Dactylioceras sp.

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【推定年代】
中生代ジュラ紀後期(1億6000万〜1億5700万年前)
【産地など】
ネパール

【解説】
ジュラ紀後期の示準化石、ダクチリオセラス属のアンモナイト入りノジュール。重量252g。
ヒマラヤ山脈を源流に持つカリ・ガンダキ川での採取と考えられ、現地語でサリグラムと呼ばれるものになる。

ネパールのムスタン地区、世界で最も高標高(海抜4000m程度)寺院であるムクティナート至近のカリ・ガンダキ川源流部の露頭で採取されたジュラ紀アンモナイト入りノジュールを、ヒンドゥー教徒は「サリグラム」と呼び崇拝の対象としている。
一説には、ヒンドゥー教ヴァイシュナヴィズムにおける最高神、ヴィシュヌ神の化身ともされる。

新生代漸新世頃、インド亜大陸がプレートテクトニクスに従ってユーラシア大陸に衝突、その褶曲運動で二つの大陸間に存在したテチス海が隆起してヒマラヤ山脈が形成され、現在もなお造山運動中である事実はよく知られているが、サリグラムもまたその証左の一つである。
テチス海に生息していた古生代〜中生代の海棲動物の化石が、ヒマラヤ山脈の各地で産出するのはこの褶曲による海底隆起が原因である。

サリグラムは、地球で最も高い山脈がかつて海底だった事を示す証人とも言えるのである。

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