金銀鉱石 (gold-silver ore) 持越鉱山 #0297

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この標本は持越鉱山(もちこしこうざん)の主要鉱脈であった持越本脈の露頭線が通る、持越川最上流域の標高914mの無名ピークから北北西に流下する持越川支流、標高600m付近で採集されたもので、持越本脈の露頭が自然の浸食作用で崩落した鉱石塊ということです。持越本脈は走向延長1,900m、傾斜延長380m、平均脈幅3m、平均品位Au6g/t, Ag140g/tの大鉱脈で、伊豆地方の金鉱床中では最も高標高の場所に位置し、脈全体が低温生成の玉髄質で時にオパールを伴い、Cu、Pb、Zn等の硫化鉱物に乏しく、ほぼ純粋な微粒銀鉱物からなる銀黒を伴うという特徴があるそうです。 銀黒内の金銀鉱物は極微粒で、肉眼的なものではありません(矢印の先)。1、2、4、6枚目は背景をソフトウエア処理しています。

持越鉱山の鉱床は湯ヶ島層群中の金銀脈で、1914年(大正3年)に持越本脈の鉱脈露頭が発見され、1932年(昭和7)に中外鉱業が開発、1943年(昭和18年)に金山整備令で閉山となるまで採掘されました。 標高450メートルの場所に精錬所が建設され、閉山後も近隣の清越(せいごし)鉱山や湯ヶ島鉱山の精錬を行っていました。今は含貴金属工業用産業廃棄物の再生事業を行うリサイクル工場になっています。

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