バルビローリ/マーラー交響曲第9番

0



Gustav Mahler(1860~1911)は、1888年に28歳で交響曲第1番ニ長調を完成してから、20年強で第9番まで交響曲を完成し、第10番を作曲している途中で亡くなった。「大地の歌」も交響曲にされているのだから、50年の生涯で10曲の交響曲を完成したことになる。この交響曲第9番は、第1番と同じくニ長調の音楽なのだが、それは単なる偶然なのだろうか。

Mahlerはこの第9番において、Johann Strauss、Wagnerら他の作曲家の作品から引用したり、あるいは自分の作品から引用したりして、過去を追想していたとされる。ひょっとするとMahlerは、自分の死期が近いことを薄々感じていたのかもしれない。

ここでは、名演の評価の高いジョン・バルビローリ指揮、ベルリナー・フィルハーモニカ―の演奏を聴いてみよう。録音されたのは1964年1月で、この英国出身の名指揮者とこの曲を共演したオーケストラの楽員たちが感激して、ぜひとも残したいということで実現した録音である。たしかにこれだけの音楽を聴いて、或いは実際に演奏して感動しない方が難しいのではないかと思えるほど美しく、情念に満ちた音楽である。有り体な言い方ではあるが、他のどんな演奏が出現したとしても、このバルビローリとベルリンの演奏は、その価値を失わないのではないだろうか。

Default