クイーンテットインシカゴ、キャノンボールアダレイ

0

超名人級の五人衆による名人芸の応酬

10代の頃から何度も繰り返し聴いていきた。メンバーは親分のマイルス・デイヴィス抜きのマイルス・デイヴィス・セクステット。いずれ劣らぬ名手たちだが、普段は親分に手綱を握られ勝手なことは許してもらえない。ところがここではその親分が不在。鬼の居ぬ間に洗濯、ではなくマイルスの居ぬ間に無礼講のアドリヴ合戦。このメンバーのジャム・セッションを聴けるのはここだけだ。オールスターのジャム・セッションでも一人ぐらいはイモがいるものだが、ここにはいない。イマジネ―ションが尽きないキャノンボール・アダレイのアドリヴは次々とカッコいいフレーズを生み出し、コルトレーンは剃刀のように鋭い音で切りかかる。リズム・セクションの中心はウィントン・ケリーのスイングしまくりのケリー節。コルトレーンの親友ポール・チェンバースが下から支え、ジミー・コブがリズムをキープする。名手ばかりのクインテットではフィリー・ジョー・ジョーンズよりも、ジミー・コブのやや大人しいドラムの方がいいのかもしれない。超名人級の五人衆による名人芸の応酬、すべての瞬間がカッコいい。これさえ聴けばいつでもハッピーになれるし、失恋程度の悲しみなら直ちに忘れさせてもらえる。

Default