バーニー・クラウス+ジョージ・ハリスン 『電子音楽の世界』

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ハリスン二作目のソロと位置付けられている奇盤です。しかしこういう種類の音楽に一貫して批判的だったハリスンが、では一体どういう意図でこれを発表したのかについて妄想を巡らせるのですが。タイトルが単に『エレクトロニック・サウンド』で、フロント・ジャケットに描かれた人物は当時のモーグ・シンセサイザーの第一人者であり、このアルバムの立役者でもあるバーニー・クラウス、プロデューサーとして目立たなくジョージ・ハリスンと書かれている点から考えると、これは自らの強いコンセプトを立てた上でのソロ・アルバムとしてリリースするつもりではなく、あくまでザップルという実験の場である新設レーベルだからこそ可能な、モーグという新しい楽器のデモンストレーション・サンプルレコードとして形にしたのではないかと。だからこそB面はバーニー・クラウスの演奏だし(本人の抗議でクレジットは消されていますが)。やはりこれは、ブライアン・ジョーンズによる『ジュウジュウカ』に近い意図のアルバムで、いわば音楽(楽器)の紹介者として自らの名を冠しただけという気がするのです。
クラウスの、なぜ自分の演奏をハリスン名義で出すのだという怒りの抗議に対し、「だって僕はビートルなんだぜ!」と言い放った、そのノートリアスなロックンローラーぶりが良い。若いぞハリスン。しかし最終的には、まるでエクスキューズのようにフロントカバーにはクラウス一人の絵を描いているというのも、人柄を忍ばせます笑。
早くも没後二十年、レストインピース。#zapple #georgeharrison #beatles

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