フルトヴェングラーのベートーベンヴァイオリン協奏曲ニ長調

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メニューインがフルトヴェングラーと組んで録音したベートーヴェンは3種ありますが、「彼等のベストを尽くした名演」(宇野功芳)がこれです!

「手兵のベルリン・フィルを指揮し、本拠地のベルリンにおける定期公演ということで、フルトヴェングラーの気持ちがまるで異なる。その心の張りがメニューインに乗り移り、スランプにあえぐ彼から実力以上のものを引き出したのがこのレコードなのである。第1楽章ではアインガングから魂が高く羽ばたくような音と表現が聴かれる。音色には溢れるような艶があり、歌に満ちているが、そこに人為的なものはいっさいなく、自然界の一つの現象のように聴こえる。とても人間が弾くヴァイオリンとは思えず、崇高な感じさえするのである。録音のせいか、最弱音が強くなっているが、充分に繊細な表現が伝わって来、哀しくなるほどのディミヌエンドが印象的だ。展開部が良い例で、決してセンチメンタルな演奏ではないのに、あまりの美しさと心のこめ方の一途さに、聴いている方が哀しくなってしまうのである。それは常に高みに向おうとする心なのだ。どの一部をとっても魂の音楽であり、その真実が音楽美として表われ出てくる。
 カデンツァ(クライスラー作)がまたすばらしい。この情熱、この気迫、メニューインは完全に昔の天才少年時代に戻っており、クライマックスへの激しい登頂には聴いているわれわれも思わず夢中になってしまう。」~宇野功芳、ライナー・ノーツより

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