなくノックアウトされます。
私、この曲に相当惚れ込んで
高校生の時に必死でコピーしました
何となく似たような感じには弾けても
このゲイリーの名演には全くもって足元にも及びませんでした(笑
まぁそりゃ当然ですよね
でも問答無用に真似しなくなるほど良いのです!

怒涛のA面はここまでですが
B面も引き続きその勢いのままゲイリーサウンドが炸裂します。
どの曲も本当にレベルが高く聴きごたえ十分です。

個人的には2曲目の「暗黒の侵入者 - "Strangers in the Darkness"」
また私の好きな切ないメロディで泣かせます。

で、アルバムのラストは"Johnny Boy"と言う曲で締めるのですが
おそらくこれがゲイリー的には故郷のメロディなんでしょうね
聴いていても切なさとほのかな炭のような温かさを感じる
なんといえず心揺さぶられる1曲です。

レコードだと全8曲ですが
この頃はもうCDが主流です
CDだと全11曲で
"Wild Frontier"と
"Over the Hills and Far Away"の12インチ・シングル・ヴァージョンと
"Crying in the Shadows" が追加されています。
リマスター版CDだとさらに曲が追加され曲順も変更された14曲入りとなります。
でも通して聴いてキレイに完結するのは
やはりレコード盤だと思います。

1987年3月9日リリース

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