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『瀑竜戦記 / 横山信義・編』《トクマノベルズ》
『瀑竜戦記』横山信義/編。徳間書店トクマノベルズ刊。1995年初刷。ISBN4-19-850244-7。カバーアート/青井邦夫。
この『瀑竜戦記』は「八八艦隊列伝」ということで、横山信義先生の『八八艦隊物語』の歴史に基づく外伝を、他の著者が執筆した作品です。「瀑竜戦記」檀茂/作と「秋山支隊、挺身す」初瀬深雪/作の二作を収録しています。
“昭和十八年十月、佐世保海兵団の講堂に「瀑竜」訓練部隊の隊員一五〇名が集結していた。彼らは巡洋艦や駆逐艦で魚雷を扱う者、海軍航空隊の整備員のなかの寄せ集めのグループだった。訓示が始まった。諸君の手にゆだねられる高速雷撃艇「瀑竜」は、高い技術を持つ兵士と一撃必殺の破壊力を持つ兵器による少数精鋭で当たれば、敵の新鋭艦も恐るに足りない――「瀑竜戦記」と、黄砂哭く中国東北で繰り広げられた日露の対戦を雄渾に描く「秋山支隊、挺身す」によって補強される「八八艦隊物語」の世界、横山信義が贈る傑作編"
あらすじの通り、「八八艦隊物語」の世界で繰り広げられた、高速魚雷艇《瀑竜》隊の栄光と落日が描かれます。
表紙アートは、ひとり戦後も生き残った主人公が、江田島に一隻のみ保存展示されている《瀑竜》を前に、俺は皆と一緒に死にたかったのではない。皆と一緒に生きて笑いたかったと述懐する場面です。
そして「八八艦隊物語」の世界で、海軍の予算に重点が置かれ、陸軍が“冷や飯を食らう”原因となった日露戦争最終局面の様相。史実とは違い、ポーツマス講和会議が一時決裂し、露軍の一大反攻による“第二次奉天会戦”により、満州の拠点をことごとく失うという状況の中で、面目を保った秋山支隊の活躍を、独観戦武官マクシミリアン・ホフマン大尉(後にタンネンベルクの戦いで、露軍司令官レネンカンプと戦う)の視点で描くのが「秋山支隊、挺身す」です。
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