クロム鉄鉱 (chromite) 日東鉱山 #0107

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大部分がクロム鉄鉱からなる塊状鉱で、優白質蛇紋岩の母岩の一部を覆う緑色の部分は灰クロム柘榴石です。一部に構造運動によって生じた光沢のある平坦面(鏡肌)が見られます。

日本のクロム鉱山は中国地方の鳥取/岡山の県境付近と北海道の日高地方に集中していました。日東鉱山は沙流川支流のニセウ川流域にあったクロム鉱山で、1913年(大正2年)に鉱脈が確認され、1917年(大正6年)から試掘を開始、1919(大正8年)に大鉱脈が発見され、日東格魯謨(クロム)株式会社により操業が開始されました。酸化クロムが35~65%に達するものがある等、鉱石品位は概して良好であったとのことで、昭和期に入り軍需拡大により生産が増加、1935年(昭和10年)には9,237トンを出鉱、従業員も約150人に及びました。1942年(昭和42年)に日本製錬会社に譲渡され、戦後も採掘されましたが、輸入鉱石に押され1960年(昭和35)年に閉山しました。

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