西京 中立売 箱場印

初版 2023/11/22 14:57

西京の中立売(なかだちうり)の箱場印です。明治7年8月23日に西京から大阪に向けて仕立てられた、脇なし二つ折り葉書1銭に押されたものです。こちらの葉書も独特の味わいのある達筆で、証示印として西京と大坂の二重丸印(N1B1型)が二つ並んでいるところも気に入っています。

中立売箱場印は「中」一文字に丸枠の朱印で、「中」の漢字の「口」がかなり上よりになっているという、独特のバランスが特徴です。どちらかと言えば細めの外枠ですが、この例では綺麗にくっきりハッキリと押されています。

大阪と違って、京都の箱場の具体的な所在地に関する資料はほとんどないようで、差出人さんが自宅、もしくはお店で書いて、最寄りの箱場に持って行って投函した、という仮定の下、現実的には差出人の住所から類推するしかないのかなと思っています。

さて、この葉書の差出人さんは「元誓願寺堀川」にお住まいの平尾何某さんと判読できますので、現在の元誓願寺通と堀川通の交差点あたり(下の地図の青四角あたり)と推察されます。元誓願寺通から中立売通へは南に3ブロックの距離です。

箱場が大きな通りの交差点に設置されていたとすると、中立売箱場は堀川通と中立売通の交差点、下の古地図上では赤四角で囲った付近に設置されていたのではないでしょうか。

もちろん、中立売通のランドマークである京都御所の中立売御門(上の地図で、「中立売通」と記入したすぐ上にある御門)に箱場があったと考えることもできて、平尾さんのお宅からは(少し距離はありますが)丁稚さんを走らせるには十分な射程距離内です。

これ以上の分析には、中立売箱場印が押された葉書や書状をなるべくたくさん集めて、差出人の住所の分布から箱場設置場所を絞り込んでいく必要があって、大変な作業と努力が必要になってくると思いますが、これも箱場印蒐集の楽しみの一つかも知れません。

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unechan

子供の頃から細々と続けてきた切手収集。長年のブランクを経て10年ほど前から再開し、日本切手クラシカル、ドイツインフラなどを収集。併せて手彫証券印紙の収集を始め、現在はこちらがコレクションのメインになっています。郵趣に加えて音楽(ジャズ)、釣り、鉱石収集、昆虫採集(蛾類)など趣味多数にて家族には迷惑をかけております…

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