瀕死の靴の救命救助(大袈裟ですが)
靴、履いていると汚れますよね。しかし、この靴は…。 イーベイで出品されていたポールセン・スコーンの靴の画像です。どう使用したらこんな汚れになるのか分からないほど酷い状態ですが、カーフの質は良さそうでセミスクエアトゥのラストも綺麗だなと感じました。グリーン製でラストは88と予想しました。 どの角度から見ても汚れがひどく、出品されたこの靴には誰も見向きもしていないようでした。当然ながら私以外は他の方のウォッチリストにも登録されません。 出品者の方ご自身はこの靴のことについて何らご存知ないようでした。インソックのロゴからはポールセン・スコーンネームの靴であることが分かりますが、インナーの文字の情報もなく、質問でアウトソールの長さ、幅を教えてもらい、履けない可能性も念頭に入れ入札することにしました。みみっちいお話ですが、ラストを質問して「88」という答えが来ると、分かる人には「グリーン製」と判明し落札価格が上がってしまいます。ですからそれ以上は何も聞かずに入札しました。 ヒールを見る限りステッチのほつれもなく、構造上の大きな問題はないようです。 出品者の方のソールの画像からは、70年代のグリーン製と思われました。トゥとヒールに金属製のチップが嵌められていますので、まだソールはしばらくはもちそうです。 結局落札金額は2000円程で、英国からの送料は4500円と送料の方が高くなりました。 到着した直後の左側の靴画像です。何か粘性の高い液体が固化したような表面ですが、汚れの根は浅そうな印象です。 メダリオンの穴の中にもこの汚れが入り込んでおり、まず爪楊枝で穴の汚れを丹念に掻き取りました。爪楊枝は先端が柔らかく、革を傷めず汚れが取れる優れものです。 その後サフィールレザーバームでゆっくり表面を湿らせてから汚れを落とします。このローションは汚れ落としの力はそう強くないですが、とにかく革に優しいので私はよくこれを使っています。今回もゴシゴシ拭いては革が傷むので、まず左側を毎日一回ずつ薄くこの液体を塗り、その後表面全体を拭き取ることを5日間繰り返しました。 その後は同社の無色の乳化性クリームで磨きを掛けます。コバ部分も汚れていましたので、こちらも出し縫いの穴の中を爪楊枝で掃除し、ヤスリ掛けをした後にコバインキを塗りました。靴はコバが汚いと「だらしない感じ」が漂いますが、この手入れで多少精悍な印象になったように思います。 右はレザーバームで汚れを落とし終えた状態。まだクリームは入れていません。 片側だけ汚れを落とし乳化性クリームを入れた画像ですが、かなり綺麗になりました。何とか外に履いていけそうな雰囲気です。 両側レストア終了です。化粧直しが終わった姿をご覧ください✌ 1970年代製作 ポールセンスコーン別注 エラスティックスリッポン https://muuseo.com/shinshin3/items/295 グリーン参る #お手入れ