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- 2F 昭和のレコード 洋楽編
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YNGWIE MALMSTEEN「Trilogy」
イングヴェイ・マルムスティーンの
ソロとしては3作目のスタジオアルバム
このアルバムでは前作までの
「Rising Force」のバンド名は
クレジットされていないですね
前作とはヴォーカルも異なり
マーク・ボールズが新たにヴォ―カルとして加入しています。
またマルセル・ヤコブが脱退したため
レコーディングではイングウェイがベースも弾いています。
前作までと楽曲の印象もガラリと変わりました。
これまでは例えヴォーカルパートがあっても
あくまでギターミュージックのパートの一つとしての
ヴォーカルラインだという位置づけでしたが
今作からは明らかにヴォーカルラインを中心とした楽曲で
占められています。
またそれもネオクラシカルと言われたサウンドからは
少しメジャーなメロディ、いうなればキャッチーな方向に向かっています。
A-1の「You Don't Remember, I'll Never Forget」なんて
「うお!こんなキャッチーなイントロやサビありえないだろ???」というのが
第一印象でした。でもAメロやギターパートは
それなりにイングウェイしているのですが
ヴォーカルラインとキーボードのバッキングが
今までにないパターンですね!
いや、これはこれでカッコいいですよ
「今までと全然違うけど文句ナシにカッコいい!」って当時も思いました
A-2の「Liar」は比較的これまでのイングウェイっぽい路線の
アップテンポな曲で
続く「Queen In Love」はマイナーキーでそれなりにクラシカルなのだけど
やはりサビのアプローチ等は明らかにこれまでと違う路線です。
でもこの曲のギターソロは適度に泣きも入ってこれまたカッコ良いです。
A-4「Crying」は曲前半部分をアコースティックで哀愁だしまくりで
後半はストラトで泣きまくるという感動モノの
インストゥルメンタルです。
これを聴いていると「あぁ、やっぱりイングウェイって北欧の人だなぁ」と思います。
それほど美しいメロディーラインが続きます。
今回のインスト曲はA面・B面それぞれのラストを飾っていますが
全くタイプの違う楽曲でそれぞれがめちゃくちゃレベルが高いのが
素晴らしいです!やはりイングウェイのアルバムにはこういう曲が
吸う曲は入っていないと寂しいです
B面はアップテンポでノリノリの「Fury」で始まります
アップテンポでノリノリといっても
そこはイングウェイですからアメリカンロックみたいに
明るいノリではなくマイナーキーでクラシカルな
ピンとテンションの張り詰めたノリです。
短いですがヤンス・ヨハンソンのキーボードソロもカッコいいですね!
B-2の「Fire」はA-1と同じく
イングウェイらしからぬキャッチーな曲です。
いや絶妙にクラシカルでイングウェイらしい部分もあるのですが
こういう微妙なブレンドはいいかもしれません。
実際、この曲、かなりカッコいいし万人ウケすると思います。
ギターソロまでわかりやすくカッコいいです!
続く「Magic Mirror」もマイナーキーでありながら
これまでにないアプローチです。
このあたりはマーク・ボールズの力量も関係しているのでしょうね
明らかにジェフ・スコット・ソートよりは
メロディアスに歌える人ですものね。
ジェフのワイルドさも嫌いではないのですが…
B-4「Dark Ages」は明らかにイングウェイっぽい
少し重めですろーでヘヴィな曲なのですが
やはりマークが歌うと少しキャッチーな感じがしますねぇ
タイプとしては前作の「I Am a Viking」あたりに近いはずなのですが
受ける印象が全く異なります。
で、ラストと飾るのはテクニカルなインスト曲
「Trilogy Suite Op:5」
A面ラストの「Crying」がメロディアスなインスト曲なのと対照的に
こちらはイングウェイの本領発揮のテクニカルでスリリングなインスト曲です。
とはいいながら中間部のアコースティック部は泣かせますし
ヤンス・ヨハンソンとの掛け合いも最高です!
これは何か具体的な言葉を添える必要はないですね。
「これぞイングウェイ!」と思える名曲です。
…というわけでこれまでの路線を引き継ぎつつも
一般的なリスナー受けするキャッチーさもそれなりに意識して
絶妙なブレンド具合になった名盤だと思います。
ギターアルバムとしてもレベルが高いですし
ハードロックアルバムとしてもかなりレベルの高い1枚だと思います。
1986年10月1日リリース