ベルギー奇想の系譜

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2017年、兵庫県立美術館。
15世紀のフランドル美術から19世紀末の象徴派、20世紀のシュールレアリズムまで、ベルギー絵画の歴史を一堂に見る機会は今までなかなか無くて、勉強になった展覧会だった。
中世以降、ハプスブルク家やオーストリア、オランダ、スペインなど様々な統治がなされ時代に翻弄されて来た歴史があり、その為独自の言語を持たないこの国で教会の教えを伝える共通のの言語として絵画が発展した。ボスの描く異形たちはそれ以前の土着信仰などから生まれたものだという。そして1830年に国家として独立するとフランスで興った印象派や写実主義がベルギーに伝わるが、その一方で科学主義から背反し夢想の世界を描く象徴主義が生まれた。今回楽しみだったのはフェリシアン・ロップスの「娼婦政治家」。1982年に東京で見た「ベルギー象徴派展」以来35年振りの再会。以前はよく確認できなかった足元の擬人像が今回はしっかりと見られた。また、クノップフの「天使」や「ヴェネチアの思い出」もそれ以来かな。それから近代のデルヴォーやマグリットも久し振りだ。やはりこのベルギーという国の絵画は他の国とは違った発展があって非常に興味深い。

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