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『超人日記 / 山本貴嗣』《徳間書店他》
『超人日記』山本貴嗣(やまもとあつじ)。スタジオシップ劇画キングシリーズ・徳間書店アニメージュコミックス刊。1983年~1986年。今は無き月刊コミック誌「コミック劇画村塾」に連載されました。 “未来世界、ごく一般的な大学生の超人・アズマA児と、彼を巡る友人たちが巻き起こす騒動を描くスラップスティック・コメディ" 主人公のA児をはじめとして、登場人物の多くが何らかの超能力者で、それが当たり前の世界ということで、『超人日記』というタイトルです。『うる星やつら』など当時流行だったSFっぽいコメディの影響をモロに受けていると思います。山本貴嗣先生は緻密な画が好きな漫画家です。 スタジオシップ版の全二巻では、最終話付近の連載3話分47頁ほどが未収録のままになりましたが、徳間書店版の3巻で完全収録されました。 #コミック #山本貴嗣 #SF #徳間書店
書籍 徳間書店 1988年Jason1208
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『鋼鉄のレヴァイアサン』横山信義《トクマノベルズ他》
『鋼鉄のレヴァイアサン』横山信義。徳間書店トクマノベルズ刊。1992年初刷。ISBN4-19-154912-X。カバーアート/青井邦夫。 この作品も仮想シミュレーション戦記です。実史とはまったく違う様相を辿った、並行歴史の日本の戦争を描いています。(レヴァイアサンとは、レヴィアタン、リバイアサンとも書き、旧約聖書などに伝えられる海の怪物の名前である) “めくるめく閃光が、霧の向こう側に巨艦のシルエットを浮かび上がらせた。「あいつを見るのは一〇年ぶりだが…」護衛艦「はるな」の艦長は呟いた。ロシア太平洋艦隊の戦艦「ヴァツーチン」の巨影だった。全長四〇〇メートル、最大幅五〇メートル、主砲は五八口径二五インチ砲九門。『鋼鉄のレヴァイアサン』――西側の軍事評論家は、畏怖と讃嘆をこめてこう呼称した。一九九X年一月一〇日何故、日本海竹島北東海域に出現したのか? これが日米露が威信をかけて激突する、これが超絶の地獄戦の口火だったとは!?" あらすじの通り、本作では実史では起こり得なかった巨大戦艦同士の砲撃戦等が描かれます。この並行歴史では真珠湾の航空奇襲等が起こらず、太平洋戦争自体の推移は実史と変わらないものの、大艦巨砲主義がそのまま生き残り、航空母艦が存在せず、航空攻撃による軍艦撃沈が起こっていない世界です。 朝鮮半島のクーデター争乱をきっかけとして起こった、極東の戦乱でロシアは巨艦「ヴァツーチン」を中心とする艦隊を出動、米軍も史実の「大和」以上の巨大戦艦「リンカーン」「ジェファーソン」を繰り出すが、マクダニエル提督の傲慢と油断により、敗北を喫する。(具体的には、ロシアには衛星を使った「魔女(ババ・ヤーガ)の眼」と呼ばれる三次元弾着確認システムがあったが、マクダニエル艦隊には無く、日本海自艦隊の支援をも拒否したこと) 主人公の航空自衛隊筑城基地(実在の築城基地に相当)司令・山口武蔵は旗下のF-1、F-4戦闘爆撃機部隊による「ヴァツーチン」攻撃を企図するが…。 この作品は、横山信義先生が大学SF研究会の会誌に発表したもので、商業出版としては処女作的な作品です。横山先生は専業作家に転身以降、この『鋼鉄のレヴァイアサン』の前史となる『八八艦隊物語』及び外伝を執筆されています。(画像2、3、カバーアート/高荷義之) #仮想戦記 #SF #横山信義 #徳間書店
書籍 徳間書店 1998年頃Jason1208
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『征途』佐藤大輔《トクマノベルズ》
『征途』佐藤大輔。徳間書店トクマノベルズ刊。1993年~1994年。 仮想シミュレーション戦記の代表的な作品。惜しまれつつ早世した佐藤大輔氏の作品です。第一巻「衰亡の国」ISBN4-19-155130-2 第二巻「アイアン・フィスト作戦」ISBN4-19-155251-1 第三巻「ヴィクトリー・ロード」ISBN4-19-850056-8 の三巻で完結しています。 “1944年10月25日、レイテ沖で「謎の反転」をしなかった栗田艦隊・戦艦大和の砲術長・藤堂明中佐は、僚艦「利根」からの砲弾が跳弾し昼戦艦橋が全滅した結果、最高位の将校として大和の指揮を執ることになった…。" 代々の海軍軍人の家系であった、藤堂明とその息子たち、藤堂守と藤堂進、そして進の息子の、藤堂琢磨、藤堂輝男を主人公として、彼らが、実史とは違う戦後の日本を生き抜いていく姿を描きます。「武蔵」は沈むものの「大和」は生き延び、海上自衛隊超大型護衛艦から、歴史上最大級のイージス艦となって戦後も活躍します。 日本自体がベトナム戦争に参戦し、空母任務群を運用、日の丸F-14トムキャットが当たり前に存在して、湾岸戦争にも参加する並行世界は、面白いというより不思議な感覚です。 多くの作品が刊行された「仮想戦記」というジャンルの中でも、評価の高い作品で、歴史仮想シミュレーションというジャンルの面白さを体現したような傑作だと思います。 主人公の名前に現われているように、登場人物に絡めて有名人物、アニメ、SFの仕込みネタが無数に仕込まれており、そういった方面からも注目を集めた作品です。作中登場する“赤い日本”は、ある国をモデルとしており、現在の国際情勢もシミュレーションしていると思われます。 #仮想戦記 #SF #佐藤大輔 #徳間書店
書籍 徳間書店 1996年頃Jason1208
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『宇宙家族カールビンソン』あさりよしとお《徳間書店他》
『宇宙家族カールビンソン』あさりよしとお。徳間書店キャプテンコミックス他。1984年~。 『まんがサイエンス』などで知られる漫画家・あさりよしとお先生の最大長編の連載作品。 “宇宙暦昭和47年、宇宙を旅する異星人の旅芸人一座の宇宙船が、未知の文明の宇宙船と衝突事故を起こす。大破して惑星アニカに墜落した宇宙船の救助に向かう一行だが、生き残っていたのは両親の犠牲により生き延びた赤ん坊ただひとりだった。彼らはその子の母星からの救助が来るまで惑星アニカに留まり、未知の宇宙船に代わって遭難信号を発しながら、その子の家族を演じて成長を見守る事にする。そして4年の歳月が流れた。" 3度掲載雑誌を替えながら、長期の連載を続けているギャグ漫画で、未知の宇宙船というのは、地球人の文明からの船で、異星人の旅一座の座長“おかあさん”やその夫らしき超サイボーグの“おとうさん”など、個性豊かな面々は、宇宙船のコンピューターメモリーから再現した地球文化(なぜか、日本の昭和文化)を元に、惑星アニカの原住民をも巻き込んで、遺された孤児のコロナを育てるという話です。基本一話読切で、ビデオゲームや近作の特撮映画ネタが秀逸で、ファンも多い作品だったと思います。 #SFコミック #あさりよしとお #徳間書店 #講談社
書籍 徳間書店 2005年頃Jason1208
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『快男児 押川春浪 / 横田順彌・會津信吾』《徳間文庫》
徳間文庫より1991年に発行された『快男児 押川春浪(おしかわしゅんろう)』です。横田順彌・會津信吾/共著、文庫版モノクロ408頁、ISBN4-19-579321-1、定価580円。 明治物に定評があるSF作家・古書研究者横田順彌氏(1945-2019)と會津信吾氏による明治の伝記・評伝ノンフィクションです。武侠小説として知られる「海底軍艦」シリーズの著者、押川春浪。雑誌「武侠世界」「冒険世界」「武侠少年」の主催者、冒険小説家、スポーツ社交団体「天狗倶楽部」の主催、野球普及に情熱を傾け、新渡戸稲造博士の「野球害悪論」と対決した論説家等々、短い38年の激動の生涯で様々な活動を手掛けた一代の情熱家・押川春浪を、横田順彌・會津信吾氏が活写する一冊です。 もし春浪が、脳膜炎とされる病に短い生涯を終えることが無かったら、文豪・菊池寛の講談社のように、日本の出版業界にその後も存在感を示し続けて、日本の文壇も違ったものになっていたように思われます。 #ノンフィクション #明治時代 #横田順彌 #押川春浪 #筑摩書房
書籍 徳間書店 1994年Jason1208
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戦後初期 日本SFベスト集成2《徳間書店》
1978年に徳間書店より発行された『戦後初期日本SFベスト集成 2』横田順彌/編です。新書版ソフトカバー・モノクロ314頁です。 発行当時、徳間書店が日本探偵小説、日本SF、鉄道推理、等々出していたベスト集成本の一冊。日本SFベスト集成(年度別6巻)の編者が筒井康隆先生に対して、戦後初期日本SF(2巻)は、古典SF研究で実績のある横田順彌先生が編者を担当しています。 日本のSF=空想科学小説は、コナン・ドイルが「ホームズ」の一方でSF作品を書いているように、探偵小説の一部門とみなされていました。江戸川乱歩先生も「少年探偵団」モノでSF要素のある作品を書いておられますが、初期のSF作家、筒井先生や矢野徹先生など編集者としての江戸川乱歩先生に激励や援助を受けたそうです。この集成の収録作も錚々たる顔ぶれとなっています。 まだ戦後初期には、空想科学というより、「ドグラマグラ」のような幻想小説の要素も強いですが。 収録作の中村真一郎・福永武彦・堀田善衛共作の「発光妖精とモスラ」、ご存じ1961年の東宝映画『モスラ』の原作ですが、私はこの本で読みました。主人公・福田善一郎の名は原作者御三方の名前の合成となっています。 原作は、中條博士と新聞記者の花沢ミチの結婚話で終わってるので、続編にあたる2003年の『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』に中條老博士の奥さん役で香川京子さんを出演させていれば、伏線回収になっていたのにと些少ですが思いました。 #横田順彌 #日本SF #発光妖精とモスラ https://muuseo.com/jason1208/items/513
書籍 徳間書店 300円程Jason1208
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スペースSF映画の本《徳間書店》
映画『スター・ウォーズ(EP4)』公開後の1978年に徳間書店タウンムックの一冊として発行された『スペースSF映画の本』です。1978年発行。A4版カラー/モノクロ138頁。監修/南山宏氏。 当時のSF映画ブームで、『スターウォーズ』『未知との遭遇』だけでなく、『2001年宇宙の旅』をカラー特集で取り上げたのが特色で、読み物ライターも、石上三登志、伊藤典夫、荻昌弘、井口健二、矢野徹各氏、座談会に小松左京・手塚治虫・石上三登志氏と錚々たるメンバーが並んでいます。 画像2の生頼範義先生による「スターウォーズ」綴込みポスターは、“緑色の宇宙”がG・ルーカスを驚かせ、次作『SW帝国の逆襲』の映画ポスターを生頼範義先生が担当するきっかけになった作品です。(画像は全体ではなく、一部) 画像5の手塚治虫先生の「あの頃のこと」は、映画『2001年宇宙の旅』でキューブリック監督から手塚先生にアート担当として参加しないかというオファーがあったというエピソードを語っています。 「SFフィルムズディスコグラフィ」とSF映画のOST盤を、門倉純一氏が特集しているのも珍しいです。(画像6、7) 裏表紙(画像8)のポピーの玩具広告も面白いです。 #宇宙SF #スペース・オペラ #生頼範義 #手塚治虫 #小松左京 #石上三登志 #矢野徹 #徳間書店
書籍 徳間書店 500円Jason1208
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『ゑゐり庵綺譚 / 梶尾真治』《徳間書店》
徳間書店より1986年に発行された『ゑゐり庵綺譚(えいりあんきたん)』です。梶尾真治/著、カバー本文イラスト/米田仁士、A5版260頁。徳間文庫版も刊行されています。 “遠い宇宙を結ぶ特異空間アトランダム・ジャンクションの近傍に位置する交通の要衝・惑星ズヴゥフルⅤの宇宙港の片隅に店を開いている蕎麦屋<ゑゐり庵>を経営する地球人の末裔アピ・北川。初代が惑星ズヴゥフルⅤに播いて根付かせたそばの実を材料として、<ゑゐり庵>はソバ饅頭、ソバかき、ソバ練り、ソバ焼酎とそばに関するものは何でも商い、中でも麺のソバは掛け蕎麦、ざる蕎麦と銀河系ミシュラン・ブックの編集者も絶賛する名物として繁盛していた。 <ゑゐり庵>に蕎麦を求めて訪れる、様々な宇宙の人々、絶望的な戦争に向かうクローン兵士や奇妙奇天烈な宇宙グルメ探訪者に、謎の遺跡発掘者、セールスマンに大道芸人等々、アピ・北川はさまざまな客を相手にして、果ては店ごと宇宙軍に接収されて壮大な出前さえやらされる。” 映画『黄泉がえり』『この胸いっぱいの愛を』などの原作でも知られる、熊本県在住のSF作家・梶尾真治先生のユーモアとSF発想に満ち溢れた短編集です。ちょっと「白鹿亭綺譚」(画像3)の影響もあります。 #日本SF #ユーモアSF #梶尾真治 #徳間文庫 #徳間書店
書籍 徳間書店 980円Jason1208
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『おもいでエマノン』シリーズ / 梶尾真治《徳間文庫》
徳間文庫より1987年に発行された『おもいでエマノン』です。梶尾真治/著、カバーイラスト/高野文子、本文イラスト/新井苑子、解説/大林宣彦、文庫版318頁。『さすらいエマノン』『かりそめエマノン』『まろうどエマノン』『ゆきずりエマノン』『うたかたエマノン』『たゆたいエマノン』と続編が発行されており(徳間書店単行本→徳間文庫)、エマノンシリーズとなっています。 “少女はナップ・ザックを抱え、長い黒髪をなびかせていた。名前はエマノン。地球に生命が誕生してから三十億年もの“時”をすべて記憶しているという不思議な少女。その記憶は母から自分へ、そして娘へと受け継がれてゆく。時の旅人(タイムトラベラー)エマノンは予知能力をもった人間や、植物として進化の道をたどった生命体との交感を求めて長い時の旅を続ける” エマノンというのは《NO NAME》を逆読みしたものです。鶴田謙二/作画によるコミック版も出ています。 個人的には、石ノ森章太郎の「ファンタジーワールド・ジュン」などジュプナイルSFの影響が伺えるように思えます。 映画『黄泉がえり』『この胸いっぱいの愛を』などの原作でも知られる、熊本県在住のSF作家・梶尾真治先生の代表的なSF連作作品です。 梶尾先生の作風は、リリカル・ハートウォーミングなものと、新聞コラムに代表される横田順彌ばりのユーモアに満ちたものが良いと思います。 (2021/7/10 画像追加) #日本SF #ヒューマンSF #梶尾真治 #徳間文庫
書籍 徳間書店 1988年頃Jason1208
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生頼範義『ゴジラ』ポスター
生頼範義先生による映画第一作『ゴジラ』のイメージポスター。B3版サイズ。 もともとは、徳間書店の『フィルムストーリーブック・ゴジラ』という本の綴込み付録でした。 このポスターは本の宣伝のため、書店で配られていた貰い物だと思います。 #生頼範義 #ゴジラ1954 #映画ポスター #アート
映画ポスター 徳間書店 もらいものJason1208
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生頼範義 『ルクレチア』《徳間書店SFアドベンチャー》
生頼範義先生によるポスター『ルクレチア』。A3ノビ版サイズ。 1980年代に書店で、徳間書店の雑誌『SFアドベンチャー』の宣伝ポスターとしてもらったものです。 生頼範義先生による、不倫不貞を強要されても、あくまで抵抗し、身の証しを立てるため、家族の前で自ら命を絶った、古代ローマの貞女“ルクレチア”のイメージです。 生頼範義先生が、雑誌『SFアドベンチャー』の表紙として7年7ヶ月、91作に渡って、描き続けた“歴史の魔女シリーズ”の一作です。 (2019/7/11画像更新) #生頼範義 #SFアドベンチャー #悪女 #魔女 #聖女 #アート
ポスター 徳間書店 もらいものJason1208
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SFアドベンチャー 1983年7月号
徳間書店のSF文藝雑誌、「SFアドベンチャー」1983年7月号です。 この号で、小松左京のSF映画『さよならジュピター』に協力するために作られたクリエイターたちの会社、“パラレル・クリエイション”が、「パラレル・ミュージアム」というイラスト連載を始めました。 その第一回で取り上げられたのが映画「ダーククリスタル」で、ゆうきまさみ・出渕裕・末弥純各氏がそれぞれのイメージイラストを掲載しています。 私が映画「ダーククリスタル」を知ったのは、実はこの「パラレル・ミュージアム」からでした。 #ダーククリスタル #ジム・ヘンソン #フランク・オズ #SFアドベンチャー #ゆうきまさみ #出渕裕 #末弥純 #古書
雑誌 徳間書店Jason1208