69回目の日記 ウィリアム・ハート逝去

初版 2022/03/14 20:57

改訂 2022/04/17 08:34

 時系列でいうと、アイヴァン・ライトマン監督に次いで訃報に関することを採り上げることになりますか。アメリカの俳優ウィリアム・ハート氏が今月(2022年3月)13日に逝去されました。享年71歳ですから、まだ若い。

 亡くなる年まで映画出演を続けていたようですので、最期まで現役の俳優だったと言えるのですが、私の印象ではキャリアの最初の10年余り、すなわち1980年代が最も俳優としてよかった期間だったような気がします。もっとも、それは取りも直さず私が最も映画を数多く観た期間でもあるのですが…。

 最初に観た出演作は『アルタード・ステーツ/未知への挑戦』(1980年)でしたが、まだ高校生だったこともあり、あまり作品のテーマがよく理解できませんでした。ただ印象に残っているのが、ウィリアム・ハート演じる科学者エドワードが人類学者エミリー(ブレア・ブラウン)を口説く際にいきなり「君と寝たい」と言い、次に二人のベッドシーンに場面が切り替わったシーンでした。当時おバカな男子校の高校生だった私は、「女性を口説くのにこんな直接的なことを言っていいのか」「いや、さすがにウィリアム・ハートのような優男だから通用するのだろう」「それとも、そもそも現代アメリカではそれが常識なのか」「でも、他の映画でそんな口説き方は見たことないぞ」などという愚にもつかない妄想を繰り広げたものでした。

 次に観た『白いドレスの女』(1981年)は上質のミステリー作品で、何と言ってもキャサリン・ターナーの妖艶さが際立っていましたが、ウィリアム・ハートはその妖艶さに蟻地獄に嵌るように引き込まれる弁護士ネッド・ラシーンを演じていました。そしてさらに数年後に観た『再会の時』(1983年)では、最後に若い女性(メグ・ティリー)をちゃっかりモノにする役だったかな。

 と、ここまで取り上げた作品でのウィリアム・ハートはいわゆる女好きが際立つ男という役回りが多かったようですが、次に観た『蜘蛛女のキス』(1985年)ではホモセクシャルのスパイという難しい役どころを見事に演じてアカデミー主演男優賞に選出されました。ただ、ラウル・ジュリアとのオッサン同士のキスシーンはちょっと…。以下、聾啞者の女性と愛を育む物語である『愛は静けさの中に』(1986年)、実は鼻持ちならないニュースキャスターを演じた『ブロードキャスト・ニュース』(1987年)、『白いドレスの女』では散々翻弄されたキャサリン・ターナーをジーナ・デイビスと天秤にかけた挙句に振ってしまう『偶然の旅行者』(1988年)など、今もって愛するべき作品に出演しました。

 という感じで、その後もウィリアム・ハートの出演作は、東京国際映画祭で観た『夢の涯てまでも』(1991年)、『スモーク』(1995年)、『ロスト・イン・スペース』(1998年)、『A.I.』(2001年)など何作か観ましたが、繰り返しますけれども80年代の彼の方がやはり印象的でした。そんな意味も込めて、スクリーンでそこそこ馴染みの俳優が思ったよりも早く鬼籍に入ってしまったという寂しさは実感してしまいますね。

 ということで、ウィリアム・ハートに因んだものを画像として掲げるべく、手持ちのコレクションで考えてみました。上記の出演作のサントラ盤CDはどれも所有しているので(ただし『蜘蛛女のキス』のサントラ盤はLPレコード)、なるべく見た目のいいジャケットの盤、ということで、『愛は静けさの中に』にしてみました。左側の女性は共演のマーリー・マトリンで、この映画をきっかけにウィリアム・ハートと同棲関係になったそうですが、その雰囲気が写真から伝わってくるでしょうか。

https://www.youtube.com/watch?v=RMJurEA7X6Q

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 映画音楽とクラシック音楽をこよなく愛するwoodstein(ウッドスタイン)という者です。それ故、必然的にCD、レコードコレクターであり、他人にその保有数を告げると、殆どの場合、引かれてしまうという困り者です。自分でもコレクションを把握できていないという体たらくでして、この場を通じて、実情を解き明かしていこうと目論んでいます。

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    ace

    2022/04/06 - 編集済み

    残念ですね😔
    私も初見は「アルダート・ステイツ」でした。トラボルタさんが主演の「マイケル」、あっさりした演技で好きでしたね✨

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      woodstein

      2022/04/11

       aceさん、コメント有難うございます。映画『マイケル』は期待したほど面白くはなかったので、本文では挙げませんでしたが、確かにウィリアム・ハートの演技はあっさりしていたというのは同感です。もっとも、この作品に関しては、「テリー・ガーはまだ健在だった」という印象が強かったですかね。

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