江戸後期手提重(野弁当) 重箱「藤縄」重枠「おく霜」

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江戸後期の製作と思われる手提重(野弁当)です。枠の幅六寸、奥行き四寸と小型のものです。大き目の正方形のお重が二段、となりの小型のお重が三段、それを縦長の一段が受ける形になっています。重箱本体は紐と箆で出来た「藤縄」という模様です。枠は全面卵殻を撒いた中に檜葉で模様付けした「おく霜」というものです。
この手提重の枠の下部には、画像6のような幅1.2ミリ、高さ2ミリほどの出っ張りが作られており、重箱がズレて落ちないような工夫がされています。素晴らしい細工で、京、江戸を含め、こんな見事な木地仕事をしているところ他にはないと思います。変り塗自体も見事なもので、傑作といっていい作品です。

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