人外魔境の秘密 / 横田順彌《新潮文庫》

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新潮文庫より1992年に発行された『人外魔境(ロストワールド)の秘密』です。横田順彌/著、文庫版モノクロ395頁、ISBN4-10-142104-8、定価480円。(カバーイラストはバロン吉元氏による)
明治物に定評があるSF作家・古書研究者横田順彌氏(1945-2019)によるSF小説です。横田氏は、明治の冒険小説作家・押川春浪と彼が主催した天狗倶楽部に興味を持ち、彼ら明治青春群像の活躍する小説を手掛けていました。押川春浪は「海底軍艦」シリーズなど冒険小説作家として知られています。
“南米のジャングル奥深くで発見された謎の台地。それは今なお太古の恐龍が跋扈する人外魔境(ロストワールド)だった!
その調査を依頼されたバンカラ集団天狗倶楽部の押川春浪は、吉岡信敬らお馴染みの面々に、探検家の中村直吉などを加えた探検隊を結成し、勇躍日本を旅立った。果たして恐龍生存の秘密は解明できるのか?
そして、一行を執拗に妨害するドイツの間諜の目的は?”
あらすじで分かるように、この小説はコナン・ドイル「失われた世界」のスピンオフとして書かれた作品ですが、登場する人物は、ほとんどが実在の人物です。
『火星人類の逆襲』ともどもこのシリーズの妙味は、武侠小説を書いてた押川春浪ら天狗倶楽部一党が、そのまま武侠小説(冒険小説)で活躍するというところにあります。
横田順彌氏は、この書下ろしオマージュSFをもう一冊、新潮文庫で執筆する予定があったそうですが、何らかの事情により頓挫したそうで、残念なことです。
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