ベアーキャット/クリフォードジョーダンカルテット

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地味ながら深い味わいと豪快さを兼ね備えたサックス奏者

クリフォード・ジョーダンの名を聞くことはあっても、そのプレイが話題になることはあまりない。アンダー・レイテッドが代名詞のハンク・モブリーでさえ、代表作は数多いし、何よりも多くのセッションに名を連ね、そのプレイが愛されている。クリフォード・ジョーダンはソニー・ロリンズの流れをくむプレイヤーであり、その技量も確かなものがある。やや乾いた音質と豪快なアドリブは50年代〜60年代のサックス奏者の中でもかなりのレベルをいくものであろう。にもかかわらず、リーダーアルバムの少なさやサイドメンとしての注目度の低さには、理由の知れない不運さを感じずにはおられない。クリフォード・ジョーダン再評価の動きはないのだろうか。このアルバムなどで聴くことができる外連味のない深い味わいや豪快なトーンから繰り出されるアドリブの見事さは、誠に心地よいし、60年代初頭のストレート・アヘッドな主流派ジャズの良質な部分が凝縮されているように思う。中でも「ハウ・デープ・イジ・ジ・オーシャン?」など朗々と吹く潔さはアルトのジャキー・マクリーンにも通じる味がある。また共演にシダー・ウォルトンのピアノを得て、オーソドックスななかに新しさが感じられるアルバムに仕上がっている。隠れた良質なテナー・サックスを是非聴いてもらいたい。

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