ノベルティーコップ「アリマサイダー」

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 白色のエナメルで、ぐるりと廻るようにアリマサイダーの表記と、鼓をデザインしたマークが印刷されている。また、ロゴマークを帯状に水流文が取り囲む、なんとも和風で可愛らしいデザインのコップである。
 アリマサイダーとは、日本を代表する温泉地の一つである、有馬温泉に縁のあるサイダーで、その歴史は古い。日本で最も早い時期に瓶入り炭酸水を販売したのが、兵庫県有馬の「有馬炭酸水」と、京都の「山城炭酸水」であった。有馬の炭酸泉は明治10年代には観光地となっており、コップ一杯1銭で提供されていたようだ。その後、瓶詰めされ販売されたが、栓が飛ぶほど強炭酸であったことから「てっぽう水」と呼ばれた。
 明治34年(1901)に大阪・堺の酒造業者、鳥井駒吉が「有馬鉱泉合資会社」を設立し、ガス入りミネラルウオーターを製造、神戸居留地の外国人や海外航路向けに製造販売を始める。その後、明治41年(1908)に加糖したサイダーの販売を開始し、大正初めには「有馬シャンペンサイダー」や「鼓シトロン」などのラインナップで好評を博したが、大正13年(1924)には金泉飲料に買収され、金泉飲料も翌年には日本麦酒鉱泉株式会社に買収されるといった形で、大正15年(1926)には終売となった。
 このコップは、大正期の有馬鉱泉合資会社のもので、明治41年から大正15年までと年代の特定ができる。ガラス生地を見るに大正に入ってからのものだろう。
 2002年には、地元企業が有馬温泉のお土産として、有馬シャンペンサイダーを再現した、「ありまサイダー」を復刻させている。

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