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Norwoodia boninoi
カブトガニの子供の化石 !? 一目みて、そんな印象を受ける方も多いのではないでしょうか? こちらはノルウーディア・ボニノイ (Norwoodia boninoi) 、正真正銘、三葉虫の化石です。アメリカのユタ州のウィークス累層 (Weeks Formation) で産出する有名種であります。 ウィークス累層は、赤色〜黄色の母岩が特徴的なカンブリア紀中期の著名な産地です。現在は採掘が禁止されており、新規標本を得る事はできません。故に、現在市場に出回るのはオールドコレクションのみで、数が限られております。 本種は、そんなウィークス累層の中でも産出量の少ない希少種です。特徴的な三日月のような頭部、長い尾部の棘など、カブトガニを彷彿とさせる形状を持ち、その見た目の面白さからも、非常に人気が高い種であり入手は困難です。 何故こんな形をしているのでしょうか? そこに答えはなく、想像するしかありませんね。 このような形態の多様さこそが、三葉虫、ないしは古生物の世界の面白さをより駆り立ててくれます。
Middle Cambrian (Series3, Guzhangian) Weeks Millard county, Utah, USA Norwoodia boninoitrilobite.person (orm)
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Gerastos tuberculatus marocensis
ゲラストス・トゥバキュラトゥス・マロチェンシス (Gerastos tuberculatus marocensis) です。もっともポピュラーなモロッコの三葉虫のうちの一つですが、正式な学名が長らく付いておらず、かつては、ゲラストスの一種 (Gerastos sp.) や、ゲラストス・グラニュロスス (Gerastos granulosus) など適当に呼ばれていた種です。ここ近年のモロッコ三葉虫の記載ラッシュにより、ようやく2006年に正式名称が与えられたようです。 本種の特徴としては、記載論文 (Chatterton et al., 2006) の説明によると、 ✔︎ 頭鞍に尖った目立つ荒い顆粒を持ち、顆粒は胸尾部の細かな顆粒より大粒 ✔︎ 頬棘は短いながらも、その先端は尖っている などでしょうか。特に、頭鞍の顆粒の大きさは分かりやすく、上写真でも頭鞍の顆粒が胸尾部のそれに比べて大きい事がわかるかと思います。 最近の論文では、モロッコの微妙な差異のあるゲラストスが10種類以上に分類されております。(G. hammi、G. ainrasifus、G. aintawilusなど) ただ、本種以外は比較的レアであり、中々市場で見かけないですし、そもそもゲラストスの見分けは大きな違いがあるわけではないので難しいです。 安価で今一つ軽視されがちな種でありますが、小柄な体格にぷっくりした複眼や、とても可愛らしい種でもあります。
Middle Devonian Timrhanrhart Foum Zguid, Morocco Gerastos tuberculatus marocensistrilobite.person (orm)
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Lochmanolenellus trapezoidalis
ネヴァダ州のポレタ累層 (Poleta fm) で産出するこの怪物は、ロクマノレネルス・トラペゾイダリス (Lochmanolenellus trapezoidalis) と呼ばれています。胸部の一部と尾部を欠いた部分化石ですが、70%程が残っていて、全体像がよく分かります。8枚目写真に見るように、この種の幼体、及び別種のオレネルス類 (Teresellus goldfieldensis?) のventralも共産しております。 最も最初期に誕生した三葉虫のオレネルスの仲間ですが、実際、累層の時代はカンブリア紀前期 (Lower Cambrian, Series2, Stage3) と非常に古い時代の種です。 なんと言っても、この種の特徴は、頭部から巨大な頬棘が2対出ている事 (Double genal spinesなどと呼ばれます) であります。このような特徴を持つ三葉虫は、私の知る限り、ロクマノレネルスの一派だけです。 類似種に、ロクマノレネルス・ペンタゴナリス (Lochmanolenellus pentagonalis) やロクマノレネルス・サブクアドラタ (Lochmanolenellus subquadrata) という種がいて、これらもDouble genal spinesを持ちます。 写真7枚目では、私の手持ちの中でもトップ5のサイズを誇る154mmのオレネルス・フレモンティ (Olenellus fremonti) と並べてみました。もし完全体なら、更に一回り上回りそうで、170mmぐらいの巨大な標本であったと思われます。
Lower Cambrian (Series2, Stage3) Poleta Esmeralda county, Nevada, USA Lochmanolenellus trapezoidalistrilobite.person (orm)
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Viaphacops claviger
ネヴァダ州というと、基本的には三葉虫関連ではカンブリア紀の層が大半を占めております。そんな中でこちらウェンバン累層 (Wenban fm) は、ネヴァダ州でも中央に位置するSimpson Park Mountainにある地層で、同州にしては珍しいデヴォン紀の層が広がっております。 そんなマニアックな産地で産するこの種は、ヴィアファコプス・クラヴィゲル (Viaphacops claviger) 。異色の産地の異色の巨大なファコプス類であります。ウェンバン累層は地層の変形が激しく、押しつぶされたように圧がかかった標本が多いです。本標本もプレスされたように押しつぶされております。 特筆すべきはその特異な風貌。全長100mmオーバーと、ファコプスの仲間ではモロッコの巨大種ドロトプス (Drotops) に匹敵する巨体を有し、髭のような自由頬から伸びる棘や、軸葉から垂直に伸びる棘(本標本では残念ながら摩耗しております) を持つなど、相当な変わり種のファコプスであります。サイズ感の比較用に写真8枚目で、一般サイズのファコプス (NY州のEldredgeops rana) と並べております。 ファコプスにもこんな種がいるのかと、認識を改めてくれる種です。
Lower Devonian Wenban fm he Simpson Park Mountains, Nevada, US Viaphacops clavigertrilobite.person (orm)
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Calymene sp.
オルドビス紀は、非常に多種多様な三葉虫が登場した時代ですが、それ故、種数が多く記載が追いついておりません。特に、モロッコのオルドビス紀三葉虫は、種数が非常に多く、風化が進んでいる傾向にもあり、未記載種に溢れています。 これも、そんな良くわからないモロッコのオルドビス紀三葉虫のうちの一つ。 入手元では、グラビカリメネ (Gravicalymene sp.) とされておりました。確かに形状はカリメネではあります。6番目の写真で標準的サイズのカリメネである、フレキシカリメネ・ミーキ (Flexicalymene meeki) と比較していますが、ご覧の通り巨大サイズのカリメネです。同国同時代の大型カリメネというと、博物館のショップやお土産レベルの化石でも有名な、多産するフレキシカリメネ・オウズレグイ (Flexicalymene ouzregui) があまりにも有名です。しかし、本種は見た目からして、明らかにオウズレグイとは異なります。 一時は、自由頬のないプラドエラ (Pradoella sp.) かな?とも考えたのですが、やはりどこか頭部や尾部の構造が違うように思うのです。第一に、産地がKaid errami (一方、プラドエラはZagoraで産出する) ので、やはり違う種だろうなと考えております。 結論は未定種、カリメネの一種 (Calymene sp.) としております。このような未知の種の多さもまた、モロッコのオルドビス紀三葉虫の魅力であります。
Ordovician - Kaid errami, Morocco Calymene sp.trilobite.person (orm)
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Sphaerexochus britannicus
当ミュージアムのエントランスのアイコンにもなっている三葉虫です。 この不思議な形状の芋虫のような三葉虫は、スファエロクソクス・ブリタニクス (Sphaerexochus britannicus) 。ブリタニクスの名が示す通り、英国の種であります。英国のウースターシャー (Worcetershire) のマルヴァン (Malvern) の産です。 マルヴァンはユネスコジオパークにも登録されている、シルル紀の重要産地であります。地理的に近く採掘が禁じられているダドリー (Dudley) と共に、英国の古典的産地として有名であり、今やそれら産地の化石が市場に出回る機会は限られています。 スファエロクソクスは大きく膨らんだ頭部を特徴とし、胸部は芋虫のようで、尾部は丸いフリルのような構造を持ち、やや地味な見た目ながら、良く見ると実に奇妙で面白い種でマニア受けする種かと思います。他に、スウェーデンや国内でも類似種が産出する事が知られていますが、頭部や尾部だけの部分化石が大半です。 本種は部分化石すら市場に出回る事は珍しく、特に胸部が何故か非常に残りづらい為、このような全身が揃った完全体は世界的にも極めて貴重です。シルル紀を代表する三葉虫の一つでありながらも、独特な形状を持つ超希少種と言えるかと思います。 追記(2023/3/5): Sphaerexochus mirusという、本種に極めてよく似た (もしくは同じ) 種がおり、例えば、英国三葉虫書籍Trilobites of the British Islesには、Sphaerexochus mirusの方しか掲載されていません。 これに関して、S. britannicusとS. mirusは、同一種であるという説 (Thomas AT. British Wenlock trilobites. Part 2. Palaeontographical Society Monographs (London) 1981;134:57–99.) と、尾部の形状から異なる種であるという説 (Ramsköld L. Silurian cheirurid trilobites from Gotland. Palaeontology (Oxford) 1983;26:175–210.) があり、意見が割れているようです。 ここでは、提供者氏からの学名のまま、S. britannicusの方を採用して記載をしておきます。
Silurian, Homerian Coalbrookdale shales, Wenlock limestone fm Malvern, Worcestershire, UK Sphaerexochus britannicustrilobite.person (orm)
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Drotops armatus
一体彼は誰から身を守りたかったのでしょうか? あるいは、誰かにその派手な見た目をアピールしたかったのでしょうか? デヴォン紀を代表する有名種、ドロトプス・アルマトゥス (Drotops armatus) です。アルマトゥスとは『武装した』という意味ですが、その種小名が呈する通り、三葉虫の全身を痛そうなトゲトゲで覆っております。デヴォン紀を代表する三葉虫であるファコプスの仲間であり、同時代を特徴づける『棘』を持ち、まさにこの時代を代表する種と言えるかと思います。この種は多くのファコプス同様、防御姿勢をとる事ができますが、そうなるとぐるり一周棘だらけで、もはや捕食者は手出しできなくなります。この派手な『棘』は、この時代に巨大化・高機能化した魚類に対する防御の為という説が根強くありますが、本当のところは誰にも分かりません。 比較的繁栄した種のようで、常に市場で売りに出されている為、状態を問わなければ比較的入手はし易いです。ただ棘が偽物である事が多いのと、プレパレーションが荒い標本が多いので、状態の良い標本の入手はそれなりに困難です。 いずれにせよ、150mm近くになる巨体も手伝い、初見でのインパクトは凄まじく、多くの三葉虫コレクターが最初に憧れる種の一つであります。
Devonian - Atlas Mountain Range, Morocco Drotops armatustrilobite.person (orm)
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Wanneria walcottana
ワンネリア・ワルコッターナ (Wanneria walcottana) です。広い意味でのオレネルスの仲間で、Olenelloidea (オレネルス超科) に属します。 今にも消え入りそうで、どこか儚い印象すら受ける、オレネルス属 (例えば、オレネルス・ギルベルティ (Olenellus gilberti) など) と比較すると、全体的に外殻が厚くて力強い印象を受けます。幅広の体型が特徴的でもあり、この標本のように大型の個体が多く、華がある種です。私はオレネルス類が特に好きなのですが、オレネルスマニアにとっては、この種はマストだと感じます。 産地がペンシルバニアのキンザーズ (Kinzers) とやや特殊な所です。他の種のオレネルス (例えば、巨大なオレネルス・ゲッティ (Olenellus getzi) など) も産出します。入手元によると、30年以上前に産地閉鎖し、現在は駐車場になってしまっているようです。その為、本種含め同産地の種の入手は限定的です。 他、市場で見かけるワンネリア属としては、カナダのワンネリア・ドゥンナエ (Wanneria dunnae) という種も居て、本種と似た風貌をしております。ただ、こちらは本種に輪をかけて希少な種で、入手困難種であります。
Lower Cambrian Kinzers the Brubaker's Quarry, Lancaster, Pennsylvania, USA Wanneria walcottanatrilobite.person (orm)
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Balizoma variolaris
何かの病気にでも罹っているいるのじゃないかとでも思えそうな、この三葉虫はバリゾマ・ウァリオラリス (Balizoma variolaris) です。 英国の古典的産地、ダドリー (Dudley) の標本です。ダドリーは産業革命期に鉱石や石炭の採掘で賑わった町ですが、採掘の際に、同時にシルル紀の豊富な化石も見つかりました。三葉虫に関しても、カリメネをはじめとする魅力的なシルル紀の多様な種が産出した事から、歴史的に三葉虫研究の黎明期の重要な研究対象となっています。以後、ダドリー産の化石は、研究者のみならずコレクターも魅了し多くの蒐集家がおしかけましたが、現在、産地は保護されており、新規標本を得る事はできません。今、市場に出回る標本はオールドコレクションの放出によるものです。 この、ダドリーもしくはその周辺で採取された三葉虫全体を指して、ダドリー・バグ (Dudley Bug) もしくはダドリー・バッタ (Dudley locust) と総称されます。 こちらは、そんなダドリー・バグを代表する種の1つ。 頭部にぶつぶつを持つ (イチゴ頭と総称される) 事が特徴であるエンクリヌルスの仲間ですが、この種は中でも病的なほど大きな顆粒を持つ事が特徴で、これは種小名のvariolaris-痘瘡にも反映されております。ダドリーでは、他にもエンクリヌルス (Encrinurus punctatus, Encrinurus tuberculatus) が産出し、いずれも希少ですが、それと比べてもバリゾマは市場に出回る機会が少ないように思います。 16mmという小ささにも関わらず、とても存在感のある種です。
Silurian Wenlock limestone Dudley, West Midlands, UK Balizoma variolaristrilobite.person (orm)
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Walliserops tridens & Acastoides zguilmensis
一体この謎のフォークにどんな機能があったのでしょうか? 戦いの武器?、一種のセックスアピール? いずれも想像の域を出ませんが、興味が尽きません。 こちらは、Walliserops tridens (ワリセロプス・トリデンス) & Acastoides zguilmensis (アカストイデス・ジグイメンシス) です。このうち、特にワリセロプスは見ての通り、あまりに奇妙な頭部先端のフォークが目立ち、見た目がド派手な為、モロッコ三葉虫の中でもとりわけ人気が高い種です。 さて、このワリセロプスには複数種がいて、 ✔︎フォークが長いタイプ: Walliserops trifurcatus ✔︎フォークが短いタイプ: Walliserops tridens Walliserops hammi Walliserops lindoei と大まかに分けられます。 長いタイプの唯一の種、ワリセロプス・トリフルカトゥス (Walliserops trifurcatus) は実に奇天烈な見た目の種で、『あんた一体何者なんだ?』とツッコミたくなります。フォークや棘の掘り出しには技術を要し、プレパレーターの腕が試される種でもあります。この種は、とりわけ人気がありますが、フォークが短いタイプに比べれば、比較的産出量は多いようです。 一方、短いタイプには主に上記3種類がいます。 ハンミ (Hammi) はフォークが細く両脇の角が大きく湾曲している事が特徴です。リンドエイ (Lindoei) はフォークの3つの角が潰れて、平坦になっている事が特徴であります。本種トリデンスは、特徴がない事が特徴といいますか、細くもなく潰れてもない短いフォークなら、トリデンスかなと私は判断しています。流通量的には、リンドエイ>ハンミ>=トリデンスなイメージです。リンドエイとトリデンスはやや似通っていて、混同されている標本も見かけます。 ところで、このフォーク、日本のカブトムシのようだと思われた方もいるかもしれません。しかし、実は全然構造が違います。カブトムシの角はよく見ると、先が4つに分かれ左右対称です。一方、このフォークは見ての通り3つ組構造です。3つ組の構造物は、古代〜現生種でみても、実はかなり珍しく、この種を特別なものにしています。 三葉虫の形の面白さや奇妙さを説明する際に、これほど適した種もいないと思います。
Devonian - Timrzit, Maider, Alnif, Morocco Walliserops tridens & Acastoides zguilmensistrilobite.person (orm)
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Palarejurus sp.
パラレユルスの一種 (Paralejurus sp.) です。 モロッコデヴォン紀で産出する、有名で一般的な三葉虫のうちの一つです。 特徴は、その楕円形の可愛いらしい体型も一つですが、何より全身を覆う謎の『しわ』がこの種に特異的です。『しわ』は特に頭部と尾部に目立ちます。単なる模様だったのか、それとも成長線の類なのか、色々な仮説はありますが、想像を巡らせるのが精一杯で、研究者にもマニアにも誰にも分かりません。ただこのように、ある程度自由な想像の余地があることもまた、化石の一つの魅力だろうと思います。 モロッコのデヴォン紀の三葉虫は、市場が先行しており、正式な学名が未記載の種も多いです。パラレユルスもまた、素人目に見ても色々なタイプのものがあり、おそらくこの標本もまだ学名が付いていません。安全の為、この標本もsp.表記に留めています。 この標本はモロッコ三葉虫を得意とする、一級プレパレーターである、ハンミ氏 (Hammi Ait H'ssaine) によりプレップされており、微細な構造に至るまで高レベルに保存されております。特に複眼構造の保存は見事の一言です。
Middle Devonian - Morocco Palarejurus sp.trilobite.person (orm)
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Olenellus fremonti
カンブリア紀の巨大なオレネルス、オレネルス・フレモンティ (Olenellus fremonti) です。 オレネルス類はカンブリア紀を代表する一派で非常に多くの種がいますが、その多くは似通った形状をしており、なかなかその区別は難しいです。 この中でも、オレネルス・フレモンティは頭鞍が発達しており、頭鞍先端が頭部の辺縁に重なる事から、比較的容易に区別が可能です。100mmを越える巨大なサイズにまで成長する事も特徴的で、本標本も150mmをオーバーしており、大迫力の標本であります。5億年以上前の化石ですが、まるで母岩の中を泳ぎ回っているようなハッとする美しさと生々しさがあります。私のコレクションを代表する重要標本であります。 オレネルスは当時大繁栄した種であり頭部標本の部分化石だけならば、出回る機会は比較的多く、オレネルスの中で比較的希少なこのフレモンティでも、しばしば頭部化石を見かけます。一方、オレネルスは胸部〜尾部が脆弱で、余程の幸運に恵まれなければ化石化しにくい種でもあります。それ故、このように全身が残る標本はかなり希少と言えます。頭部化石のそれなりの多さと、全身化石の希少さを総合的に考慮して、レア度としては★3としました。
Lower Cambrian (Series2, Stage4) Pioche Lincoln county, Nevada, US Olenellus fremontitrilobite.person (orm)
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Ceraurinus marginatus
ケラウリヌス・マルギナトゥス (Ceraurinus marginatus) です。有名な北米のケラウルスの一種 (Ceraurus pleurexanthemus) とよく似ていますが、ケラウルスがスマートな体型であるのに対して、本種は幅広く、がっしりとした体型が特徴的です。サイズも70mm近くとケラウルス/ケラウリヌスの仲間では、比較的大型で迫力もあります。ケラウルスが女性的であるとすると、ケラウリヌスは男性的な印象を受ける種です。がっしりした体型である一方で、外形は丸っこく愛嬌もあり可愛らしさも伴います。 先のケラウルスは、比較的入手がし易い種でありますが、本種は極めて入手が困難で、本標本のような完全体は滅多に市場でも見かける事はありません。他にケラウリヌス・イカルス (Ceraurinus icarus) という良く似た小型の同属異種も居りますが、こちらも希少で完全体は滅多に出回りません。 母岩の中の配置も素晴らしく、マスコット的な可愛らしさも相まって、特にお気に入りの種の一つであります。
Ordovician Cobourg Ontario, Canada Ceraurinus marginatustrilobite.person (orm)
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Eccoptochile cf. mariana
この何かのマスコットにでもなりそうな、巨大で愛らしい三葉虫は、エコプトキレ (Eccoptochile cf. mariana) といいます。モロッコのオルドビス紀の三葉虫です。欧州で広く産出する種であり、記載も欧州が先ですが、マニアにはモロッコのこちらのタイプが良く知られております。 モロッコのエコプトキレは、形態的に見ても何種類かいる事が知られています。標準的な本種や、頭鞍の目立たないタイプ、集団で産出するそれほど可愛らしさのないタイプ (なんという決めつけ‥) など、少なくとも2種類以上は居るように思います。ただ正確な分類は進んでおらず、いずれも、現時点で科学的には記載されておりません。その為、欧州のエコプトキレ・マリアナ (Eccoptochile mariana) のcf. (confer: マリアナっぽさがあるけど不確実の意) などと表記される事が多いです。 大きな鼻のような頭部、ミシンの縫い後のような胸部側葉の模様、丸いフリルのような尾部など、あまりに特徴にまみれた種で、大変人気があります。産出量もけして多くはなく、比較的希少種と言えるかと思います。 レア度は★2とするか、★3とするか微妙なところですが、状態を選ばなければ入手困難という程でもなく、★2.5といったところです。厳しめにつけて少数切り捨てとして、★2とさせて頂きました。
Middle Ordovician Fezouata Taychoute, Zagora, Morocco Eccoptochile cf. marianatrilobite.person (orm)
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Gittara gitarriformis
こちらはギタラ・ギタリフォルミス (Gittara gitarriformis) 、英国のプロエトゥス目 (Proetida) に属する石炭紀の三葉虫です。写真の3個体のうち、1個体のみ (写真2番目) のみ、Ventral (三葉虫の腹側から見た化石) です。 似たような形かつシンプルなフォルムの、石炭紀の三葉虫の特徴を挙げる事は少々難しいです。ただ、どちらかというと長細い楕円形の石炭紀三葉虫が多い中で、この種は長細くはなく、幾分広い横幅を持ち丸っこい事が特徴と言えるかもしれません。他に、この種は、複数個体が固まって産出する事が多い為、集団で生活をしていた可能性があります。 石炭紀の三葉虫は市場どうこう以前に、そもそも生きていた当時の個体数が少ないので、当然化石の産出量も少なく、どの種も希少であります。この種も入手の機会は限られており、本標本のような、ほぼ完全体の標本は貴重であります。
Carboniferous - Visean, Chadian Sub-state of Slaidburn, Lancashire, UK Gittara gitarriformistrilobite.person (orm)