笹間ヶ岳球状花崗岩

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【分布・産状】田上花崗岩体西縁部において、日本では珍しい球顆花崗岩の露頭2カ所知られている。(1)笹間ヶ岳北方(稲垣1966)、(2)上田上新免吉祥川沿い(竹本ほか)。(1)の笹間ヶ岳と天神川のほぼ中間の尾根部には、球顆花崗岩の密集地域が認められる。球顆花崗岩は中~粗粒相を直接母岩として産出しているのではなく、いわゆる天井相の細粒(斑状)相中に産出している。この産状を、稲垣(1966)は球顆シートとして記載しており、また一部にペグマタイト相が見られることを報告している。新免の産出地点でも、球顆の充填部にペグマティチックな岩相が認められる。笹間ヶ岳北方の露頭は風化が進んでいるが、新免の露頭は比較的新鮮である。
【構造】球顆の構造は両地点ともに共通の特徴を示している。長径1~2㎝の自形アルカリ長石を核にして放射状にくさび形のアルカリ長石結晶が伸びて球顆を構成している。放射状アルカリ長石には、石英・斜長石・黒雲母が含有されている(竹本ほか)。石英はレンズ状であり、アルカリ長石の伸長方向に垂直な方向に伸びている。なお、堂山南西方では、径数㎝の小型球顆花崗岩試料が得られている。
<”京都東南部地域の地質”から抜粋>

田上、沖美、猿投の球状花崗岩は酷似しています。これは形成のメカニズムが同じである事を示しています。

《コラム》
日本地質学会では県の石を指定しています。滋賀県の県の鉱物は黄玉です。田上山は古くから産出が知られ、明治11年出版の”本邦金石略誌”には田上産の透明な黄玉を「清水ノ如シ」と書いています。明治年間には黄玉産地として2000余貫(7~8t)が採掘され、ほとんどが海外に輸出されました。
中沢和雄氏の発見した中沢晶洞は、鉱物愛好家の参拝が絶えません。天神川や谷筋では今でも宝石探しに夢中、大きな黄玉が採取されています。

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