『鋼鉄のガルーダ』横山信義《トクマノベルズ他》

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『鋼鉄のガルーダ』横山信義。徳間書店トクマノベルズ刊。1997年初刷。ISBN4-19-850379-6。カバーアート/高荷義之。
著者、横山信義氏は学生時代に、仮想シミュレーション戦記『鋼鉄のレヴァイアサン』を執筆されており、その後同一の歴史観に基づく、前日譚である本伝、仮想戦記『八八艦隊物語』全5巻を執筆されています。『鋼鉄のレヴァイアサン』同様、この作品も仮想シミュレーション戦記で『八八艦隊物語』外伝と位置づけられています。実史と似ているようで、相当違う様相を辿った、並行歴史の日本の戦争を描いています。
“「いくぞ!」一声かけて気合を入れると、機首をぐいと押し下げ、二〇度の降下角度で緩降下を開始する。増速しつつ高度二〇〇〇まで降下、そこから角度を四五度まで上げて急降下に入る――という教科書通りのやり方だ。金星エンジンのうなりがみるみる高まり、冬の相模湾の冷え切った大気が音を立てて風防の脇を流れ去る。「九〇〇……八〇〇……七〇〇」六〇〇!の声を耳にした瞬間、これまで聞いたことのない異様な音を耳にした。……"
この作品は、「八八艦隊世界の“艦爆の神様”江草隆繁少佐と彼の率いる艦爆チーム」の転戦を描いた仮想戦記です。空母航空隊としての訓練を積んだ艦載機乗りであったにも関わらず、数々の事情から、日本軍が占領した最前線の基地を転戦することになり、戦後も生き残った江草少佐の人生の終焉までを追っていきます。
ガルーダとは主に東南アジアで説話に出てくる“神鳥”ですが、この話は、技術的な問題から急降下爆撃機などが無かった日本軍に、対地攻撃部隊が日本軍にあったら、という仮定の元に執筆された作品です。戦後も生き延びた主人公・江草が、“東部戦線の鷲”ドイツ軍人ハンス・ウルリッヒ・ルーデルとも交流するエピソードがあります。
#仮想戦記 #SF #横山信義 #徳間書店
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『鋼鉄のレヴァイアサン』横山信義《トクマノベルズ他》
『鋼鉄のレヴァイアサン』横山信義。徳間書店トクマノベルズ刊。1992年初刷。ISBN4-19-154912-X。カバーアート/青井邦夫。 この作品も仮想シミュレーション戦記です。実史とはまったく違う様相を辿った、並行歴史の日本の戦争を描いています。(レヴァイアサンとは、レヴィアタン、リバイアサンとも書き、旧約聖書などに伝えられる海の怪物の名前である) “めくるめく閃光が、霧の向こう側に巨艦のシルエットを浮かび上がらせた。「あいつを見るのは一〇年ぶりだが…」護衛艦「はるな」の艦長は呟いた。ロシア太平洋艦隊の戦艦「ヴァツーチン」の巨影だった。全長四〇〇メートル、最大幅五〇メートル、主砲は五八口径二五インチ砲九門。『鋼鉄のレヴァイアサン』――西側の軍事評論家は、畏怖と讃嘆をこめてこう呼称した。一九九X年一月一〇日何故、日本海竹島北東海域に出現したのか? これが日米露が威信をかけて激突する、これが超絶の地獄戦の口火だったとは!?" あらすじの通り、本作では実史では起こり得なかった巨大戦艦同士の砲撃戦等が描かれます。この並行歴史では真珠湾の航空奇襲等が起こらず、太平洋戦争自体の推移は実史と変わらないものの、大艦巨砲主義がそのまま生き残り、航空母艦が存在せず、航空攻撃による軍艦撃沈が起こっていない世界です。 朝鮮半島のクーデター争乱をきっかけとして起こった、極東の戦乱でロシアは巨艦「ヴァツーチン」を中心とする艦隊を出動、米軍も史実の「大和」以上の巨大戦艦「リンカーン」「ジェファーソン」を繰り出すが、マクダニエル提督の傲慢と油断により、敗北を喫する。(具体的には、ロシアには衛星を使った「魔女(ババ・ヤーガ)の眼」と呼ばれる三次元弾着確認システムがあったが、マクダニエル艦隊には無く、日本海自艦隊の支援をも拒否したこと) 主人公の航空自衛隊筑城基地(実在の築城基地に相当)司令・山口武蔵は旗下のF-1、F-4戦闘爆撃機部隊による「ヴァツーチン」攻撃を企図するが…。 この作品は、横山信義先生が大学SF研究会の会誌に発表したもので、商業出版としては処女作的な作品です。横山先生は専業作家に転身以降、この『鋼鉄のレヴァイアサン』の前史となる『八八艦隊物語』及び外伝を執筆されています。(画像2、3、カバーアート/高荷義之) #仮想戦記 #SF #横山信義 #徳間書店
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