陽水ライブもどり道

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この臨場感 ライヴの醍醐味
2018年11月3日に日本でレビュー済み
20代半ばの陽水がここに存在していました。今でも美声を誇っていますが、この高音の冴えと迫力ある歌唱は20代でなければ発揮できない領域でしょう。若さという強いエネルギーが歌唱から伝わってきます。
優れたコンポーザーなのは間違いありません。歌い手としての魅力がそれを上回ります。その後の陽水の音楽の原型がここに集まっているような気がしました。

録音もいいですよね。舞台のすぐそばで聴いているような臨場感がたまりません。陽水のボソボソとしゃべる語りがまた味があります。

「人生が二度あれば」の歌唱前の語りが今でも印象に残っています。陽水の両親の描写が語りと歌とで伝わります。年齢が64歳。当方も気が付けば同じ年代になっています。
1973年4月14日新宿厚生年金会館小ホールのライヴですから、初出から半世紀が経ちました。仕方がないのですが。
LP発売当時「人生が二度あれば」を聴いていた心境とは別の感慨でこの歌を聴いている自分がいました。

学生時代、圧倒的に若者に聴かれていた『氷の世界』を聴いて、その前に発売されていた『もどり道』のLPを購入したものです。よく売れたアルバムのようですが、当時はネットなんてものはないので、口伝えが全てでした。あの頃、皆で陽水の歌を歌ったのです。当方も楽譜を購入して、なんとか歌いたいと思っていたわけですから。

「あかずの踏み切り」も『氷の世界』で耳馴染となっていた曲とは別ヴァージョンでしたので、星勝さんと陽水の曲の違いだったのを当時知って驚いたのを覚えています。

優れた音楽は、聴くことで当時の思い出まで一杯ひきつれて戻ってきてくれました。ここには若き日の陽水の歌声が存在しています。そしてそのLPを熱心に聴いていた当時の自分を見ているようでした。

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