近鉄モ5945

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■モデルについて
旧三重交通志摩線からの引継車で、昭和40年代後半の製品だと思います。多くの私鉄を合併した近鉄が所有する車輌の中にあって、異彩を放つ近代的なデザインでありながらどこか地方観光鉄道の匂いが漂う、お気に入りのモデルです。窓サッシは丁寧に作られた紙製で別貼りになっています。真鍮パイプに付けた大きなダイヤカットのライトレンズがとてもマッチしています。台車は日光モデルD-14でインサイドギア駆動です。夏草生い茂る志摩の真夏、入り江に沿って敷かれた急カーブに車体を軋ませながら走る光景が思い浮かびます。
■実車について
昭和35年に旧型車モニ552の機器を流用し車体のみ新造して誕生した車輌で、上半クリーム、下半グリーンの三重交通色でした。種車は荷物室を備えたロングシート車でしたが、全金製自動2扉のセミクロスシート車へ生まれ変わったことから、漁港町の生活線から観光路線への変貌が窺い知れます。志摩半島の観光開発を背景に、近鉄は合併した三重交通志摩線と終点だった宇治山田を結び広軌化して最終的に賢島まで特急乗り入れを果たすことになりますが、その過渡期にあって近鉄マルーン色に塗り替えて広軌化されるまで5年間運行されました。その後は付随車化されて養老線へ転出しました。養老線では初めてのセミクロスシート車として使用されました。

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