アイデン AF-50X

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かつて存在したスピーカーメーカー、アイデンが生み出した最高峰12cmフルレンジユニット。
10年間にも渡って生産され、スピーカーシステム「Veda-5a」にも搭載された、同社を代表するスピーカーです。
巨大なアルニコマグネット、磁気抵抗の小さい壺型ヨーク、強靭なアルミダイキャストフレームで、その重量は2キロを超えます。

このスピーカーの元となったのは、1970年頃クライスラー社のCEシリーズに搭載されていた12cm口径のユニットと思われます。
開発にあたってオーディオ評論家の池田圭氏が関わっており、昭和45年(1970年)7月の雑誌『レコード芸術』に「アイテックス・モデル五〇型に題す」という同氏の随筆が載っています。

発売当初の価格は13,500円で、小口径としては破格の高級品。
当時すでに国産スピーカーの名門だったパイオニアとコーラルにもこのようなラインナップは無く、両社共に1970年代後半にかけて高級小口径フルレンジを相次いで発売しているため、市場に与えた影響もあったのかもしれません。

手元にあるのは初期型と後期型が一つずつ、そのおかげで比較的安く入手することができました。
右側の四角フレームが初期型、左側の角に大きくRがついたものが後期型です。
後期型の方は取付用フランジがつき、接続端子がバッフルと干渉しないよう若干内側に移動、フレームも強化されています。

コーン紙はだいぶ退色し、エッジのダンプ材も乾いてしまっていますが、それでも一聴してわかるほど厚みと奥行きを持った音がします。
手持ちのPE-101や4A-70も、10cm級フルレンジとしては素晴らしい音色の持ち主ですが、両者とどこか格の違いのようなものを感じさせるのは、実力の高さか心理的なものか・・・。

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