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200クラシック用語事典
1994年2月25日発行。タイトルに「事典」とありますが、ここで取り上げるくらいですから、いわゆる「楽典」で学ぶような用語の解説本ではありません。もちろん、その要素もないわけではないですが、要はクラシック音楽を日常的に楽しむためにその意味を踏まえておいても損はないような用語を集めてそれぞれに解説を加えたもので、当然のことながらその中身は一筋縄ではいきません。例えば、用語の一つ目が「作曲/作曲家」、二つ目が「作品」ですが、はっきり言って解説になっていません。だったらダメなのか、というとそうではなく、「これらの言葉について限られた字数で何か書け」と依頼された作曲家の吉松隆氏が、彼流の肩の力を抜けたコメントをしており、それがまた楽しかったりします。そして本書で最も興味深いのが「クラシック・グルメのためのおいしさ表現ワード集」で挙げられている用語で、例えば、完成度、円熟、音楽性、人間味/人間性、精神性、色彩感、説得力のある、絶妙の、などがあるのですが、どんな解説・コメントなのでしょうね。 #クラシック音楽
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Blu-ray+DVD「SUPER8/スーパーエイト」
2011年製作。とりあえず、ストーリーの一部を示します。 「1979年の夏。オハイオの小さな町で保安官の父と暮らす少年ジョー(ジョエル・コートニー)は、ある夜、仲間たち5人と家を抜け出し、8ミリ映画の撮影に出かける。だが、その撮影中に偶然、米軍の貨物列車の大事故に遭遇。アメリカが絶対に秘密にしなければいけない、“何か”を撮影してしまう。それは実は、アメリカ政府の指示によって秘密軍事施設“エリア51”から“何か”を輸送する途中だったのだ。少年たちが事故現場に落とした8ミリフィルムの空き箱を発見した米軍は、極秘情報が何者かに目撃されたと判断して町中の捜索を開始する。やがて、町では不可解な出来事が連続して発生。犬たちが一斉に消え、9人が行方不明……。さらに、事故現場から持ち帰った白い謎のキューブが不思議な動きを始め、全てを目撃した少年たちは、真実を探しに行くことを決断する……。」 (KINENOTEより) 何といっても、今をときめくJ・J・エイブラムス監督、そしてスティーブン・スピルバーグが製作で、ストーリーにも関与しているわけですから、本展示アイテムを入手した際はそれなりの期待を持ったのですが、その反動もあるのでしょうか、相当落胆しました。 一応、映像ソフトを展示する際には駄文ながら、それなりの紹介文を作成させてもらっているのですが、本展示アイテム収録作についてはどんな内容にしようか、ということにかなり悩みました。もっとも、それは認める事項が乏しいから、というわけではなく、むしろありすぎるくらい、と言ってもいい。ちなみに、本文を作成する以前に別の文章を作成していたのですが、その作業が進行するにつれてだんだん憂鬱になってきましてねぇ。結局、本文に作り直しました。だったら、そんなアイテムなんて展示しなければいいだろう、という向きもあるでしょうが、それでも言いたいことはある。それを次段以降で少しばかり述べてみます。 思いつくだけでも、肉親の死、父親との葛藤、友情とロマンス、SF・ミステリー、サスペンス、大人への自立など様々な要素が詰め込まれ、それだけでもやり過ぎの感はありますが、そこから湧き出てきたのは、これもよくこの作品では言われているようですが「既視感」ですね。別に既視感が悪いとは言いませんが、本展示アイテム収録作に関してはむしろ「猿真似」の風情を感じてしまいました。要するに、スピルバーグはもちろん映画史にもその占める割合の高い偉大な監督ですが、その作風にはダークな側面もあり、それが自身以外の監督作品で露呈してしまった、というのが私見です。それらが具体的にどこの場面であるかを挙げ始めると冗長になるので、ここでは論じませんが、もしこの作品をスピルバーグが監督していれば、何らかのカタルシスを感じ取れる演出をしてくれたのでは、と想像してしまいます。 あと、本展示アイテムには吹替も収録されていますが、あまり触れる気にはなりませんね。ただ、本展示アイテムにはそのキャスティングが全く表示されていません。ですので、ネット検索した結果を、主なキャスティングについてタグで表示しておきます。 https://www.youtube.com/watch?v=t-0XuYxh67w #Blu-ray+DVD #Blu-ray #DVD #SUPER8/スーパーエイト #スティーブン・スピルバーグ #J・J・エイブラムス #ジョエル・コートニー #エル・ファニング #ライリー・グリフィス #カイル・チャンドラー #ロン・エルダード #ノア・エメリッヒ #ガブリエル・バッソ #ケイティ・ロウズ #ザック・ミルズ #本城雄太郎 #小幡真裕 #宮坂健太 #木下浩之 #松山鷹志 #大川透 #小林廉 #藤本教子 #小清水一揮 #吹替
Blu-ray+DVD 駿河屋通販 2022年 PPCB120759woodstein
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Blu-ray「第三の男 4Kデジタル修復版」
『第三の男』自体については、他フロアにこの作品を収録したDVDを展示しましたし、その際の紹介文でも申しあげたとおり、正直言って語り尽くされている作品ですので、作品そのもののことではなく、ここでは本展示アイテムであるBlu-rayについて触れてみたいと思います。 まず、表題にあるとおり「4Kデジタル修復版」ですので、「画像が修復されているのだ」という先入観があるにせよ、実際に観てみて端的に映像はきれいだと感じました。特に陰影の明確さ、「光と影」は単に「白と黒」などではなくその間の微妙な差がより明瞭になった、などの印象を受けました。ですので、夜の場面も目を凝らさずに見られましたし、またハリー・ライムを待つホリーの背景の展望車のさらに背景の曇天の雲の模様はより濃淡がはっきり見えましたし、さらには展望車の中から見る下界の様子もより鮮明に感じられました。と、このように修復の効果が見て取れるシーンは枚挙に暇がないわけで、この映画を最初にとある図書館の視聴室の16mmフィルムによる上映会で観てから実に40年振りの新たな感慨がありました。 そして、もう一つの本展示アイテムの目玉である吹替の収録ですが、主な吹替キャストは以下のとおりです。 ジョセフ・コットン(ホリー・マーチンス):江守徹、アリダ・ヴァリ(アンナ・シュミット):松下砂稚子、オーソン・ウェルズ(ハリー・ライム):小池朝雄、トレヴァー・ハワード(キャロウェイ少佐):西沢利明、バーナード・リー(ペイン軍曹):和田啓 他、 と、この吹替について以下に語ろうと思ったのですが、どうも話が冗長になりそうですし、他にも触れなければならないことがありますので、それらに関しては、後日「モノ日記」の場で改めて語ることとさせて頂きます。 https://muuseo.com/woodstein/items/220 https://www.youtube.com/watch?v=r9yyDEDGlr0 #Blu-ray #第三の男 #4K #デジタル修復版 #キャロル・リード #グレアム・グリーン #アントン・カラス #ジョゼフ・コットン #アリダ・ヴァリ #オーソン・ウェルズ #トレバー・ハワード #バーナード・リー #江守徹 #松下砂稚子 #小池朝雄 #西沢利明 #和田啓 #吹替
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BSfan特別編集 MOOK21 アメリカンTVドラマ 50年
2003年4月1日発行。本のタイトル及び発行年月日からもわかるとおり、2003年を遡ること約50年間のアメリカのテレビドラマの代表作151本を解説したものです。何せ対象となった数が多いので、個々の作品について詳細な説明がなされているわけではありませんが、それでも一つの作品に最低1ページは費やしてもれなく写真入り、さらには全米視聴率年度別トップ20や歴代エミー賞受賞リストなどの資料も掲載した、非常に労作といっていい書籍です。まあ、個人的には吹替ファンの立場からしたらこの手の情報も入れて欲しかった、とも思っていたのですが、昨今ではネット検索でかなり補えるので、まあいいかな。とにかく出版から15年以上経過した現時点でも、読んでいて楽しい本なのは確かです。 #アメリカンTVドラマ #エミー賞
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CD ちょっと凝り屋の楽しみ方 俵孝太郎著
1993年7月5日発行。『新・気軽にCDを楽しもう』と同時期の発刊で、相乗効果の売り上げを目論んだようですが、果たして成功したのかどうかは知りません。『気軽にCDを楽しもう』で紹介した、あるいは紹介しきれなかったCDを1週間に1組聴くペースで計50組紹介する、という構成なのですが、そのときはまだCD化されていない曲などもあり、その場合はその周辺のCD化されている曲などを挙げています。実は、ここで紹介されたCDも可能な限り入手しようと頑張ったのですが、結構果たせませんでした。その後、俵孝太郎氏のクラシック音楽に関する著作は出版されていないようですが、実はタワーレコードのフリーマガジン「ミュゼ」さらには「イントキシケイト」にクラシック音楽CDに関するコラムを連載し続けています。ただ、最近は出不精でタワーレコードに来店することもなくなり、俵氏の文章が読めていないのが残念と言えば残念です。 #クラシック音楽 #俵孝太郎
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CDの上手な買い方・集め方 これであなたもコレクター 出谷啓著
1992年1月10日出版。店頭で偶然見つけた本で、著者本人の体験したエピソードはそれほど興味を引かなかったものの、CDを入手するときの「作法」のようなものをそれとなく伝えてくれているのが気に入り、立ち読みだけのはずがいつの間にか購入していました。実質的にはクラシックCDへの付き合い方の入門書のような内容で、本書発刊の頃は今にもましてクラシック音楽の知識が乏しかったので、いろいろなことで意外と助けられた、という印象の本でした。実際に幅広くクラシック音楽と付き合っていくにはどのようなレパートリーを選ぶべきか、というのは殆ど他の著作から学んだのですが、本書はその側面援助してくれた、という感じですかね。あと、本書は同著者による「レコードの上手な買い方」CD対応改訂版、つまり焼き直し版で、"レコード"という単語を"CD"に置き換えただけであると批判する向きもありますが、レコードとCDの両方を体験している者が読めば、その使い分けは容易に判断できるわけで、別に苦にはなりませんでした。 #クラシック音楽 #出谷啓
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COMIC’S ★ ウルトラ大全集 ウルトラセブン VOL.1 古都に燃ゆ
1992年12月29日発行。タイトルにあるとおり、マンガ本です。さて「VOL.1」とありますが、VOL.2以降はどうも無いようです。本書を世に出したリム出版は、予定ではウルトラマン、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマン、ウルトラマンエース、ウルトラマンタロウ、ウルトラマンレオ、ザ・ウルトラマン、及びウルトラマン80の8作品について各々5巻ずつのオリジナルコミックを企画したのですが、実現したのはマン、セブン、新マン、及びタロウの第1回配本のみだったようです。これは、リム出版が実写映画『8マン・すべての寂しい夜のために』という作品を製作したものの、作品的にも興行的にも大失敗し、それが原因となって倒産してしまい、第2回以降の配本ができなくなったからのようです。 #ウルトラセブン
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DVD「13デイズ コレクターズ・エディション」
2000年製作。購入したのは発売直後で、数度見た後は長らく死蔵していたのですが、昨今の国際状況を鑑み、かつての冷戦が如何ばかりのものだったのか、その一端を伺う意図をもって再見しました。 本展示アイテム収録作は、言わずと知れた「キューバ危機」に際して、ホワイトハウス、それもケネス・オドネル(大統領特別補佐官)、ジョン・F・ケネディ(大統領)、そしてロバート・ケネディ(司法長官)がどのように振舞ったかを描いた作品です。あらすじは、 「1962年10月16日、ソ連がキューバに核兵器を持ち込んだという知らせがケネディ大統領(ブルース・グリーンウッド)のもとへ届く。彼は直ちに緊急の危機管理チーム、国家安全保障会議緊急執行委員会、通称エクスコムを招集。会議では空爆が推薦されたが、第三次世界大戦の勃発につながる危険があり、大統領はそれを避けたかった。彼は本音を打ち明けられる弟の司法長官ロバート(スティーヴン・カルプ)、親友の大統領特別補佐官ケネス・オドネル(ケヴィン・コスナー)と共に、最善の手を探る。空爆を迫る軍部を退けた大統領は、国連総会のため訪米したソ連外相と会談するが、外相はミサイルの存在を否定する従来の主張を繰り返すのみ。大統領の疲労と緊張は限界に達しはじめるが、ケネスは「国民はきっとあなたについてくる」と励まし、腹をくくった大統領は海上封鎖実施を発表。しかしキューバのミサイルは発射準備を整えつつあり、大統領は止むなく29日に空爆の準備を指示。さらに、爆撃目標の最終確認に飛び立った偵察機が撃墜されるという事件が起こる。軍部は即時報復を進言し、事態は一触即発の状態に。それでも大統領はトルコのミサイル撤去を切り札に最後の交渉に賭ける決意を変えず、ロバートを駐米ソ連大使との交渉役に任命する。弱気を示す彼をケネスが励まし、現場に同行。かくして核戦争は回避され、悪夢の13日間は無事幕を閉じるのだった。」(KINENOTEより) というもので、ハリウッドが初めてキューバ危機の真実に迫った社会派サスペンス・ドラマでした。 こういう題材はいくらでもドラマティックに演出できるはずであり、ロジャー・ドナルドソン監督には当然その力量はあるはず。それでも、あえてドキュメンタリー・タッチにしたのは、賛否両論のあるところなのでしょうが、私見ではこの判断が作品の成功に貢献したのではないか、と思っています。ただ、この作品について残念なのはサントラ盤が出版されなかったことです。担当したのがトレヴァー・ジョーンズですから、じっくりと音楽そのものを聴いてみたかったです。 あと、収録されている吹替ですが、ケビン・コスナーを担当している原康義氏のセリフ回しが何だかクーパー捜査官のようで、少し合わなかったかな。個人的にはやはり津嘉山正種氏に担当して欲しかったですね。その他の主な吹替はタグに表示しておきます。 https://www.youtube.com/watch?v=8xwmnF_SnsU #DVD #13デイズ #ロジャー・ドナルドソン #トレヴァー・ジョーンズ #ケビン・コスナー #ブルース・グリーンウッド #スティーヴン・カルプ #ディラン・ベイカー #ビル・スミトロヴィッチ #マイケル・フェアマン #ヘンリー・ストロジャー #ケヴィン・コンウェイ #ティム・ケラハー #フランク・ウッド #マディソン・メイソン #原康義 #安原義人 #森田順平 #水内清光 #金尾哲夫 #中庸助 #石波義人 #秋元羊介 #中博史 #小形満 #仲木隆司 #ケネス・オドネル(大統領特別補佐官) #ジョン・F・ケネディ(大統領) #ロバート・ケネディ(司法長官) #吹替 訂正 上記紹介文中では、本展示アイテム収録作のサントラ盤CDは出版されていないと表記しましたが、実際にはリリースされていました。先日、中古レコード店で偶然見つけましてね。当然入手しました。ということで、追記して訂正させていただきます。誤った情報を掲げてしまったこと、誠に申し訳ありませんでした。
DVD 日本ヘラルド映画 CDショップ 2001年woodstein
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DVD「ある日どこかで」
本展示アイテム収録作については、劇場公開(1981年1月31日)前に予告編を何回も劇場で観ることはできたのですが、上記の日付からもわかるとおり、正月と春休みとの間の公開で、私自身、正月映画に金を使い過ぎて、この2月はとてもロードショー・封切り映画に行ける余裕がなく、その後名画座でも観ることもありませんでした。それから数年経って80年代後半、私は映画レポーター「襟川クロ」氏のファンクラブに入会しており、たまに交流があったのですが、彼女はことあるごとに自身の生涯ベストスリーの作品は『ローマの休日』、『ベンジー』、そして本展示アイテム収録作であると述べられており、そんなこともあってか再び意識し出しました。結局、この作品を最初に観たのはテレビで、それも吹替ではなく字幕スーパーでの放映でした。その後、『午前十時の映画祭』でも上映されたので劇場で観る機会はあったのですが、すでに本展示アイテムを入手していましたし、何よりも『明日に向って撃て!』ほどの思い入れもなかったので、スルーしました。 かといって、この作品が気に入らないのかというと、そんなことはありません。前出のクロさんのようにこの作品のコアなファンは意外と多く、カルト的な人気があるそうですが、それは十分に納得できます。クリストファー・リーヴの、公開時期でいうと『スーパーマン』と『スーパーマンII 冒険篇』の間の出演映画であり、『スーパーマン』の成功で舞い込んだいくつかの出演オファーの中から「自分にはSFのイメージがついている段階なので、その線上にある作品を」との意向で選んだ作品だったのですが、タイムスリップという要素をうまく活用しながらも本質的にはラブ・ストーリーであり、リーヴの二枚目振りは誠に堂々としたものでした。またヒロインのジェーン・セイモアのこの時期の美貌は眩いばかりで、この作品の魅力を効果的に増幅させる一因ともなりました(余談ですが、個人的には、この1980年前後の頃に女優でその美しさに魅了されたのが、ジャクリーン・ビセット、ジェーン・セイモア、そして松坂慶子でした)。 それで、本展示アイテムについて。まず、吹替が収録されています。おそらくこの版はこの作品をDVD化するにあたり新たに制作されたもので、部分的には聴いてみたのですが、可もなく不可もなく、という感じですかね。てらそままさき(寺杣昌紀)、田中敦子、有本欽隆(きんりゅう)各氏は手練れで上手く吹き替えているのはわかりますが…。そして、特典映像で興味深かったのが、脊髄を損傷して車椅子生活を送っているクリストファー・リーヴへのインタビューですね。本展示アイテムの出版が2003年、そしてリーヴの逝去は翌2004年でしたので、貴重な記録となりました。 最後に、この作品でもう一つ素晴らしかったのがジョン・バリーによる音楽でしたが、パガニーニの狂詩曲ともども、それらに関する話は、この作品のサントラ盤を展示したときに語ることとします。 https://www.youtube.com/watch?v=DhcUnpaVyzo #DVD #ある日どこかで #ヤノット・シュワルツ #ジョン・バリー #クリストファー・リーヴ #ジェーン・セイモア #クリストファー・プラマー #てらそままさき #田中敦子 #有本欽隆 #吹替
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DVD「おかしなおかしな大追跡 特別編」
内容やその周辺に関することは、おそらくこの作品について別に語る機会もあるでしょうから、ここではこぼれ話的話題をいくつか。 まず、「おかしなおかしな」という語句が付せられた邦題の作品ですが、 ・1972年『おかしなおかしな大追跡』(What's up Doc?) ・1973年『おかしなおかしな大泥棒』(The Thief Who Came to Dinner) ・1974年『おかしなおかしな大冒険』(Le Magnifique) ・1974年『おかしなおかしな高校教師』(La Moutarde me monte au nez!) ・1981年『おかしなおかしな石器人』(Caveman) ・1987年『おかしなおかしな成金大作戦』(Million Dollar Mystery) ・1988年『ロブ・ロウのおかしなおかしな探偵物語』(Illegally Yours) ・1992年『おかしなおかしな訪問者』(Les Visiteurs) などの作品があります。あと、これ以外に本展示アイテム収録作と同様、バーブラ・ストライサンド主演の『またまたおかしな大追跡』(1974年 For Pete's Sake)という作品もありますが、続編ではありません。この「おかしなおかしな」というのをおそらく最初に付したのは、1963年の『おかしな、おかしな、おかしな世界』なのですが、原題は「It's a mad,mad,mad,mad world」、つまりほぼ直訳の邦題だったわけです。それに対し、他の「おかしなおかしな」の邦題作品の原題には「おかしな」に結びつく要素はありません。基本的にはコメディ映画ではありますが、『おかしなおかしな大泥棒』などはちょっとコメディとは言い難く、「おかしなおかしな」と付けるのが適切なのか、と思わざるを得ないものもあります。まあ、上記の8作品のうち4作品は1972~4年に集中していることをみても、この時期にちょっとトリッキーなこのフレーズが流行り、だんだん廃れ、1992年を最後に使用されなくなった、ということなのでしょうね。 さて、本展示アイテムには「バーブラ・ストライサンドによるシーン解説」や「メイキング」などの映像特典が収録されています。特に後者には、ピーター・ボグダノヴィッチ監督の演出風景が映されているのですが、ライアン・オニールを相手に、自身がバーブラ・ストライサンドの役の動作を演じていて、その気になっているボグダノヴィッチに対し、オニールの表情がやや引きつっているように見えたのが愉快でした。因みに、この模様の一部は添付動画のトレーラーにも収録されています。 https://www.youtube.com/watch?v=HejpRrOWIRc #DVD #おかしなおかしな大追跡 #ピーター・ボグダノヴィッチ #バック・ヘンリー #デイヴィッド・ニューマン #ロバート・ベントン #アーティ・バトラー #バーブラ・ストライサンド #ライアン・オニール #ケネス・マース #オースティン・ペンドルトン #マデリーン・カーン #マイケル・マーフィー
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DVD「ならず者」
本フロアに展示のアイテムは「淀川長治監修『世界クラシック名画』100撰集」シリーズを基本とした一連のDVDであり、そのように設定してしまった以上、そこに属するアイテムを入手していれば展示が余儀なくさせられるように自分自身に縛りをかけてしまったわけですが、では、本展示アイテム収録作がこのシリーズのお題目にある、いわゆる「名画」なのか、と問われると、私なら即座に否定しますね。個人的には、何でこの作品をこのシリーズにブッコんだのか、疑問なのですが…。 と、いきなり悪口めいたことを捲し立てましたが、では本作が嫌いなのか、というと、そうではありません。確かに、西部開拓史上で著名な面々、ドク・ホリデイ、パット・ギャレット、そしてビリー・ザ・キッドの人間模様を縫う様に、一人の魅惑的な女性が揺れ動くという、少し大袈裟に言えば荒唐無稽な筋立ての作品であり、さらには監督がハワード・ホークスから演出に関しては素人同然のハワード・ヒューズに交替したという様々なマイナスの要素はありますが、そんなものは主役のジェーン・ラッセルの魅力の前にはどうだっていいことだろう! さすがにこれは言い過ぎですが、要するに上記の歴史上の人物をそれぞれ演じたウォルター・ヒューストン、トーマス・ミッチェル、そしてジャック・ビューテル諸氏の扱いは、本作でデビューした新進女優ジェーン・ラッセルの刺身のつま程度であった、ということですかね。 ジェーン・ラッセルを最初に観たのは御多分に漏れず『紳士は金髪がお好き』で、正直言ってマリリン・モンローよりもよほど魅力的に私には見えたのですが、その原点が本作であったというのを確認できたのが、本展示アイテムを入手した最大の収穫で、作品自体の出来を超越している、と思い込んでいます。 あと、音楽はヴィクター・ヤングが担当したのですが、本作に関してはどうも彼本来の切れ味がない凡庸な劇伴でした。おそらく、画面上の冗長な演出に合わせて作曲したから、そんな残念な結果になってしまったのだろう、と想像してしまえるのですが、どうなのでしょうか。 https://www.youtube.com/watch?v=Gnjv3ONSa9o #DVD #淀川長治 #ならず者 #ハワード・ヒューズ #ハワード・ホークス #ヴィクター・ヤング #ジェーン・ラッセル #ウォルター・ヒューストン #トーマス・ミッチェル #ジャック・ビューテル
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DVD「アイアン・ホース」
有り体に言えば、ジョン・フォード監督の出世作であり、そういう意味では映画史においてもそれなりに重要な地位を占める作品です。内容的には、アメリカ大陸を横断して東から伸びるユニオン・パシフィック鉄道と西から伸びるセントラル・パシフィック鉄道をひとつのレールで結ぶ横断鉄道建設を巡り、男女の恋、土地売買の陰謀、父の仇討ちなど、さまざまな物語が交錯する、という壮大なスペクタクル、というところですかね。 もちろん映画ですから、主人公やヒロインが設定され、それらを取り巻く人間模様も描かれていますが、飽くまで主題は、南北戦争後のアメリカ開拓期の一部を切り取り、横断鉄道建設を通じて近代国家へ脱皮する礎を築くのにどのようなドラマがあったのか、ということ。製作されたのが1920年代前半ですから、まだまだ19世紀末の開拓期の原風景が残っており、それを背景にしての撮影、しかもSFXもCGもないわけですから、実物大のセットを製作して撮影した映像の内容はリアリティに溢れ、迫力がありました。 そして、最も感心させられたのが、撮影時のジョン・フォードの年齢が若干29歳であった、ということで、B級西部劇の撮影のキャリアをそれなりに積み重ねてはいたものの、これほどの大作を任されるには、100年近く経過した現代でも思わざるを得ないわけで、起用したフォックス社の英断はバクチと紙一重のものだったのではないでしょうか。ですが、ジョン・フォードがその英断に応えたのは彼自身の非凡さのなせる業であり、その後の映画人としての成功を予見させる作品の完成度でした。 ということで、ここからは不満な点ですが、作品の内容についてではなく、本展示アイテム自体のこと。本フロアで掲げる「淀川長治監修『世界クラシック名画』100撰集」シリーズ、というよりも、企画・制作のIVC社自体の問題ですが、不完全な版を臆面もなく世に出しているわけで、本展示アイテムの収録時間は118分、これとは別の会社から発売されている『アイアン・ホース』のDVDは132分で当てつけのように「132分ヴァージョン」をタイトルに付しており、amazonの販売ページには「完全版」の語まで付いています。ただ、これはアメリカ国外向けの版であり、アメリカ国内向けは約150分の版が公開されました。だから、amazonの販売ページの「完全版」の語は正確ではない、とも言えるでしょう。いずれにしても、本作はすでにパブリック・ドメインになっているはずですから、150分版を日本向けに出版する努力はできなかったのか、と思ってしまいます。 https://www.youtube.com/watch?v=wTmWsrHp2nA #DVD #淀川長治 #アイアン・ホース #ジョン・フォード #ジョージ・オブライエン #マッジ・ベラミー #チャールズ・エドワード・ブル #シリル・チャドウィック
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DVD「アリゲニー高原の暴動」
ジョン・ウェインが『駅馬車』の直後に主演した、アメリカ開拓の時代を舞台としたアクション映画という風情の作品で、本邦劇場未公開、『アリゲニー高原の暴動』という邦題はテレビ放映された際につけられたタイトルで、本展示アイテムにも流用されました。ちなみに、Wikipediaによるとテレビ放映の際の吹替キャストは、 ・ジェイニー: クレア・トレヴァー(谷育子) ・ジム・スミス: ジョン・ウェイン(宮部昭夫) ・スワンソン: ジョージ・サンダース(久松保夫) ・カレンダー: ブライアン・ドンレヴィ(成瀬昌彦) という布陣で、これはこれで観てみたいものです。 あらすじは、「アメリカ独立戦争を遡ること16年前、カナダ国境でのフランスとの紛争に巻き込まれていたイギリス人のジェームズ(ジョン・ウェイン)は、紛争終了に伴い、スワンソン大尉(ジョージ・サンダース)によって解放される。3か月後に帰郷し、酒場の娘ジェニー(クレア・トレヴァー)との再会も果たしたが、デラウエア族がピット砦を囲んで町を焼き払ったという状況下にあった。ジェームズは義勇軍を集めて現地に向かう途中でインディアンと交戦し、その際彼らが持っていた斧が商社の物だと判明したため、ジェームズらはフィラデルフィアに赴いて総督に直訴してインディアンとの交易を禁じるという通達が出させた。しかし商社のカレンダー(ブライアン・ドンレヴィ)達が、軍と結託して交易を始め…。」というもの。 何と言っても、ジョン・ウェインにしてみれば西部劇映画の金字塔『駅馬車』直後の作品であり、しかもクレア・トレヴァーと再共演ですから、多少の期待をもって観たのですが、結論から言えば、劇場未公開も致し方ないかな。というか、戦後のジョン・ウェインの人気がある程度定着した時期に製作されたのであれば劇場公開もあったのかもしれませんが、その暇もなかった、という感じですかね。 https://www.youtube.com/watch?v=ssQeqlBFWmo #DVD #アリゲニー高原の暴動 #ウィリアム・A・サイター #クレア・トレヴァー #ジョン・ウェイン #ジョージ・サンダース #ブライアン・ドンレヴィ
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DVD「アンダルシアの犬」
1928年製作。ルイス・ブニュエルとサルバドール・ダリによるシュルレアリスムの傑作と評される、実験的ショート・フィルム、アナキズムに心酔していたブニュエルによる、「映画の機能を否定した映画」、という映画史において重要な位置づけがなされている作品で、かなり語り尽くされてもいますので、次段以降は思い出話などさせて戴きます。 高校生の頃、劇場で映画を観る資金が潤沢ではなかったこともあり、学園祭シーズンにはあちこちの大学の上映会に出向いたものでした。もちろん、劇場公開作の無料上映を観るのが目的だったのですが、その余波というか、副産物というか、その大学の映画研究会か何かの製作の、いわゆる自主映画も観る羽目となり、その殆どが退屈で、当時は結構苦痛で迷惑に思ったものでした。そして、その中には映像の脈絡のない羅列としか思えない作品もあり、「これは私のようなおバカな高校生の理解を超えるものなのか」と帰路の電車の中で考え込んだりもしましたが、ひょんなことからちょっと事情が分かったような気になったことがありました。 それは、おすぎとピーコのラジオ番組に大林宣彦監督がゲスト出演した時のこと、主目的は映画『転校生』の宣伝だったわけですが、それ以外にもトークは展開し、話題は当時の自主映画に及びました。大林監督は日本の自主映画に関しては草創期から活動された方であり、このラジオ放送の頃もおそらくこの類の作品に触れる機会があったようで、御自身が撮影していた頃との作風の違いについて語っておられたのですが、その中に「料理でいうと素材だけあって調理がされていない」という意味の発言があり、このときはまさに「我が意を得たり」と思ったものでした。さらに数年後、ルイス・ブニュエル監督の作品をまとめて観る機会があり、その際に本展示アイテム収録作を初見できたのですが、この25分程度のとても理解しにくい内容の作品が、私が観させられた愚にもつかない自主映画の原点にも思えました。ただ、この私の思い込みは多分浅はかなのでしょう。もしかしたら、大林監督もそれらの自主映画を観て『アンダルシアの犬』を連想したかもしれませんが、所詮は「意欲は買うが、格が違い過ぎる」くらいに感じたのかもしれない、そんな妄想をしてしまいました。 ということで、ネット検索すれば全編を収録した動画は簡単に見つかりますし、特に日本語字幕を必要とする内容でもありませんので、未見の方は御覧になってみるのも一興と思います。 https://www.youtube.com/watch?v=vJKNp7v5FOg #DVD #淀川長治 #アンダルシアの犬 #ルイス・ブニュエル #サルバドール・ダリ #シュルレアリスム #ピエール・バチェフ #シモーヌ・マルイユ #ハイメ・ミラビエス
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DVD「アンナ・カレニナ」
文学作品『アンナ・カレーニナ』は、レフ・トルストイ原作の小説の中では、おそらく『戦争と平和』に次いで著名で、幾度となく映画、テレビドラマ、演劇、さらにはバレエ化されていますが、ここでは本展示アイテム収録作も含めた映画化作品などについて触れていきます。因みに、『アンナ・カレニナ』と『アンナ・クリスティ』を混同してしまいがちだった、というヨタ話は、このフロアの『アンナ・クリスティ』のDVDの展示の紹介文に記載しました。 そもそも『アンナ・カレーニナ』は文庫本で上・中・下巻になるほどの長大な文学作品ですから、仮に映画化しても上映時間の制約から「あまり原作に忠実な脚色はできない」だろうことは、想像がつきます。実際、主な映画化作品の上映時間は、 ・1927年製作『アンナ・カレニナ』(原題:Love)、サイレント映画、グレタ・ガルボ主演:82分 ・1935年製作『アンナ・カレニナ』、グレタ・ガルボ主演:95分 ・1948年製作『アンナ・カレニナ』(本展示アイテム収録作)、ヴィヴィアン・リー主演:110分 ・1997年製作『アンナ・カレーニナ』、ソフィー・マルソー主演:108分 ・2012年製作『アンナ・カレーニナ』、キーラ・ナイトレイ主演:130分 と、いずれも2時間前後であり、原作小説のディテールまでをカバーしているとは言いづらい。因みに、その不備を補っている作品として、1977年BBC製作、ニコラ・パシェット主演のテレビドラマ『アンナ・カレーニナ』が挙げられ、こちらの本編時間は実に6時間5分ということですが、少なくとも日本国内での知名度は、上記映画5作品のそれよりもかなり低いようです。 さて、上記5作品のうち、私自身は1927及び2012年製作版以外の3作品を観ました。1997年のソフィー・マルソー主演版は論外で、1935年のグレタ・ガルボ版と本展示アイテム収録作のヴィヴィアン・リー版が俎上に上がるのですが、少々語りづらい。正直言って、映画の出来自体はガルボ版の方がいいと思いますが、それはグレタ・ガルボとヴィヴィアン・リーの魅力の差ではなく、演出法の違いによるところが大きいのかな。1935年のグレタ・ガルボ版については別に触れる機会もあるかもしれませんからここでは詳細は申し上げませんが、原作小説の要素の一つであるアンナの心理描写をかなり省略し、あらすじを追うことを主眼とした構成でした。それに対し、本展示アイテム収録作はこう言っては何ですが、ヴィヴィアン・リーのプロモーションフィルムの風情の感を受けました。ヴィヴィアン・リーを美しく見せることで、よりラストの観客の受ける悲劇の度合いを強めようというジュリアン・デュヴィヴィエ監督の意図はそれなりに伝わりましたし、ヴィヴィアン・リーも持ち前の演技力でその期待に応えていたのでしょうが、ではその意図がそもそも本作の出来に反映されたのか、というと、はなはだ疑問であると私には思われました。 https://www.youtube.com/watch?v=xiTXmsJaDkI #DVD #淀川長治 #アンナ・カレニナ #トルストイ #ジュリアン・デュヴィヴィエ #ヴィヴィアン・リー #ラルフ・リチャードソン #キーロン・ムーア
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