コラム-6 「ボンベイ・ダック」と本多俊夫さん

初版 2023/09/01 05:41

作曲者のコメント

 オリジナル・シャドウズ盤(OR-1709)は、1967年6月5日発売。
作曲者は本多俊夫氏だが、私は当時よく聞いていたラジオ番組「ハロー・ポップス」(文化放送)
のDJの一人として認識していた。
が、それは大変表面的な理解で、ご自身ジャズのベース・プレーヤーでもあり、
評論家でもあったようだ。

 「ハロー・ポップス」とは別の番組だった気もするが、本多氏はポピュラー・ソングの
構造的な面白さを解説されており、ビートルズの「イエスタデイ」を取り上げた放送を
記憶している。
サビの 「Why she Had to Go」のメロが「D E F」と上昇し、ベースは「D C Bb」と下降
する対位法的な音型を、きちんと解説されていた。1966〜1967年頃だと思うのだが、
当時、こういうことを真面目にコメントする人はいなかったので、びっくりした。

 そんな本多氏が、シャドウズ盤の「ボンベイ・ダック」が(多分)初めて放送された時、
「正直に言うと、僕は少しがっかりしている」とコメントされていた。
曰く「僕が作ったのはスローなワルツ、そこで音色の綺麗なシャドウズにレコード化
してもらえないかと依頼していた。時間も経過し『やっぱり、駄目だったのか』と思って
いたところ届いたのがこれ。自分のイメージとは……」

シャドウズ盤の解説

 「Bombay Duck 物語」と称する解説が書かれており、ライターは金子貞男氏。
金子氏も「ハロー・ボップス」のDJを担当されており、中々人気のあった方だった。
要約すると、

  1. 1966年に本多氏から「作曲したんだが、聞いて欲しい」とテープを預かった。
  2. 金子氏はこれに耳を傾けることなく、放置した。
  3. 新番組のテーマ曲選定で苦労している時、再び「あの曲はどう?」と言われて思いだした。
  4. メロディーからシャドウズのリード・ギターの音色が閃いた。
  5. ビートを3拍子から4拍子に変え、サビを書き直すように提案した。
    (自分だったら怒るかもしれないが、本多氏は分かってくれた
  6. 東芝の高島(弘之)氏の賛成も得て、シャドウズに依頼をかけた。
  7. 出来上がったシャドウズ盤を聞いて、本多氏も満足そうに笑った。

というもの。

 「アレンジのアイディアを提供し、その仕上がりに作曲者も満足した」と自身の
貢献度を主張しているわけだ。
何が真実なのか、私には判らないが、本多氏自身が「少しがっかり」とコメント
している以上、金子氏がおいしいとこ取りをしているとも思える。
真実は判らないけれども……

国内盤アナログ・レコード(1950年代〜1960年代〜1970年頃)のデータ・ベース(リスト)を作成しています。
(国内盤レコードDB)
ジャンルはオール・ジャンルで、フォーマットはExcel ファイル(xlsx)です。
現在仮開示しているのは、
日本グラモフォン
東芝
日蓄工業
日本ウエストミンスター
日本ディスク(1950年代)
日本マーキュリー(1950年代)
ユニバーサル・レコード(1950年代)
日本コロムビア
キング・レコード
です。

今後、随時追加していく予定ですが、時間はかかります。

ダウンロードして自由に使って頂いて結構ですが、同時に開示している説明ファイル(ワード文書 or リッチ・テキスト)を
よくお読みになってください。また、現段階ではあくまでも仮開示であり、完成形ではないことにもご留意ください。

https://1drv.ms/u/s!ApINowI3ybkacrP3M_GV7wSe6j0?e=67lDy2

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