山崎ハコ「飛・び・ま・す」

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1975年発表の山崎ハコさんのデビューアルバム
ズドーンと暗くて哀しい歌が大好きな私が
ハコさんのアルバム聴いてないわけがないですよねぇ(笑
まずは記念すべき1stアルバムから…
このアルバムが出たのが1975年10月
さすがに私も6歳ですからね、実際にこのアルバム聴いたのは
もっと後の話で先に「幻想旅行」とかを聴いてから
このアルバムに至っています。
このアルバムがデビュー作ですが
最初の数年はシングルを出していません。
最初のシングルが出るのはデビューして2年半後の
1978年5月です。
シングルヒットを狙うより典型的なアルバムアーティストで
やっていこうということなのだと思いますが
一説によるとデビュー前から病弱で
かねてより慢性膵炎の持病を抱えており
膵臓に負担がかかるため成人後も
「酒・タバコどころかコーヒーなども口にできない」という体質だったのでそうです
そのため、デビュー時から所属していた音楽事務所「IMADOKI」社長の星野さんは
病弱なハコさんの負担を避けようと
シングルを次々に出してヒット曲を狙うという手法を取らなかったと後に語っています
しかしながらこの時のハコさんはまだ18歳ですが
そんな身体の不安など感じさせないパワフルさです。
身長も150cm前後しかなく瘦せ型なその風貌からは
想像できないほどの情熱的な歌声を聴かせてくれます。

A-1「望郷」から他の何者でもないハコワールド全開です
私も呉の片田舎から東京に出てきたパターンですが
田舎育ちで都会暮らしの方には
必ずこの曲が沁みまくることがあるはずです!
最後の歌詞なんてまさに今の私にあてはまちゃって泣きそうです

A-2「さすらい」はジャジーなピアノとスキャットで
しぶーく始まります。
ヤバいですねぇ
こんなの聴きながら酒飲んでたら間違いなく飲みすぎます…
そうそうもおうこういうのがたまらないのです!
なに?暗すぎる?何言ってるのですか!これがいいんです
本来、一人で音楽をじっくり聴くなんて
何か哀しいときとか切ないときが多いじゃないですか
そんなときにさらに!その感情を増幅させるのです!
ほら自分の感情を良質な真空管アンプでさらに倍増させるんです!
そしてどこまでも落ちていくのです-----

もう冷静さが保てません
A-3は「かざぐるま」
ハコさんの歌って絵が浮かぶんですよねぇ
その絵が何とも温かくて懐かしい絵なのですが
もう絶対に戻ることのできない情景なんですよねぇ
で、やりきれなく切なくなって酒と涙が止まらなくなるのです
この曲もまさにそういう1曲

A-4は「橋向こうの家」
もう立て続けに止まりません
それだけこの世界に引きずりこまれていくのか…
この曲はさらにストレートに切ない曲です
これも情景が浮かびやすいですのですよねぇ
ハコさん、タバコもお酒もダメなのに
なんでこんな曲書けるのでしょう???
まさに心の隙間に容赦なく入り込んでくる曲です

A-5は「サヨナラの鐘」
変わらず悲しくて切ないの別れの歌ですが
少し希望めいた光がかすかに見えるような曲です。
ここまでの前半の曲に比べれば
傷口に塩を擦り込むような切なさの傷みは伴わないと思います。
少しリラックスできる感じでA面終了です。

B面は「竹とんぼ」でスタートします
くっ…これまた幼少期の何とも言えない切なさをえぐるような曲です。
私も幼稚園児の頃にじいさんが竹とんぼ作ってくれたなぁ
で、うまく飛ばせないのですよぉ、まだ5歳だから…
じいさんが飛ばすとすっごく高く飛ぶのに~
で、うまくいかないからついついはぶてちゃうんですよね
それをみてじいさんも困った顔になってしまう。。。
うわ-----ーん!じいさんごめんよぉ----
でもありがとう!!!!あぁ生きてるうちにmのっと伝えたかった…
…というわけでいきなり切なさ全開です(苦笑

B-2は「影が見えない」
さぁまだまだ続きますよ
せっけん水のシャボン玉、れんげ畑のくつかくし
毛糸のあやとり、ほぎれのリボン
なんてこんなに絶妙な小道具が出てくるんでしょう
時代がシンクロしているせいか
いろいろとハマりすぎます
その上でシンプルなアレンジに乗せて
力強く歌い上げるハコさんの歌声が響き渡ります
この曲もいいですよねぇ…この行き詰まり感がたまりません

B-3はまさに「気分を変えて」です!
アルバム唯一のアップテンポで
ちぎって投げるように歌い上げます
明るくはないのですがサビがめっちゃキャッチーです
これ数年後に香坂みゆきさんがカバーしてシングルで出しています
実は私、香坂みゆきさんのヴァージョンのほうを
ラジオとかで先に聴いていたりします
ハコさんの歌ももちろんいいですが
みゆきさんの歌う「気分を変えて」もかなりいいですよ!
この曲が好きだって人は多いだろうなぁ

B-4はアルバムタイトルでもある「飛びます」です。
これはまさに旅立ちの歌で
切なさもありますが希望の光を感じる曲です。
個人的にはもっとどろどろしたパワーを感じる「どん底」な曲が
好きなのですが整然とした心境が感じられる
朝の張り詰めた空気のような透明感のあるこの曲もいいですね!

B-5は何ともまた懐かしさを感じさせる「子守唄」で
エンディングです。
この類の曲をラストに持ってくる手法は定番ではありますが
やはり落ち着いてまとまりますね
どろどろの哀しみにひたったままでアルバムが終わると
かなりダメージが残りそうなので
この曲がラストで心を落ち着かせることができて一安心です。
これなら悪酔いせずにそのまま眠れそうです

…というわけで割り切って哀しみを楽しめるメンタル状態なら
ドはまりできる1枚です!わけもなく落ちる感覚を楽しめます!

でも本当に弱っているときに聴くと
ダメージ受けすぎるので要注意です(苦笑)

1975年10月1日リリース

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