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鉱物標本 レピドライト(Lepidolite)
別名:リチア雲母、lithionite、鱗雲母、紅雲母 産地:Iting, Minas Gerais, Brazil 主にピンクから淡い紫色、灰色をしている含リチウム雲母。その色はレピドライトそのものではなく、含有しているマンガンに由来している。そのため赤色系統の他にも黄色や白色などの色も存在する。 またレピドライトはポリリチオナイト(polylithionite, K(Li2Al)(Si4O10)(F,OH)2)とトリリチオナイト(trilithionite, K(Li1.5 Al1.5)(AlSi3O10)(F,OH)2)の中間組成の鉱物を示すもので、Li:Al比はポリリチオナイトの2:1からトリリチオナイトの1.5:1.5までの間を取る。 本標本は平板状の結晶であるが、大抵のレピドライトは上記の様に組成に幅があるため結晶に歪みが生じて魚鱗状の球形塊として産出する。 この形状から1792年にMartin Klaprothによってギリシャ語で鱗を意味する"lepidos"と石を意味する"lithos"からレピドライトと名付けられた。日本での鱗雲母という呼称もこれに因む。 レピドライトはスポンジュメン(リチア輝石)やペタライト(葉長石)(*1)など他のリチウム鉱物等とともにペグマタイト中に産出する。 また含リチウムペグマタイトから産出することから同じアルカリ金属で不適合元素であるルビジウムやセシウムを含有していることが多く(*2)、レピドライト中に0.3%~3.5%程のルビジウムを含むとされている。ルビジウム元素自体、1861年に学校の理科室で誰もが必ず目にしたことのあるブンゼンバーナーの発明者でもあるRobert Bunsenと、電気回路のキルヒホッフの法則でお馴染みのGustav Kirchhoffによってドイツのハイデルベルク大学にてレピドライトから発見された。 彼らはレピドライト150kg中からわずか0.24%含まれる酸化ルビジウム(Rb2O)をヘキサクロリド白金(IV)酸(H2[PtCl6]、白金を王水に溶かして得られる錯体)によって処理することで、ヘキサクロリド白金(IV)酸ルビジウムとして抽出し、さらに水素で還元、アルコールで分離すること塩化ルビジウムとして単離した。 この時彼らは1859年に自分達が発明した分光器を用いることで元素固有の発光スペクトルを確認し、ルビジウムが新元素であることを突き止めた。ルビジウムという名はそのスペクトル輝線が赤色を示すことからラテン語で暗赤色を意味する"rubidus"より命名された。 因みにBunsenとKirchhoffはルビジウム発見の前年である1860年に鉱泉からセシウム塩を同様に単離し、分光器の発光スペクトルによりセシウム元素を発見している。セシウムの名称もルビジウム同様にスペクトル輝線が青色であったことからラテン語で青色を意味する"caesius"より命名された。 リチウムの工業原料とされるとともに、その副産物としてルビジウムやセシウムの主要な工業原料としても利用される。またレピドライト自体も他の雲母グループ同様に絶縁体で耐熱性が有ることから電子部品として用いられることがある。 本標本は2020年にミネラルマルシェにて購入。 レピドライトは乳白色から淡黄色の蛍光を確認できる場合もあるそうだが本標本では確認できなかった。 *1:ペタライト →鉱物標本 ペタライト(Petalite) *2:ルビジウム・セシウムと不適合元素 →鉱物標本 ロンドナイト(Londonite)
鉱物標本 2.5~3.5 亜ガラス光沢、樹脂光沢、脂肪光沢、真珠光沢たじ
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鉱物標本 ミメタイト(Mimetite)
別名:ミメット鉱、黄鉛鉱 産地:Mexico 黄褐色の樽状の六角柱結晶として産出する鉛の二次鉱物。 1853年にフランスの物理・鉱物・地質学者であり、アングレサイト(硫酸鉛)やセルサイト(白鉛鉱)などの鉱物の命名者でもあるFrançois Sulpice Beudantによって、パイロモルファイト(緑鉛鉱)(*1)との類似性からギリシャ語で模倣を意味する"μιμητής(mimetes)"より命名された。 実際にパイロモルファイトやバナディナイト(褐鉛鉱)(*2)とは固溶体を形成し、1966年にはBakerによる合成実験によってこれらが完全に同じ構造(系列)にあることが示されている。 パイロモルファイトとの中間組成鉱物としては赤褐色~橙褐色のカンピライト(カンピ鉱、Pb5[(AsO4)/(PO4)]3Cl)が存在する。ただし、ミメタイトとパイロモルファイトそれぞれが同じ環境で共に産出することは無いらしい。 2020年、紀伊國屋書店、新宿本店1階の化石・鉱物標本の店にて購入。本標本はミメタイトの小さな結晶の集まりがブドウ状の形を成しており、ファンタジーの菌類の森の様で気に入っている。 *1:パイロモルファイト →鉱物標本 パイロモルファイト(Pyromorphite) *2:バナディナイト →鉱物標本 バナディナイト(Vanadinite)
鉱物標本 3.5~4 亜金剛光沢、樹脂光沢たじ
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鉱物標本 カンポ・デル・シエロ隕石(Campo del Cielo Meteorite)
回収地:Gran Chaco, Chaco Province, Argentina 1576年、当時アルゼンチンを統治していたスペイン総督が現地住民の「空からたくさんの鉄が降ってきた」という伝説について調査隊を派遣し、クレーターと隕鉄を発見した。隕石の名前であるcampo del cieloはスペイン語で『空の草原』を意味する。 これまでに100t以上が発見回収されており、1969年には総重量37,000kgの破片が発見され、"el Chaco"と命名されて現地の博物館に展示されている。現在このエル・チャコはナミビアで発見されたホバ隕石に次いで世界で2番目に大きな隕石である。 また、これまでの調査からカンポ・デル・シエロの元々の直径は4m程で、約45億年前に太陽系が作られる過程で形成され、4200~4700年程前に地球に落下したとされる。 平均的な組成は大部分が鉄の他、Ni 6.67%、Co 0.43%、P 0.25%、Ga 87ppm、Ge 407ppm、Ir 3.6ppmとなっている。 現在までに最大115×91mのクレーターが約26個発見されており、破片は3×19kmに渡り飛散している他、最大約60km先でも破片が見つかっている。これらから衝突時だけでなく大気圏中でも空中分解しながら落下したとされている。 大きな破片は博物館などで展示され、小さな破片は標本やアクセサリーなどに加工されて販売されている。本標本もそのうちの一つで、2020年ミネラルマルシェにて購入。
鉱物標本 隕石 ミネラルマルシェたじ
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鉱物標本 半人工赤色ジンカイト(蛍光性)(Zincite)
別名:紅亜鉛鉱、亜鉛華 産地:Oława, Lower Silesia, Porland 酸化亜鉛の鉱物。純粋な酸化亜鉛は白色であるが天然に産出するものの多くは和名の由来となる赤色を呈している。単純な化学組成の割に天然において亜鉛鉱物の風化で生成されるのは水亜鉛土や他の二次鉱物のため非常に希少で、アメリカ、ニュージャージー州にある先カンブリア時代の結晶性フランクリン大理石中の変性した亜鉛-マンガン-酸化鉄-ケイ酸塩鉱体中ぐらいでしか産出しない。 ただし、亜鉛工場などでは高温での加工により蒸発した亜鉛蒸気が急冷されて析出し、半人工的に生成される。ポーランドの塗料工場で数年に一度行われる定期点検での清掃にてラインパイプや煙突排気口に析出したジンカイトが回収され、市場に提供される。本標本もそうして市場に回ったものの一つである。 ジンカイトの発見者は水酸化マグネシウムの鉱物であるブルーサイトの発見者であり、名前の由来にもなっているアメリカの鉱物学者Archibald Bruceである(*1)。彼はニュージャージー州サセックス郡の酸化亜鉛の鉱物について詳細な分析を行い"On the Ores of Titanium occurring within the United States."という論文で1810年に発表した。 Bruceはこの鉱物について当時の鉱物命名法に従って"red oxide of zinc"と命名しており、その後1845年にWilhelm Karl von Haidingerが現在の"zincite"に改名した。 それ以外にもFrancis Algerは1844年に"sterlingite"、Henry James Brooke とWilliam Hallowes Millerは1852年に"spartalite"と名付けている。 2020年、ミネラルマルシェにて購入。長波UVで黄緑色の蛍光を確認。 *1:ブルーサイト →鉱物標本 ブルーサイト(Brucite) #鉱物 #人工結晶
鉱物、人工結晶 4 亜ガラス光沢、樹脂光沢、蝋光沢、脂肪光沢、絹糸光沢、鈍光沢、土光沢たじ
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鉱物標本 リナライト(Linarite)
別名:青鉛鉱 産地:Madan ore field, Oblast, Smolyan, Bulgaria 銅イオンの影響で青色を示す鉛鉱物。鉛鉱床中の硫化鉛・硫化銅が酸化することで二次鉱物として生成。緑泥化した灰緑色安山岩の表面にも繊維状に生成することがある。 1822年にスペインのLinares高原で発見されたことに因んでErnst Friedrich Glockerが命名。 青色の結晶はアズライト(藍銅鉱)(*1)に似ているが、塩基性のアズライトと異なりこちらは希塩酸に反応しない(白色の膜が生成)。 2020年、ミネラルザワールドで購入。白色の結晶はセルサイト(白鉛鉱)と思われる。 *1:アズライト(藍銅鉱) →鉱物標本 アズライト(Azurite)
鉱物標本 2.5 亜金剛光沢、ガラス光沢たじ
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鉱物標本 シアノトリカイト(Cyanotrichite)
別名:青針銅鉱、青毛鉱、Velvet Copper Ore 産地:中国、貴州省 青色の針状結晶が特徴の銅鉱物。その毛髪状の結晶から名前もギリシャ語の藍色の"κυανός"+毛髪"θρίξ"から付けられ、和名も同様である。ただ本標本は塊状で産出しており毛髪状結晶は見られない。 シアノトリカイトは水酸硫酸塩鉱物であるが、硫酸の一部が炭酸に変わったカーボネートシアノトリカイトが存在し、現状ではXRD(X線結晶構造解析)以外の方法で両者を判別することが出来ない。そも、標本として出回っているものの多くがカーボネートの方であるとの話もある。カーボネートについては完全に炭酸塩に置換したものが存在する可能性や固溶体を形成するかはっきりしたことが判明していない等、未だ分かっていない事が多い。 本標本は中国貴州省産と記載されていたので恐らく黔西南プイ族ミャオ族自治州、晴隆県、大廠アンチモン鉱石地帯にある晴隆鉱山(大廠鉱山)で採掘されたものではないかと個人的に思っている。同地から採掘された他の標本から本標本の白色~透明部はジプサム(石膏)であると思われる。 2020年、ミネラルマルシェで購入。
鉱物標本 1~3 絹糸光沢たじ
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鉱物標本 ペタライト(Petalite)
別名:ペタル石、(葉長石)、Castorite 産地:Araquiai, Minas Gerais, Brazil リチウムを含有するアルミノケイ酸塩鉱物。産業用リチウムの主要な鉱石鉱物の一つ。和名は葉長石だが実際には長石類ではないため、近年はこの呼称は推奨されていない。 1800年にブラジルの鉱物学者で政治家でもあったJosé Bonifácio de Andrada e Silva(*1)がヨーロッパ滞在時にスウェーデン、ストックホルム近郊のUtöにて発見した透明な新種鉱物について、劈開の様子からギリシャ語で葉を意味する"πέταλον"より命名した。 その後1817年、スウェーデンでJohan August Arfwedsonがペタルライトの化学分析でアルミニウムやケイ素の他にナトリウムやカリウムとも異なる性質を有する未知のアルカリ金属を含んでいることを発見した。彼の所属していた研究室の主宰である化学者Jöns Jacob Berzeliusはこれまでの既知のアルカリ金属であるナトリウムが動物の血液中に、カリウムが植物灰中に存在が認められていたのに対して新元素が鉱物中から発見されたため、ギリシャ語で石を意味する"λιθoς"からlithiumと命名した。BerzeliusはArfwedsonの研究に多くの助言を与えていたそうであるが、この新元素の発見者をArfwedson一人の名前で発表させてあげたという逸話が残っている。 話は逸れるがこのJöns Jacob Berzeliusはセレン、セリウム等の新元素の発見や各元素の単離、原子量の精密な決定の他、これまで図形記号で表記されていた元素記号をラテン語またはギリシャ語の名称のアルファベット頭文字で表す現在の方法を提唱し、化学を無機化学と有機化学の2つに分割し、『たんぱく質』や『ハロゲン』『触媒』といった数多の化学用語を考案して近代化学の理論体系を組織化、集大成した化学者である。 1818年にChristian Gottlob Gmelinがリチウム塩の赤色の炎色反応を初めて確認。しかしGmelinもArfwedsonもリチウムの単離には成功出来なかった。1821年になってイギリスの化学者William Thomas Brandeが酸化リチウムの電気分解により漸く単離に成功できた。 リチウムを含むペグマタイト中で他の含リチウム鉱物と共に産出する。炭酸成分が少なく、高密度含水アルカリホウケイ酸塩液体の存在する3kbar、~500℃の条件下でスポジュメン(リシア輝石)と石英に転換される。 ・LiAlSi4O10→LiAlSi2O6+2SiO2 本標本は2020年にミネラルマルシェで購入。 *1: José Bonifácio de Andrada e Silva →鉱物標本 ウェルネライト(Wernerite)
鉱物標本 ペタル石(葉長石) 6~6.5たじ
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鉱物標本 トーバーナイト(Torbernite)
別名:燐銅ウラン石 産出地:Margabal Mine, Entraygues-sur-Truyère, Rodez, Aveyron, Occitanie, France ウラン雲母と称されるウランの二次鉱物の一種。アップルグリーンやエメラルドグリーンの綺麗な緑色をしており、放射性を有する。名前は1793年にAbraham Gottlob Wernerによって、18世紀の著名なスウェーデン人鉱物学者のTorbern Olof Bergmannに因んで命名された。 同じウラン雲母のオートゥナイトが強い蛍光性を示すのに対してトーバーナイト自体は蛍光性を持たない。また、オートゥナイトはウラニルリン酸のCa塩のためウラン鉱床で比較的見つかり易いのに対し、トーバーナイトはCu塩のためウラン鉱床と銅鉱床が同じ場所にないと生成されず、世界的にも産出地は多くない。オートゥナイト同様に空気中で12H20から8H20へと徐々に脱水してメタトーバーナイトへと変化する。放射性はオートゥナイトより強いとされるものの、鉱物標本として飾る分には問題ない。(*1) 本標本が採掘されたMargabal鉱山はフランス南部のアヴェロン県にある全長100m程の小さなウラン鉱山で、実際に採掘されていた時期も1957年から1960年までと短いものの、トーバーナイトが採掘される世界でも数少ない鉱山の一つだった。1997年には50cmもの大きさのトーバーナイトの鍾乳石が見つかっており、パリの自然史博物館に展示されている。 こんな希少かつ美しいトーバーナイトであるが、これを構成するウラン元素は自然界に安定して存在する最も重い元素とされ、それ以上の元素(NpとPu)も極微量で地球上に存在はするものの、原子核が不安定なため直ぐに核分裂してより軽い元素へと変化してしまう。では、この自然界に許容される境界線上に存在しているウランの起源は何処にあるのか。 宇宙空間において、恒星内では水素やヘリウムを燃料に核融合反応が自発的(発熱的)に進行しており、より重い元素が合成されている。ただしこの反応で合成されるのはFe元素までで、それよりも重い元素では反応が吸熱的となるため恒星内核融合では合成されない。 話は変わり、自然界に存在する元素の陽子数はその原子番号に対応しているが、中性子数はその元素固有の範囲内ならば数の制限がない(その中でも安定な数、不安定な数はあるが)。これらを同位体(アイソトープ)と呼び、ウランを例に出すならば原子番号が92のため陽子数も92となり、最も安定な中性子数は146なのだが、125~150の範囲内ならば原子核に入る中性子数に制限は無い。ところが実際に自然界に存在するUの同位体はU238、U235、U234の3つだけである。この自然界における各元素の存在比とその同位体の存在比、そして安定性を元に宇宙空間における重元素合成のプロセスとして考えられたのがビスマス元素までが合成されるs過程(slow-process)とウラン元素までが合成されるr過程(rapid-process)である。 これらの重元素合成では中性子捕獲とβ崩壊、つまり原子核に中性子が供給され、それが陽子に変化することで原子番号が増えるプロセスを踏むこととなる。s過程に関しては今回割愛するとして、r過程では極一瞬(数秒)の間に高密度の中性子束が原子核へと限界まで供給され、その後に中性子過剰な原子核の陽子数と中性子数のバランスが安定する所までβ崩壊(陽子に変換)し続けることで原子番号が増えていくというプロセスである。 このプロセスが実際の宇宙空間でどのタイミングにて発生しているのか、その短い反応時間のため、これまでは重力崩壊型超新星爆発のタイミングで起きているのではないかとされてきたが、近年のシミュレーションでは実際の宇宙に存在する重元素の比率と一致せず、否定的になっている。この説以外に中性子連星が互いに衝突するタイミングでr過程が起こるのではという説も存在し、シミュレーション上でも齟齬が起こらなかった。そして2017年になって漸く中性子連星の衝突が観測されたことで、r過程が生じた観測データも得られてこの説が正しいことが証明された。ただし、この広大な宇宙空間ではあまりにも稀な現象なため、重元素を十分な量賄えているのか疑問も残っており、r過程に関して詳しい所はまだまだ謎に満ちている。 いずれにせよ、トーバーナイトという鉱物を調べていく過程で、私はこの鉱物がウラン元素という宇宙空間における奇跡とウラン銅鉱床という地質学的偶然が重なることで生まれた奇跡の結晶のように感じた。 本標本は2020年、ミネラルマルシェにて購入。UVで特定の面にのみ蛍光を示しているが、これはトーバーナイトの結晶面上にオートゥナイトがエピタキシャル成長しているためである思われる。 *1:オートゥナイトの放射性 →オートゥナイト(Autunite)参照
鉱物標本 2~2.5 亜金剛光沢、ガラス光沢、蝋光沢、真珠光沢(脱水で鈍光沢)たじ
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鉱物標本 セラフィナイト(Seraphinite)
別名:斜緑泥石 産地:Korshunovskoye iron deposit, Zheleznogrosk, Irkutskaya Oblast, Prebaikalia, Eastern-Siberia, Russia ロシアの鉱物学者Nikolay Koksharovによって東シベリアのバイカル湖近くにあるKorshunovskoye鉄鉱床で発見された緑泥石の変種。 シャトヤンシー(猫目)効果によって天使の羽のような模様が現れることから熾天使"seraphim"の名前が与えられた。同じく天使"angel"名前が与えられた鉱物でエンジェライトが存在するがこちらは硬石膏の一種である。 この鉱物自体は非常に柔らかいため、ルース等に加工される場合は樹脂に含浸されてる場合が多い。 2020年、多分ミネラルマルシェで購入したはず。
有り 2~4 ガラス光沢~真珠光沢たじ
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鉱物標本 アンモライト(Ammolite) 赤系
別名:Korite、Calcentine、Aapoak 学名:Placenticeras sp. 産地:Alberta, Canada オパールのような遊色効果を示すアンモライト。その発色メカニズムは積層した微小な霞石の板に当たる光の干渉によって起こっている。板の厚みが厚いほど赤色のスペクトルに、薄いほど青色のスペクトルになるため、割れてしまいやすい青色のものは赤や緑に比べて少ない。 1908年、カナダ国立地理考査団によりネイティブの持っていた輝くアンモナイト化石を調査した結果、アルバータ州のセント・メリー河で再発見された。その後コーライト社が宝石品質を有し、かつ十分な数のアンモライトが眠る鉱山を発見。1981年に国際有色宝石協会(CIBJO)によって正式に宝石として登録された。セント・メリー河沿いの極一部でしか産出せず、殆どが採掘され尽くしてしまったため、現在ではアルバータ州によって採掘が厳しく管理されている。 その起源は中世代のジュラ紀から白亜紀にかけて、まだ北アメリカ大陸を西部内陸海路が縦にぶった切っていた頃まで遡る。現在のロッキー山脈東部のカナダ~アメリカ国境付近にあったベアパウ海にも螺旋形のPlacenticeras meeki、P. intercalareや直錐形のBaculites compressusといったアンモナイトが生息していた。彼らが死んだ後に残った蛋白質と霰石から成る貝殻は当時まだ若かったロッキー山脈から流れ込んできた火山灰に埋もれる。火山灰は海中でベントナイトへと変成し、ベアパウ頁岩層を形成する。この頁岩層の中でアンモナイト殻を構成する霰石はその微細構造を変化させていき、7000万年かけて七色に輝くアンモライトとなる。 その後、アルバータのネイティブによってこの輝く石が発見されることになる。彼らの伝承では冬の飢餓に苦しんでいたが、ある娘がお告げに従って輝く石を見つけた結果、バッファローの大群が現れて救われたことから以来バッファローストーン"Iniskim"と呼ばれるようになった。 余談ではあるがバッファローの画像検索で調べれば分かる通り、その角は曲がっているとはいえ、断じて羊角のような螺旋形ではない。個人的にこのネイティブ達が最初に見つけたバッファローストーンはBaculitesのものだったのではないかと思ってる。 因みに本品は2020年にコーライト社と契約しているアンモライトミュージアムより購入したもの。 #宝石 #化石 #鉱物
宝石、化石、鉱物 3.5~4 ガラス光沢たじ
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鉱物標本 ラズライト(Lazulite)
別名:天藍石、Berkeyit 産地:Rapid Creek, Dawson Mining District, Yukon Territory, Canada その綺麗な青色から1795年にMartin H. Klaprothによってアラビア語で蒼穹を意味する"lazward"が転じた"lazuli"より命名された。因みにラピスラズリのラズリも同じ語源。 変成岩や花崗岩質ペグマタイト、沖積堆積物等に産出する。 ユーコンのジェムショーから流れてきたのを2020年のミネラルマルシェで購入。光を当てると藍色の空に浮かぶ星のような緑色の煌めきが見れてとても綺麗。
鉱物標本 5.5~6 ガラス光沢、亜ガラス光沢、樹脂光沢、脂肪光沢たじ
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鉱物標本 キノアイト(Kinoite)
別名:キノ石 産地:Christmas Mine, Dripping Prings Mountains, Gila County, Arizona, USA サンタリタ山脈やクリスマス鉱山他、わずかな銅鉱山で産出される鉱物。1970年にピマ郡サンタリタ山脈にあるヘルベティア廃鉱山で発見された。名前の由来は1700年頃にアリゾナ含むアメリカ南西部で活動したイエズス会探検家のEusebio Francisco Kino神父に因んでいる(*1)。 このキノアイトが見つかる一帯は大規模な斑岩銅鉱床が存在し、例えばロゼモンド鉱山では採掘計画が上がっているものの、先史時代の遺跡等の関係で住民の反対があり採掘は開始されていない等ゴタゴタもあるそうな。 この標本にも見られる透明な結晶はスカルン鉱物のアポフィライト(KCa4SiO20(F,OH)・8H2O)でキノアイトとよく一緒に産する。なのでこのキノアイト、班岩銅鉱床が生成する過程で石灰岩とマグマから放出された含銅熱水が反応してできたのかなと個人的に思ってる。 因みに日本でも2001年に岡山県で発見されている。 この標本は2020年にミネラル1000円マルシェで購入。 *1:Kino神父とサンタクルス郡 →鉱物標本 セルサイト(Cerussite) #鉱物
鉱物標本 2.5 ガラス光沢たじ
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鉱物標本 エメラルド(Emerald)
別名:翠玉 産地:Fiza Ghati, Swat, Khyber Pakhtunkhwa, Pakistan エメラルドの語源はサンスクリット語で緑の石を意味するスマラカタが古代ギリシャ語"smaragdos"に転じ、そこからラテン語の"smaragdus"、"esmaraldus"と経て現在の"emerald"となった。因みに緑柱石のベリルの語源は海水の青緑色を示す古代ギリシャ語の"beryllos"から。 エメラルドの緑色はドーパントとして存在する微量のクロムやバナジウムに由来。3価の鉄イオンでも緑に発色するが、こちらはヘリオドールやグリーンベリルに分類される。 2020年、ミネラル1000円マルシェで購入。
7.5~8 ガラス光沢~樹脂光沢 1000円たじ
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鉱物標本 シナバー(Cinnabar)
別名:辰砂、丹 産出地:湖南省, 中国(購入した店の人いわく) 西洋錬金術では三要素である水銀、硫黄、塩のうち水銀と硫黄からなることから賢者の石の別名を持ち、中国錬丹術では不老不死の薬と考えられた鉱物。シナバーの語源も失伝してしまっているが、その血のような色からペルシャ語で竜血を意味する"zinjifrah"に由来するのではとされている。 2020年、ミネラルマルシェで購入。 #鉱物
2~2.5 金属光沢 ミネラルマルシェたじ
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鉱物標本 スタルマナイト(Sturmanite)
産地:N'Chwaning mine, Kuruman, Kalahari manganese field, Northern Cape, South Africa 別名:スツルマン石 1983年に鉱物学者のBozidar Darko Sturmanに因んで命名。ほとんどが南アフリカのカラハリ砂漠のマンガン鉱床中二次鉱物として産出。 2020年、ミネラルマルシェで購入。 #鉱物
鉱物標本 2.5 ガラス光沢~樹脂光沢たじ