アマゾナイト
2015年頃より新疆ウイグル自治区から産出したアマゾナイトです。
透明感のある青緑色に虎柄の様な筋が見えます。
以下空想の宝石結晶博物館より引用
微斜長石(Microcline)
単斜晶系の正長石の結晶のbc軸は直行していますが微斜長石の結晶はその名の通り bc 軸が 89.3 度とごく僅かに傾いて交差しているので三斜晶系となります。
1830年ドイツの鉱物学者、ブライトハウプトの命名。
僅か0.7度の微小な角度の差を鋭く見分けた昔の学者の観察眼には感嘆するのみです。
この微斜長石の変種でトルコ石のような青緑色のものはアマゾナイト(天河石)と呼ばれます。
アマゾナイトの発色の原因が何に起因するかは、200年近く鉱物学者や地質学者の関心の的でありました。
少し古い宝石や鉱物の本にはアマゾナイトの青緑色の発色は銅によると書かれていました。
確かにトルコ石やクリソコーラの空色と良く似た色合いは如何にも銅イオンが関与していると思わせます。
しかし1960年代頃からソ連やアメリカの専門家による研究が積み重ねられ、1985年頃には、空色の発色は主として鉛のイオンによるカラーセンターで赤から橙の光の周波数帯域の吸収のためであることが明らかになりました。
ここで,ペグマタイト岩脈には殆ど含まれない鉛が存在するのかという疑問が起こります。アマゾナイトには最大限で1%もの高濃度の鉛が含まれます。一体この鉛は何処から来たのでしょうか?
ロシア(旧ソ連邦)、レニングラード鉱物研究所の M.N.Ostrooumov教授が中心となって調べたロシアのコラ半島と南ウラル産の微斜長石とアマゾナイトに含まれる希元素を分析した興味深い資料があります。
その資料によるとアマゾナイトはアマゾナイトに鉛とルビジウムとが大量に含まれていることが分かります。
ルビジウムは周期律表でカリウムの次に来るアルカリ元素です。
イオン半径が2.44Åとカリウムの2.31Åと近いので、カリウム原子と置換しやすい性質があります。
鉛の場合は、微量ですがアマゾナイトに微斜長石より遥かに多く含まれるウランとトリウムとの関連に注目です。
ウランとトリウムとは核分裂による崩壊で最終的に鉛へと変化して安定する放射性元素です。
トリウムには8種の,ウランには7種の同位体があり、最長ではそれぞれ140億年と45億年の半減期があります。
しかし235U(ウラン235)のように7億年と比較的短い放射性元素は20億年も経てば大半が鉛へと変わってしまっています。
アマゾナイトは、恐らく初めは古い地質に含まれていたウランやトリウムを大量に取りこんで生成した微斜長石でありました。が、これらの放射性元素が長年の間に核分裂反応で崩壊し鉛となって蓄積されたため、青緑色のアマゾナイトに変わったものと考えられます。