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Agnostus pisiformis
全体が分離した脱皮殻の集積からできていて、フォーティーはこれを「化石になった豆スープ」と呼んでいる。 知らない人が見たらどういう生物かさっぱりわからないだろう。 それは昔の発見者も同じで、Agnostus とは「さっぱりわからないもの」という意味だ。 この小さい豆の一粒一粒が、Agnostus の頭か尻尾なのである。 Agnostus の仲間は世界中から産出するが、種類が多いわりには見た目の区別がつきにくい。 そこで私は模式種である本種の豆スープで全体を代表させることにした。
Alum Shales UCAM Trolmen, Västergötland, swedenktr
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Agraulos ceticephalus
三葉虫には名前と現物とが釣り合わないものがある。 本種などもその一例で、名前だけきけばどんな三葉虫かと膝を乗り出すが、現物を見ると少なからずがっかりする。 小さくてあまり特徴もないので、よほど手広く集めている人か、あるいはチェコ産を集中して集めている人でなければ手に入れようとは思わないだろう。 本種は自在頬を欠いた標本がほとんどだが、本来は小さいトゲつきの自在頬があるので、それのついている標本はけっこう貴重だ。 全長:15mm
Jince Fm. MCAM Czech Repblicktr
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Archimedes sp.
その特徴的な名前と形によってすぐに見分けがつくので、化石愛好家からは親しまれている。 コケムシとはいうものの、このような形で海底に突っ立っていて、おまけに節のひとつひとつに花冠のようなレース状の群体をもっていたというから、あまりコケという感じはしない。 むしろある種のサンゴに近いように思う。 サンゴは花虫(かちゅう)とも呼ばれる。 コケムシは蘚虫(せんちゅう)。 片や花、片やコケで、美観にだいぶ差があるようだが、化石になってしまえばその差はかなり縮まる。 本体の長さ:40mm
Bangor Limestone Fm. MISS Franklin, AL, USAktr
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Asaphus expansus
Asaphus の模式種がこれだ。 いまではこれに亜種が三つ見つかっているらしい。 私の手に入れたのがそのうちのどれに当るのか、それはまだ調べてみない。 この標本は見るたびに色合や質感が違っているようで、石そのものが季節の影響を受けて変化するのか、それとも光の種類や当り方でそう見えるのか、たんに私の目が頼りないのか、よくわからない。 Asaphus の仲間はどれも同じように見えるが、細かく見ていけば際限なく差異が見出される。 私としてはロシアの Asaphus の標本はこれと A. kowalewskii だけにとどめて、他の細かい差異は図鑑で楽しもうと思っている。 サイズ:68㎜
Kunda Level LORD Voibokalo Quarry, St. Petersburg region, Russiaktr
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Asaphus kowalewskii
FFストアによれば、けっこうな人気種らしい。 そういえば、SPPLにも本種だけは十分すぎるくらいの在庫がある。 まあ、それだけありきたりなので、とくに欲しいとも思わなかった。 ところが、ちょっとしたきっかけで手に入れてみると、なるほどこれが人気があるのも頷ける。 なんということはないけれども、いつまでも見ていられる。 飽きがこない。 見れば見るほどそのフォルムに引き込まれる。 この標本は本体が母岩の端に寄りすぎていて、標本箱の縁に当って目が折れる危険性があるので、紙粘土で母岩を延長した。 これだけやっておいて、ようやく安心して眺めることができるようになった。 ところで、日本人ならだれでもこれを見るとカネゴンを連想するわけだが、私はカネゴンの回を見逃していて記憶にないので、このたびアマプラで視聴してみた。 古いことは古いが、まったく古びていない。 傑作也。 全長:47mm
Asery level MORD Vilpovitsy quarry, St. Petersburg region, Russiaktr
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Aulacopleura koninckii
古くから知られている古典的三葉虫でたいていの図鑑に載っている。 古典種だけあって正式名称は長く、Aulacopleura (Aulacopleura) koninckii koninckii (Barrande) という。 今回買ったこの標本は外殻がほぼ剥がれていて、いわゆる内型になっている。 それがちょっと残念な点だが、しかし目だけは脱落せずにくっついているので、これでもってよしとしよう。
unknown SIL Loděnice, Czech Republicktr
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Bumastus ioxus
ニューヨークのシルル紀代表として Dalmanites と双璧をなすもの。 なんの特徴もない三葉虫だが、この特徴のなさが本種の場合ある種の魅力になっている。 じっさいコレクターにも人気があるようで、状態のいいものは出るとすぐに売れてしまう。 ものによっては10㎝近くなるのもあるようだが、私はそんなに大きいのは要らない。 手のひらサイズが本種には相応しい。
Rochester Shale SIL Middleport, NY, USAktr
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Ceratonurus sp.
デボン紀オクラホマの産。 オクラホマという土地は、他のアメリカの産地とはちょっと趣を異にしていて、ここから出るものは、むしろモロッコやチェコのものに近い。 オクラホマ、モロッコ、チェコという、今日ではずいぶん離れた場所から似たような種類がいくつも出るのが私にはおもしろく思われるのだが、その理由はまだ調べてみない。 本種はいまだに種としての名がなく、いわば名無しの権兵衛状態なのだが、発見されてからもう二十年は確実に経っているし、その間にいくつもの個体が市場に現れて愛好家には知れ渡っているわけだから、もう改めて記載しなくてもいいんじゃないの、と思われている可能性はある。 母岩の裏側に1991という数字が彫られているが、これが1991年を指すのかどうかは不明。 サイズはトゲ込みで42㎜。
Haragan Fm. LDEV Clarita, OK, USAktr
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Ceraurus pleurexanthemus
オルドビス紀ニューヨーク産。 ウォルコットの砕石場で採れたものらしいが、同地の他の標本と比べると、どうも風合いが違う。 産地を偽っているわけではないと思うが、あまり目にしないタイプの標本だ。 本種については、ウォルコットが三葉虫の付属肢を調べるのに使った切片標本の話が有名だ。 エンロール状態のものをスライスして磨き上げた標本の画像はじつにファンタスティックで、サイケデリックですらある。 フォーティはその話を紹介した際に、ウォルコットが本種を C.p.と略記している理由として、種小名の pleurexanthemus が長すぎてややこしいことをほのめかしているが、このものものしい名前はおそらく「花弁状の肋」というほどの意味ではないかと思う。 本体サイズ:尾棘込みで45㎜
Rust Fm. UORD Gravesville, NY, USAktr
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Chotecops ferdinandi
ヤフオクで売りに出したものの、「レプリカではないか」といわれて返ってきたもの。 たしかに改めてよく見ると、真正の化石でない可能性が高い。 いや、高いどころか、確実にブンデンバッハのフンスリュック粘板岩ではない。 ではいったいこれは何だろう? 表側を見るかぎり、どうしてもレプリカとは思えないほど真に迫っている。 ところが裏側を見ると、あちこちに気泡とおぼしい孔があいている。 比重もフンスリュック粘板岩としてはかなり軽い。 モロッコ産のレプリカ(というかフェイク)はさんざん目にして自分でも判別がつくが、まさかブンデンバッハの贋物をつかまされるとは…… というわけで、自分の愚かしさの象徴として、しばらく机の上に置いておこう。
Hunsrück Shale LDEV Bundenbach, Germanyktr
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Cleoniceras cleon
わが記念すべき化石購入第一号がこれ。 いまでこそ珍しくもないハーフカットのアンモナイトだが、これをヤフオクで見つけたときは衝撃だった。 すごいものが手に入ったという感動でしばらくは興奮が収まらなかった。 それ以降、各種のアンモナイトを漁る日々がつづいたが、やがて三葉虫熱に取りつかれてしまい、徐々にアンモナイト熱は冷めていった。 いまでは集めたアンモナイトはおおかた手放して、残ったのは本種を含む3個だけだ。 なぜその3個が残ったか? これは私には意味があるけれども、他人にはなんの興味も湧かないだろうから省略する。 いずれにしても、アンモナイト対三葉虫の戦いは、後者の圧倒的勝利によって終りを告げた。
Albian Fm. K Madagascarktr
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Colpocoryphe rouaulti
カリメネ家の三兄弟である Neseuretus、Salterocoryphe、Colpocoryphe は、いずれも欧州や北アフリカで産出する一般種だが、私はこの三つはフランス産で揃えたいという願望がある。 なぜかを書き出すと長くなるのでやめておくが、今回の Colpocoryphe はフランスの Massif Armoricain というところで採れたもので、モロッコ産かと見まがうほど保存がよい。 サイズも37mmとまずまずの大きさだ。 なによりも顔つきが愛らしく、とても癒される。 Neseuretus は前にアップしたので、残るは Salterocoryphe だが、運よく見つけられるだろうか?
unknown ORD Massif Armoricain, Francektr
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Conocoryphe sulzeri
本種はカンブリア紀チェコの代表的な一般種で、サイズよし、保存よし、価格よしと、いい条件が揃っている。 見た目も、なんとなくぶきみで変態的な雰囲気を漂わせているのがチェコらしくてよい。 とりあえずチェコの三葉虫をサンプル的に、と思っている人には、これがお勧めだ。 と思ってネットを見ると、意外や意外、けっこうな値段がするではありませんか。 これではうかつに人に勧められない。 まあ、あるところにはあると思うので、安いのを見つけて買ってみてください。 全長:40mm
Jince Fm. MCAM Czech Repblicktr
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Conularia trentonensis
コヌラリアは化石愛好家にはよく知られている。 復元図をみると、ピラミッドを長く引き延ばしたような、断面菱形の長錘形で、それが逆さまになって海底に突っ立っていたらしい。 その様子はルゴササンゴに似ているが、サンゴが群体なのに対し、コヌラリアは単体らしい。 イメージ的にいえば、巻いていない巻貝みたいなものだろうか。 そういうものが、尖ったほうを下にして突っ立っていたというのは、やはり異様な光景だろう。 本種は小さいので見た目のおもしろさはそれなりだが、ルーペで覗くと、窓がびっしりと連なった超高層建築のようで、なかなか見ごたえがある。 全長:20mm
Neuville Fm. UORD Quebec City, Quebec, Canadaktr
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Cruziana semiplicata
Cruziana simplicator という名前で届いたけれども、この名前で検索しても何も出てこない。 そのかわり、Cruziana semiplicata (Salter) というのがあって、たぶんこれが本標本に該当するんじゃないかと思う。 サイズは中央の線に沿って5㎝ほど。 本種のほかにウェールズで産するものとして、Cruziana furcifera (d'Orbigny) というのがあるらしい。 こちらは二匹の蛇が並んでのたくっているような外観だ。 ところでクルジアナとは何か。 三葉虫の這い跡の生痕化石で、言葉で説明するより図を見たほうが速い。 https://www.trilobites.info/trace.htm これで見ると、V字型の上方向が三葉虫の進行方向のようだ。 ブンデンバッハで産出する Chotecops などの、脚の保存された標本を見ると Cruziana の条線とよく一致しているように思う。 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Chotecops_ferdinandi_fossil_trilobite_%28Kaub_Formation,_Hunsruck_Slate_Group,_Lower_Devonian;_Budenbach_area,_western_Germany%29_1_%2815346813712%29.jpg なお、Cruziana というのはいわゆる属名で、そのあとに種小名がつく。 本種 Cruziana semiplicata もそのひとつで、上に名前をあげた Cruziana furcifera のほか、クルジアナには60種類ほどのものが確認されているようだ。
Ffestiniog Fm. UCAM Nant Francon Pass, Snowdonia National Park, North Wales, UKktr