銀黒鉱石 (ginguro ore) 大身谷鉱山 #0431

0

大身谷鉱山は古生代粘板岩や輝緑岩中に胚胎する2つの鉱脈群(西側大身谷最上流の大立鉱脈群と東側富士野トンネル南方の富盛鉱脈群)からなります。本標本は後者の富盛脈中央部の鉱脈露頭が自然の浸食作用で崩壊したもので、微粒の銀鉱物、細粒の方鉛鉱、閃亜鉛鉱が濃集した高品位の帯状銀黒が乳白色石英中に数本平行に発達しています。銀鉱物は微粒のため肉眼での識別は困難ですが、輝銀鉱に加え、ピアス鉱、脆安銀鉱などを含む可能性があります。(1~2枚目は背景をソフトウエア処理しています。)

大身谷鉱山の採掘は江戸時代以前に遡る可能性がありますが記録や伝承が無く、近代以降は明治初期に開坑、1914年(大正3年)以降藤田組により開発・採掘され、1920年(大正9年)に閉山、1957年(昭和32年)に同和鉱業の系列会社である金平鉱業により再開され、1985年(昭和60年)に閉山しました。歴史的詳細は不明です。 大身谷鉱山は明延鉱山の銅・鉛・亜鉛・錫・タングステンを含む鉱脈群の西南方に近接する中熱水性含金・銀鉱脈鉱床で、金・銀・石英脈と、銅・鉛・亜鉛・石英脈に大別され、金・銀鉱脈鉱床に産する主な鉱物は自然銀、輝銀鉱で、時に濃紅銀鉱、脆銀鉱が濃集し、エレクトラムを随伴している場合もあります。

Default