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タイムアウト/デイブ.ブルーベックカルテット
50年代、ピアニストのデイヴ ・ブルーベックと、アルトサックス奏者のポール・デスモンドは、ジャズを広めようと全米のカレッジを回り、学生たちから幅広い人気を得た。そのコンビが、当時流行った変拍子ジャズを取りあげたのがこのアルバムである。 特にジャズとしてはめずらしい5拍子の曲『テイク・ファイブ』がそのエキゾチックな曲想もあって一躍ヒットし、後年わが国のTV-CFにまで取りあげられるようになったのはご存知の方もあると思う。白人ミュージシャンらしく几帳面にリズムを取るブルーベックと、これまた白人らしい端正ながら流麗なアルト・サックスの組み合わせは、初めてジャズを聴くファンにもアンサンブルの様子が的確に聴きとれ、入門アルバムとしては最適だろう。(後藤雅洋)
JWR平碆 善幸
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ジャズアットマッセイホール/チャールズ.ミンガス
本作は、カナダ・トロントにあるマッセイ・ホールにビ・バップを代表する5人の巨人が一同に会した歴史的コンサートの実況録音盤。チャーリー・パーカーの奔放なソロ、ディジー・ガレスピーのホットなプレイ、閃きに満ちたバド・パウエルのアドリブ。"神様"たちによる白熱した演奏が展開される。1953年録音。 (C)RS
JWR平碆 善幸
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クイーンテットインシカゴ、キャノンボールアダレイ
超名人級の五人衆による名人芸の応酬 10代の頃から何度も繰り返し聴いていきた。メンバーは親分のマイルス・デイヴィス抜きのマイルス・デイヴィス・セクステット。いずれ劣らぬ名手たちだが、普段は親分に手綱を握られ勝手なことは許してもらえない。ところがここではその親分が不在。鬼の居ぬ間に洗濯、ではなくマイルスの居ぬ間に無礼講のアドリヴ合戦。このメンバーのジャム・セッションを聴けるのはここだけだ。オールスターのジャム・セッションでも一人ぐらいはイモがいるものだが、ここにはいない。イマジネ―ションが尽きないキャノンボール・アダレイのアドリヴは次々とカッコいいフレーズを生み出し、コルトレーンは剃刀のように鋭い音で切りかかる。リズム・セクションの中心はウィントン・ケリーのスイングしまくりのケリー節。コルトレーンの親友ポール・チェンバースが下から支え、ジミー・コブがリズムをキープする。名手ばかりのクインテットではフィリー・ジョー・ジョーンズよりも、ジミー・コブのやや大人しいドラムの方がいいのかもしれない。超名人級の五人衆による名人芸の応酬、すべての瞬間がカッコいい。これさえ聴けばいつでもハッピーになれるし、失恋程度の悲しみなら直ちに忘れさせてもらえる。
JWR平碆 善幸