夢がたり / 久保田早紀

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1979年発表の1st.アルバム。 説明不用の「異邦人」大ヒットを受けて発表されたこのアルバムは、両親の影響による異文化への憧れや、星空を観るのが好きという不思議大好き少女のキャラクターが見事に形作られている。 サウンド的には編曲の萩田光雄に依る所が大きいのだろうが、その神秘的なまでの耽美主義的世界観を見事に表現し、歌詞はまだ見ぬオリエンタル世界の幻想旅行記のようだ。 特に「白夜」は秀逸で、あのオーケストラアレンジが大好き。このアルバムの中でも聴き所の一つだろう。 しかし彼女にとっての最大の不幸は、まだ二十歳そこそこの女の子がいきなりデビューアルバムでこのような大傑作を作ってしまった事だ。 これがこの後の彼女の活動に大きな十字架となってのし掛かってしまう。

「朝」で ♪ここは何処、今はいつなの、私は誰…♪ と図らずもこれが架空のキャラクターであることを示唆しつつ、 ♪ちょっと振り向いてみただけの異邦人♪ である自分は、 ♪幼い日の壊れやすい記憶を指先でそっとたどって♪、 ♪ファドが低く流れていく♪ 中でギター弾きを探す。「白夜」では ♪星に訊ねてみたらあの人は帰る♪ と言われ、 ♪化石の街をあの人をさがして裸足でさまよう♪ 「夢飛行」や「幻想旅行」。「ナルシス」では ♪誰も知らない孤独な少女の初恋♪ を唄い、 ♪星空へからだを投げ出した♪ 「星空の少年」。 完璧なまでに自己完結の幻想世界を構築している。

異邦人
https://youtu.be/Gr-dsRFbOGs?si=EAf45w0Q1EUh7Blm

#アナログレコード

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